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共有持分を売却しても、売却代金全体に課税されるわけではありません。税金がかかるのは売却益(譲渡所得)に対してだけです。しかも、持分だけを売ったのか不動産全体を売ったのかで収入金額の出発点が変わり、3,000万円控除の適用も共有者ごとに判定します。
この記事で分かること:
- 共有持分の売却でかかる税金の種類と譲渡所得の計算式
- 持分だけ売る場合と全体を売る場合の計算方法の違い
- 3,000万円控除・軽減税率・相続税の取得費加算の適用条件
- 確定申告の要否判断・必要書類・申告手続き
この記事が役立つのはこんな人です:
- 「売却代金×税率=税金」と思っている人
- 自分の持分だけ売るか、全体を売るか迷っている人
- 3,000万円控除が共有者全員で1回だけだと思っている人
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
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共有持分を売却すると、どの税金がかかるのか
共有持分の売却で中心になるのは譲渡所得にかかる所得税・住民税です。売却代金そのものに課税されるのではなく、儲け(譲渡所得)が出た場合にのみ課税されます。売却損(赤字)なら原則として税金はかかりません。
ほかに売買契約書に貼る印紙税や、抵当権を抹消するときの登録免許税もかかりますが、金額の大部分を占めるのは譲渡所得の税金です。固定資産税は「保有していること」に対する税金であり、売却時に精算することはあっても売却益への課税とは別の話です。
譲渡所得税の基本構造(独立した税目ではない)
「譲渡所得税」という独立した税金があるわけではありません。土地・建物の売却益(譲渡所得)にかかる所得税・住民税・復興特別所得税をまとめて「譲渡所得税」と通称しています。
譲渡所得は給与所得などと合算せず、分離課税として別に計算します。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得(所有期間5年超) | 15% | 5% | 基準所得税額×2.1% | 約20.315% |
| 短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 30% | 9% | 基準所得税額×2.1% | 約39.63% |
【2027年分(令和9年分)以後の注意点】
令和8年度税制改正により、2027年分以後は復興特別所得税が2.1%から1.1%に引き下げられる一方、新たに防衛特別所得税1.0%が加わります。合計の付加税率2.1%に変わりはありませんが、内訳が変わります。売却する時点で国税庁の最新情報を必ず確認してください。
売却時に関係するその他の税金・費用
| 項目 | 概要 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書に貼付 | 契約金額に応じて(軽減措置で最大1/2) |
| 登録免許税 | 所有権移転登記・抵当権抹消登記 | 抹消登記:1筆(1個)につき1,000円 |
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | 売却価格の3%+6万円+消費税が上限 |
印紙税の軽減措置は2027年3月31日までに作成される契約書が対象です。それ以降の延長は未確定のため、売却時の制度をご確認ください。
現場でよくある勘違い
「印紙代は売主と買主で折半」と思われがちですが、契約書の作成通数によって負担が変わります。原本2通(売主・買主が各1通ずつ持つ)のケースなら、各自が自分の契約書に貼るのが原則です。売主だけが負担する仲介手数料と混同しないようにしましょう。
【ケース分岐】自分の持分だけを売る場合と、全体を売る場合で計算が変わる
ここが最も間違えやすいポイントです。まず自分が次のうちどれに当てはまるかを確認してください。
| あなたのケース | 収入金額の出発点 | 他共有者の同意 |
|---|---|---|
| A. 自分の持分だけを第三者に売った (持分のみの買取・売却) |
売買契約書に書かれた自分が受け取る代金 | 原則不要 |
| B. 共有者全員で不動産全体を売った (一括売却) |
全体の売却代金×自分の持分割合 | 全員の同意が必要 |
| C. 他共有者に自分の持分を売った (共有者間の売買) |
自分の持分の売却代金 | 買主が共有者なので同意不要 |
ポイント
覚えておきたい大原則
共有持分の税金計算は、共有者ごとに行います。収入金額・取得費・譲渡費用・特例の適用有無も、各人ごとに別々に判定します。「共有者全員で税額が同じ」「代表者がまとめて申告できる」わけではありません。
A. 持分のみを第三者に売った場合の収入金額
自分の持分だけを買取業者など第三者に売る場合、売買契約書に記載された自分が受け取る代金がそのまま収入金額になります。ここでやってはいけないのが「物件全体の価格×持分割合」と計算すること。持分のみ売却では、全体の価格が決まっていないケースがほとんどで、契約書に書かれた自分の受取代金が唯一の出発点です。
具体例:売買契約書を確認しなかったケース
兄と弟が2分の1ずつ所有する実家。兄が自分の持分だけを買取業者に400万円で売却した。ところが兄は「実家の価格は2,000万円くらいだから、その半分の1,000万円が自分の収入になるはず」と思い込み、確定申告を1,000万円で計算してしまった。
実際の収入金額は契約書に記載された400万円が正しい。1,000万円で計算すると取得費・控除の計算もすべて狂い、本来よりも多い税額を申告する羽目になる。売買契約書の「売買代金」欄に書かれた数字をそのまま使うのが正しい手順です。
このケースでは他共有者の同意は原則不要です。法的な詳細は別記事で確認できます。
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B. 共有者全員で不動産全体を売った場合の収入金額
共有者全員が合意し、不動産全体を一括で売却する場合は、全体の売却代金×自分の持分割合を各共有者の収入金額とします。
この場合、取得費や仲介手数料などの共通費用も各共有者の持分割合で按分します。ただし按分は「あくまで便宜上の配分」であり、税額は共有者ごとに計算します。
| 項目 | 持分のみ売却(A) | 全体売却(B) |
|---|---|---|
| 収入金額の出発点 | 自分が受け取る売却代金(契約書記載額) | 全体価格×持分割合 |
| 取得費 | 自分の持分に対応する取得費 | 全体の取得費×持分割合 |
| 譲渡費用 | 自分が負担した費用 | 共通費用を各人で按分 |
| 他共有者の同意 | 原則不要 | 全員の同意が必要 |
| 特例の判定 | 各人ごと | 各人ごと |
譲渡所得の計算方法【基本の式】
譲渡所得の計算式は次のとおりです。ケースA・B・Cのどれでも同じ構造です。
収入金額 -(取得費 + 譲渡費用) = 譲渡所得
この譲渡所得(儲け)に対して、先ほどの税率(長期約20.315%/短期約39.63%)を掛けて税額を計算します。譲渡所得がゼロかマイナスなら、原則として税金はかかりません。
取得費の考え方(購入価格・減価償却・相続承継)
取得費とは、その不動産を取得するためにかかったお金です。購入代金に加え、購入時の仲介手数料・登記費用・不動産取得税なども該当します。
ただし建物の取得費は減価償却を控除します。木造・鉄骨・RC造など構造ごとに耐用年数が決まっており、所有期間に応じて価値が減った分を差し引く仕組みです。築年数が経った建物ほど取得費が小さくなり、譲渡所得が膨らみやすい点に注意が必要です。
取得費の領収書や契約書が見つからない場合は、売却代金の5%を概算取得費として使えます。ただし概算取得費を使うと実際の取得費より小さく評価されることが多く、課税所得が大きくなりがちです。まずは購入時の契約書・ローンの書類・固定資産税の評価証明書を探してから判断することをおすすめします。
具体例:取得費の契約書が見つからないケース
30年前に1,500万円で購入した土地建物の共有持分(2分の1)を、1,000万円で売却したとします。購入時の契約書が見つからず、やむなく概算取得費(売却代金の5%=50万円)を使うと、譲渡所得は950万円。長期譲渡で約193万円の税金がかかります。
もし契約書が見つかり、実際の取得費(減価償却後の建物価格を含む)が持分割合相当で600万円だったとすれば、譲渡所得は400万円。税額は約81万円に抑えられます。
差額は約112万円。税額に直結するため、資料を探す手間を惜しまないことが節税の第一歩です。
譲渡費用に含まれるもの・含まれないもの
含まれるもの:
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 売却のために行った測量費
- 売買契約書の印紙代
- 借家人などに支払った立退料
- 建物取壊し費用(土地を売る場合)
含まれないもの:
- 抵当権抹消の登記費用(譲渡費用には該当せず、取得費の一部扱いとなる場合あり)
- 固定資産税・都市計画税の支払い
- ローンの金利
長期・短期の判定【所有期間のルール】
譲渡所得の税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間で決まります。
| 区分 | 条件(売却年1月1日時点) | 合計税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 所有期間が5年を超える | 約20.315% |
| 短期譲渡所得 | 所有期間が5年以下 | 約39.63% |
| 10年超軽減税率 | 所有期間10年超+居住用財産の要件あり | 6,000万円まで所得税10%+住民税4% |
所有期間は取得した日から売却した年の1月1日までを通算します。たとえば2021年6月に取得した持分を2026年7月に売る場合、2026年1月1日時点の所有期間は4年7か月なので短期譲渡所得に該当します。
相続した持分の所有期間は被相続人の取得日から数える
相続によって取得した共有持分の所有期間は、相続人が引き継いだ日からではなく、被相続人(亡くなった方)が取得した日から通算します。国税庁No.3270で明確に定められています。
たとえば、父親が1980年に購入した実家を2025年に相続し、2026年に売却した場合、所有期間は1980年から2026年までの約46年で長期譲渡所得に該当します。相続日からたった1年でも、被相続人の長い所有期間がそのまま引き継がれるため安心してください。
2027年分以後の付加税の変更点
令和8年度税制改正(財務省)で確定した内容です。2027年分(令和9年分)以後は付加税の内訳が変わりますが、合計の負担率は現行と同じ2.1%に設定されています。
| 項目 | 2026年分以前 | 2027年分(令和9年分)以後 |
|---|---|---|
| 復興特別所得税 | 2.1% | 1.1%(引下げ) |
| 防衛特別所得税 | なし | 1.0%(新設) |
| 付加税合計 | 2.1% | 2.1% |
実効税率に大きな変化はありませんが、売却する年の税制が変わっている可能性があるため、国税庁の最新情報を確認する習慣をつけておきましょう。
3,000万円控除【共有者ごとに判定・各自で申告】
マイホーム(居住用財産)を売ったときの3,000万円特別控除は、共有者1人につき最高3,000万円です。「共有不動産全体で3,000万円」ではありません。この点を誤解している人がとても多いので、正確に押さえてください。
たとえば夫婦で2分の1ずつ共有するマイホームを売った場合、夫婦それぞれが要件を満たせば夫3,000万円・妻3,000万円の合計6,000万円の控除が可能です。ただし確定申告は共有者各自が別々に行います。代表者が一括申告することはできません。
3,000万円控除の要件チェック
以下のすべてに該当するか、共有者ごとに確認してください。
| # | チェック項目 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| ❶ | 自分が住んでいた家屋か | 現在居住中/または住まなくなってから3年後の12月31日までに売却しているか |
| ❷ | 土地と建物の両方を所有しているか | 土地だけの共有者は原則対象外(例外あり) |
| ❸ | 特別関係者への売却ではないか | 配偶者・親子・兄弟などの親族、自分が代表者の法人への売却は対象外 |
| ❹ | 過去3年以内に同じ特例を使っていないか | 3,000万円控除は3年に1度しか使えない |
| ❺ | 事業用などに転用していないか | 居住用から賃貸などに用途変更していると対象外になることがある |
すべて「はい」なら3,000万円控除の対象になります。ひとつでも「いいえ」がある場合、または条件が曖昧な場合は、税務署の電話相談センターか税理士に確認してください。
土地のみの共有者は原則として控除対象外
3,000万円控除は「居住用財産」の譲渡に対する特例です。そのため、家屋を所有していない共有者(土地だけの共有者)は原則として控除を受けられません。
ただし以下の条件をすべて満たす場合は、限定的に利用できる可能性があります(国税庁No.3308)。
- 土地の共有者が家屋所有者の配偶者または親族である
- 土地の共有者が家屋所有者と生計を一にしている
- 土地の共有者が家屋所有者と同居しているか、敷地を共用している
- 土地と家屋を同時に売却し、同一の買主に譲渡する
- 家屋所有者が控除を使いきれなかった(残余がある)
該当しそうな場合は税理士に相談するか、税務署で確認してください。
【注意】自分の持分だけ売る場合の3,000万円控除
自分だけが持分を売却し、他の共有者が持分を残すケースで3,000万円控除が適用できるか——この論点については、国税庁が直接明示した一次情報(通達・Q&A)が確認できていません。
理論上は以下の条件をすべて満たせば適用できる可能性がありますが、売却前に税務署または税理士に確認することを強くおすすめします。
- 売却する持分に対応する家屋部分に自分が居住していた(または転居後3年以内)
- 売却先が特別関係者ではない
- 過去の特例利用の制限に該当しない
税務署に確認するときの質問例:
「共有名義の実家(土地建物)のうち、自分名義の2分の1の持分だけを第三者に売却します。自分はこの家に住んでいました。この場合、居住用財産の3,000万円控除は適用できますか?他の共有者は住んでおらず、持分を残したままです。」
具体例:兄と弟の実家・兄だけが持分売却を検討するケース
両親が亡くなり、兄と弟が実家を2分の1ずつ相続。兄はそのまま実家に住み続け、弟は遠方のマンションで生活している。兄が自分の持分だけを買取業者に売却しようと考えた。
兄は居住要件を満たすため、3,000万円控除の可能性がある。ただし「弟が持分を残したまま兄の持分だけ売る」ケースについて国税庁の明示的なQ&Aは確認できていない。
兄が確実を期すなら、売却前に税務署電話相談センターへ上記の質問例をそのまま電話で確認しておくのがベスト。控除を使えると思って売った後で「対象外」と判明すると、想定より税負担が大きく膨らむリスクがある。
10年超所有の軽減税率【3,000万円控除と併用可能】
所有期間が10年を超える居住用財産を売る場合、軽減税率の特例を併用できます。国税庁No.3305で「重ねて受けることができる」と明確にされています。
| 課税譲渡所得 | 税率(所得税) | 住民税 |
|---|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 10% | 4% |
| 6,000万円超の部分 | 15% | 5% |
計算の順番は次のとおりです。
譲渡所得 - 3,000万円控除 = 課税譲渡所得 → 軽減税率を適用
たとえば譲渡所得が4,000万円、3,000万円控除を適用した後の課税所得が1,000万円なら、この1,000万円は6,000万円以下なので軽減税率(所得税10%+住民税4%)が適用されます。
相続した共有持分を売る場合の追加ポイント
相続した共有持分を売る場合、以下の点が一般の売却と異なります。
- 所有期間:被相続人の取得日から通算(相続日から数え直さない)
- 取得費:被相続人の購入価格を引き継ぐ(建物の減価償却も被相続人の所有期間にさかのぼる)
- 相続税の取得費加算:相続税を支払った人は、一定期限内に売却すれば支払った相続税の一部を取得費に加算できる
相続税の取得費加算(国税庁No.3267)の適用期限は次のとおりです。
相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで
この特例を適用すると取得費が増えるため、譲渡所得が圧縮されます。適用可能かどうかは相続税額や売却のタイミングで変わるため、相続した共有持分を売る場合は売却前に税理士に相談するのが確実です。
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売却損が出た場合はどうなるか
共有持分の売却で譲渡損失(売却損)が発生した場合の取扱いを誤解している人が多くいます。
一般の譲渡損失の原則:
共有持分の売却で生じた通常の譲渡損失は、給与所得や事業所得と損益通算できません。他の土地や建物の売却益とのみ相殺可能です。単独で売却損が出ただけでは所得税の還付を受けられないのが原則です。
例外:一定の長期所有マイホームの譲渡損失
以下の要件をすべて満たせば、給与所得などとの損益通算や翌年以後3年間の繰越控除が認められることがあります(国税庁No.3370・No.3390)。
- 自分が住んでいた家屋(居住用財産)を売却した
- 住宅ローンが残っていた(一定の要件あり)
- 所有期間が5年を超えている
- 買換えをした、または売却代金の全額を住宅ローンの返済に充てた
共有持分のみの売却でこの特例が適用できるかは個別事情によります。該当しそうな場合は税理士に相談してください。
注意
「売却損が出たから申告不要」で終わらせると、本来受けられたはずの控除や還付を逃す可能性があります。該当するか微妙なケースでも、確定申告書を一度作成して計算してみることをおすすめします。税務署の確定申告相談や税理士への初回相談であれば、費用をかけずに確認できるケースもあります。
確定申告が必要な人・不要な人【ケース別】
| ケース | 確定申告 | 理由 |
|---|---|---|
| 譲渡益が発生した(特例を使わない) | 必要 | 分離課税の譲渡所得は申告義務あり |
| 3,000万円控除で譲渡所得がゼロになった | 必要 | 控除を受けるには申告が必須(税額ゼロでも申告) |
| 軽減税率のみ適用したい | 必要 | 特例適用には申告が必要 |
| 相続税の取得費加算を受けたい | 必要 | 申告書に加算額を記載する必要がある |
| 通常の譲渡損失のみ(居住用ではない) | 不要 | 一般の譲渡損失は損益通算不可 |
| 一定のマイホーム譲渡損失(居住用・ローンあり) | 検討要 | 損益通算・繰越控除を受けるには申告が必要 |
とくに注意したいのが「税額ゼロだから申告不要」という誤解です。3,000万円控除などの特例を適用するには必ず確定申告が必要です。申告しなければ控除が受けられず、本来ゼロだった税額が課税されてしまいます。
確定申告の流れと必要書類
確定申告は売却した年の翌年2月16日から3月15日までに行います。e-Taxなら自宅から24時間提出可能で、申告期間外でも受付できます。
使用する申告書の様式
共有持分の売却による譲渡所得の申告には以下の書類を使います。
- 申告書第一表・第二表(「確定申告書A・B」は令和3年分までで廃止。現在は第一表・第二表を使用)
- 申告書第三表(分離課税用) — 譲渡所得は分離課税のため必須
- 譲渡所得の内訳書(土地・建物用) — 売却した物件の詳細や計算過程を記載
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で数字を順番に入力すれば自動で申告書が完成します。手書きより正確で、e-Tax送信も可能です。
必要書類一覧(条件別)
原則必要なもの:
- 売買契約書の写し
- 登記事項証明書
- 収入金額・取得費・譲渡費用が分かる書類(領収書・明細書等)
- マイナンバー確認書類・本人確認書類
特例利用時に必要なもの:
- 住民票の写し(3,000万円控除・軽減税率:居住証明のため)
- 相続税の申告書の写し(相続税の取得費加算)
- 住宅ローンの残高証明書(譲渡損失の損益通算)
住所が異なる場合などに必要なもの:
- 物件所在地と申告者の住所が異なる場合、戸籍の附票などで継続的な居住を証明できる書類が必要になることがあります。「確定申告に戸籍の附票が必ず必要」というわけではなく、居住要件の確認に必要な場合に限られます。
申告から納税・還付までの流れ
- 必要書類をそろえる(売買契約書・登記・領収書等)
- 譲渡所得を計算する(収入金額-取得費-譲渡費用)
- 特例の有無を判定する(3,000万円控除・軽減税率等)
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成
- e-Taxで送信するか税務署に書面で提出
- 納税または還付を受ける
【重要】売却代金から税金は天引きされません。持分のみ売却の場合、買取代金は全額が自分の口座に入金されます。翌年の確定申告で税額が確定した時点で、まとまった金額を納税しなければならないことを売却前から想定しておいてください。期限後申告(3月15日以降)になると無申告加算税(最大15%)や延滞税が上乗せされるため、申告期限は厳守しましょう。
税金・諸費用を差し引いた手取りの考え方
共有持分を売ったときの手取り額は、売却代金から以下の費用を差し引いた金額です。
手取り額 = 売却代金 - 売却費用(仲介手数料等) - ローン精算金 - 譲渡所得税等
| 比較軸 | 持分のみ売却 | 全体売却(按分) | 他共有者への売却 |
|---|---|---|---|
| 売却代金(目安) | 全体価格の2〜6割程度(持分買取相場) | 全体価格×持分割合 | 持分のみ売却より高めのケースが多い |
| 売却手続きの期間 | 短期(1〜2か月程度) | 中〜長期(他共有者の調整が必要) | 交渉次第で短期も可 |
| 他共有者の同意 | 原則不要 | 全員同意必須 | 買主が他共有者なら同意不要 |
| 税務判断の複雑さ | 持分のみの計算でシンプル | 按分計算が必要 | 特別関係者の場合、控除制限あり |
| 3,000万円控除の適用 | 居住要件次第(売却前に要確認) | 居住要件次第 | 特別関係者への売却は原則不可 |
持分買取の査定額は、持分割合・占有の有無・共有者との関係・登記の状態によって業者ごとに判断が分かれます。同じ物件でも提示額に差が出ることが珍しくありません。1社だけで決めると相場観がないまま契約することになるため、共有持分の取り扱いに慣れた複数社で条件を比較するところから始めるのが安全です。
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相談先の選び方【ケース別】
| こんな人 | 相談先 | 持参するとよいもの |
|---|---|---|
| 一般的な税率・期限・書き方を知りたい | 税務署の電話相談センター | 売買契約書・登記事項証明書 |
| 取得費不明・土地建物の持分が異なる・相続加算がある | 税理士 | 契約書・登記・相続税申告書・住民票 |
| 相続登記未了・抵当権抹消が必要 | 司法書士 | 登記・戸籍・遺産分割協議書 |
| 査定額・売却条件を知りたい | 不動産会社(共有持分買取専門) | 登記・固定資産税評価証明書 |
| 持分売却の法的可否・共有物分割を検討 | 弁護士 | 登記・共有者一覧・これまでの経緯 |
相談前に整理しておくとスムーズな事実:
- 自分が売ったのは「持分だけ」か「不動産全体」か
- 土地と建物の持分割合は同じか、異なるか
- 持分を「いつ」「どの方法(相続・購入・贈与)」で取得したか
- 自分がいつまでその家に住んでいたか
- 過去2年に3,000万円控除などを使ったか
- 買主は親族・同族会社など特別な関係ではないか
- 相続税を納めたか(相続した場合)
- 売却損が出た場合、住宅ローンや買換えがあるか
よくある質問(FAQ)
Q1. 共有持分を売ったら必ず確定申告が必要ですか?
いいえ、必ず必要とは限りません。譲渡益が発生した場合や、3,000万円控除・軽減税率などの特例を適用したい場合は申告が必要です。譲渡損のみで特例を使わないなら原則不要ですが、一定のマイホーム譲渡損失で損益通算を受けたい場合は申告した方が有利になるケースがあります。
Q2. 共有者全員分を代表者がまとめて申告できますか?
できません。譲渡所得は共有者ごとに計算し、各自が自分の確定申告書を提出します。代表者による一括申告は認められていません。
Q3. 土地だけ共有している人は3,000万円控除を使えますか?
原則として使えません。3,000万円控除は居住用の家屋を売った場合の特例のため、家屋を所有しない土地のみの共有者は対象外です。ただし家屋所有者の配偶者や親族で生計同一・同居・同時売却などの条件を満たし、家屋所有者が控除を使いきれなかった残余がある場合は、限定的に利用できる可能性があります。
Q4. 相続した共有持分の所有期間は相続日から数えるのですか?
いいえ、被相続人の取得日から通算します。国税庁No.3270で明確に定められており、相続や贈与で取得した資産は被相続人・贈与者の取得日をそのまま引き継ぎます。父親が30年前に購入した家を相続し、すぐに売却しても長期譲渡所得に該当します。
Q5. 3,000万円控除と軽減税率は併用できますか?
はい、併用できます。国税庁No.3305で「重ねて受けることができる」と明記されています。譲渡所得から先に3,000万円を控除し、残った課税譲渡所得に軽減税率を適用します。
Q6. 取得費の契約書がない場合はどうなりますか?
売却代金の5%を概算取得費として計上できます。ただし概算取得費は実際の取得費より小さくなることが多く、課税所得が膨らみやすい点に注意が必要です。購入時の契約書・ローン書類・被相続人の保管資料・固定資産税の評価証明書を先に探すことをおすすめします。
Q7. 売却損が出た場合、申告は不要ですか?
原則として不要ですが、例外があります。一般の譲渡損失は他の所得と損益通算できないため申告しなくても問題ありません。ただし自分が住んでいた家屋で住宅ローンが残っているなど一定の条件を満たす居住用財産の譲渡損失は、給与所得などとの損益通算が認められるケースがあります。該当しそうなら税理士に相談してください。
Q8. 持分のみ売却した場合、税金は売却代金から天引きされますか?
天引きされません。給与と異なり、不動産の売却代金から税金が自動的に差し引かれることはありません。売却代金は全額が自分の口座に入金されます。税金は翌年の確定申告で納付するため、売却時点で手取りを把握するには後払いする税金の分を考慮しておく必要があります。
まとめ
共有持分の売却にかかる税金は「売却代金に税率を掛ければ終わり」ではありません。この記事で説明した内容を、あなたの状態に当てはめて整理してみてください。
売却前で手取りを試算したい場合:
- 自分の売却がA(持分のみ)かB(全体)かC(他共有者へ)かを確定する
- 取得費の資料を探す(見つからなければ概算5%)
- 3,000万円控除が自分に適用できるか、要件チェックで確認する
- 税金を差し引いた手取り額を試算し、納税資金の準備計画を立てる
- 複数社の査定を比較し、最も有利な条件を選ぶ
売却後で確定申告の準備をしたい場合:
- 申告期限(翌年3月15日)を確認する
- 売買契約書・登記事項証明書・領収書をそろえる
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーか税理士に相談して申告書を作成する
- 特例(3,000万円控除・軽減税率・相続税の取得費加算)の適用を忘れずに確認する
どちらの場合も、分からないことがあれば税務署の電話相談センターか税理士に早めに確認することをおすすめします。共有持分の売却に関する税務は共有者ごとに条件が異なるため、「人に聞けばすぐ解決した」というケースも少なくありません。売却前に確認すれば、想定外の高額な税金を支払うリスクを避けられます。
共有持分の売却で迷ったら
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
共有持分・再建築不可・事故物件など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。