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【共有持分の差押え・競売】他の共有者への影響は?回避する方法と立場別の対処法

目次

共有持分の差押えや競売と聞くと、「すぐに家を追い出されるのでは」と不安になる人は少なくありません。しかし結論から言えば、共有持分の差押えは原則として債務者本人の持分のみが対象で、他の共有者の権利まで奪われるわけではありません。競売にかかっても半年~1年程度の猶予があり、その間に取る行動次第で状況を大きく変えられます。

この記事でわかること
・共有持分の差押えとは何か(全体の差押えとの違い)
・差し押さえられる4つの原因と競売の種類
・差押えから競売までの流れとタイムライン
・競売が行われた場合の4つの具体的な影響
・固定資産税の滞納やペアローンなど、放置すると危険な例外ケース
・「自分が債務者」か「他の共有者」か、立場別の対処法

あなたが今どの立場にいて、どの段階にいるのか——それに合わせて取るべき行動は変わります。順に整理していきましょう。

この記事を書いた人

訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。

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共有持分の差押え・競売とは?「不動産全体」との違いを理解する

共有持分の差押えとは、共有不動産のうち債務者が持っている共有持分だけを差し押さえる手続きです。不動産全体を差し押さえるのではなく、債務者の権利の範囲に限定される点が最大のポイントです。

たとえば、兄と弟が実家を2分の1ずつ共有している場合を考えてみましょう。

ケース 差押えの対象 他の共有者への影響
兄(債務者)のみの持分が差押え 兄の2分の1の持分のみ 弟の持分に直接の影響はなし
不動産全体の差押え 不動産全体(例外ケース) 弟の持分にも影響が及ぶ

共有持分が差し押さえられると、その後、裁判所や税務署の手続きによって強制的に競売(または公売)にかけられ、売却代金が債務の返済に充てられます。この点は通常の不動産競売と共通ですが、共有持分だけの競売には独自のリスクと注意点があります。

法律上の根拠:民事執行法43条2項では、共有持分は強制執行の手続きにおいて「不動産とみなす」と定められています。つまり、共有持分は単独で差押え・競売の対象となる独立した財産として扱われます。

共有持分が差し押さえられる4つの原因

差押えには原因となる法律関係があり、その種類によって競売の手続きが変わります。大きく分けて以下の4つです。

原因①:住宅ローンの滞納(抵当権の実行=担保不動産競売)

住宅ローンを組むとき、金融機関は不動産に抵当権を設定します。返済が滞ると、金融機関は裁判所に担保不動産競売を申し立て、強制的に物件を売却してローンの残債を回収します。
このケースの特徴は、債務名義(判決など)が不要で、抵当権の登記があるだけで手続きを開始できる点。比較的早い段階で競売手続きに入ります。

原因②:借金の滞納(強制競売)

クレジットカードのリボ払い、カードローン、事業の借入金など、抵当権のない借金を滞納した場合も、債権者は裁判所に強制競売を申し立てられます。この場合は、確定判決や公正証書などの債務名義を取得してから強制執行の手続きに入るため、担保不動産競売より手続きに時間がかかります。

原因③:税金・社会保険料の滞納(公売)

所得税や住民税、固定資産税、国民年金保険料、国民健康保険料などを滞納した場合、国や自治体は裁判所を経由せずに直接、財産を差し押さえて公売にかけることができます(国税徴収法・地方税法)。
裁判所を通さないため、競売よりスピーディに手続きが進むのが特徴です。

原因④:連帯保証人としての債務

他人の借金の連帯保証人になっていた場合、主債務者が返済不能に陥ると、保証人にも返済義務が生じます。その保証債務を滞納すると、保証人個人の財産である共有持分が差押えの対象になります。

競売と公売の違い

項目 強制競売 担保不動産競売 公売
根拠法 民事執行法 民事執行法 国税徴収法/地方税法
実施主体 裁判所 裁判所 国(税務署)/自治体
必要な書類 債務名義(判決等) 抵当権の登記+債権証書 督促状+滞納事実
手続きの速度 やや遅い(1年前後) やや早い(6ヶ月~1年) 早い(数ヶ月~半年)
対象となる債務 抵当権なしの借金 住宅ローン等の抵当権付き借金 税金・社会保険料

※税金の滞納は、国税徴収法や地方税法により、督促状送付から10日経過すると差押えが可能になります。裁判所の審査を経ないため、比較的短期間で手続きが進む傾向があります。

差押えから競売・公売までの流れと期間

差押えはある日突然やってくるわけではありません。一定の段階を踏んで進行します。今どの段階にいるのかを把握することで、取るべき対応が変わります。

段階 内容 目安期間 この段階でできること
①督促段階 債権者・税務署からの督促状・催告書が届く 滞納から数週間~数ヶ月 一括返済・リスケ交渉・任意売却の準備
②債務名義取得(強制競売の場合) 債権者が裁判所で判決や支払督促を取得 1~3ヶ月 債務整理の検討・持分売却の本格化
差押登記の実行 裁判所または税務署が法務局に嘱託、差押えの登記が入る 債務名義取得から数日~2週間 任意売却の交渉(債権者同意が必要)
④現況調査・評価 執行官が物件の現況調査、不動産鑑定士が評価 2~4ヶ月 競売回避の最終調整期間
⑤売却基準額の決定 裁判所が最低入札価格(売却基準額)を決める ―― 競売回避は極めて困難に
⑥入札期間・開札 入札公告から入札、開札、売却許可決定 1~2ヶ月 買受人決定後は競売回避不可
⑦代金納付・配当 買受人が代金を納付、債権者に配当 1~2ヶ月 競売完了

この流れのうち、②~③の間であれば比較的選択肢が多く、③~④の間でもまだ対応可能です。⑤以降になると手続きが大きく進み、競売の回避は難しくなります。

共有持分が差押え・競売されると起こる4つの影響

差押えや競売の事実は、単に「財産を失う」だけではなく、他の共有者との関係や日常生活にも影響を及ぼします。具体的に見ていきましょう。

影響①:他の共有者に差押えの事実が知られる

差押えの通知は原則として債務者本人にのみ送られます。そのため、他の共有者が差押えの事実をすぐに知ることはありません。
しかし、差押えの登記が法務局の登記簿に記載されるため、他の共有者が登記簿を確認すれば誰でも知ることができる状態になります。
また、段階④の執行官による現況調査では、裁判所の執行官が直接物件を訪問し、物件の状況・占有者の有無・賃料の有無などを調査します。このとき共有者がその物件に住んでいれば、執行官から差押えの事実を伝えられることになります。
つまり、同居している共有者には遅かれ早かれ発覚する可能性が高いということです。

影響②:競売で第三者が落札し、見知らぬ人と共有状態になる

競売で共有持分が落札されると、落札者が新たな共有者となります。それまで家族や親族と共有していた関係が、突然、第三者との共有関係に変わります。
共有持分の競売は一般の買い手がつきにくいため、落札者の多くは不動産投資業者や訳あり物件を扱う業者であるケースが大半です。
こうした業者は、競売で安く取得した共有持分を元に、残りの共有者に買取を迫ったり、共有物分割請求訴訟を起こして不動産全体を換価分割させたりして利益を得るビジネスモデルを持っています。この「競売で共有持分を取得→残りの共有者に売却または訴訟」という流れが、段階的に進行する点が大きなリスクです。

【ケーススタディ】相続した実家で兄の持分が競売にかかったAさんの場合

両親が亡くなり、兄と弟(Aさん)で実家を2分の1ずつ相続。兄は自営業で借金を抱えており、返済に行き詰まった末、兄の持分に債権者から差押えが入りました。

Aさんは「兄の借金なのに自分に影響が出るのか」と不安を感じながらも、何もせず様子を見ていました。数ヶ月後、兄の持分は競売にかけられ、地元の不動産会社が落札。

その翌週、不動産会社の担当者がAさんの自宅に訪問し、「持分をこの金額で買い取らせてほしい。応じなければ共有物分割請求の訴訟を起こす」と通告。Aさんは全く想定していなかった事態に直面することになりました。

影響③:落札者から持分買取の打診・共有物分割請求を受ける

競売で共有持分を取得した第三者(多くの場合、業者)は、残りの共有者に対して持分の買取を打診してきます。これは法律上の権利というよりも、商行為としての交渉です。
これに応じない場合、第三者は共有物分割請求訴訟(民法256条)を提起することができます。共有物分割請求には以下の3つの方法があります。

分割方法 内容 実務上の特徴
現物分割 土地や建物を物理的に分割する 住宅や狭小地では現実的でないケースが多い
代償分割(価格賠償) 一方が不動産を取得し、他方に代償金を支払う 代償金を用意できるかが課題
換価分割(競売) 不動産を売却して代金を分ける 実務で最も多い。結局、他の共有者も持分を失う

共有物分割請求訴訟で裁判所が最も採用しやすいのは「換価分割」です。換価分割になると、残りの共有者の持分も強制的に競売にかけられ、売却代金から各共有者の持分割合に応じて分配されます。つまり、自分は滞納していなかったのに、結果的に不動産を失う可能性があるのです。

影響④:居住中の場合は家賃相当額の不当利得請求を受ける可能性

共有者のうち誰かがその不動産に住んでいる場合、競売で取得した第三者は、居住中の共有者に対して家賃相当額の不当利得を請求することがあります。
共有者は持分に応じて不動産を使用する権利(民法249条)を持っていますが、自分の持分割合を超えて使用している部分については、他の共有者に対して不当利得返還義務が生じるという考え方です。

具体的な金額感を見てみましょう。たとえば、2分の1の持分を持つAさんが、競売で残り2分の1を取得した第三者から不当利得を請求されたケースを想定します。

【計算例】不当利得請求の金額イメージ

不動産の推定家賃相場:月額10万円

Aさんの持分割合:2分の1

Aさんが単独で使用している超過分:10万円 × 1/2 = 月額5万円

→ 年間で60万円、3年分で180万円の請求を受ける可能性

ただし、不当利得の請求に対しては、居住側にも反論の余地があります。
・「家族間の使用貸借(無償の貸し借り)として住んでいる」という主張
・「過去の修繕費や固定資産税の負担を相殺する」という主張
・第三者が取得した時点からしか遡及して請求できない(過去の居住分すべてが対象になるわけではない)
とはいえ、訴訟になれば裁判所の判断を待つことになるため、精神的・金銭的な負担は避けられません。

【例外】放置するとより深刻な2つのケース

前述したように、共有持分の差押えは原則として債務者の持分のみが対象です。しかし、以下の2つのケースでは他の共有者の財産にも影響が及ぶため、特に注意が必要です。

ポイント

「自分は滞納していないから大丈夫」と思っている人ほど危険なのが、固定資産税の連帯納付義務とペアローンのケースです。自分が原因ではなくても、他の共有者の行動によって自分の持分も巻き込まれる可能性があります。

例外①:固定資産税の滞納——共有者全員に連帯納付義務が及ぶ

共有不動産にかかる固定資産税は、地方税法10条の2第1項により、共有者全員が連帯して納付する義務を負います。
つまり、共有者のうち1人が固定資産税を滞納した場合、自治体は滞納者だけでなく、他の共有者の財産(預金・給与・不動産など)も差し押さえることができます。

たとえば、兄と弟で実家を共有しているケースを考えてみましょう。兄が固定資産税を滞納すると、自治体は弟の預金を差し押さえたり、弟の共有持分を差し押さえたりすることが法律上可能です。
これは住宅ローンの滞納とは異なり、自分が原因でなくても自分の財産が差押えの対象になるという点で、共有者の間で最もトラブルになりやすい論点のひとつです。

なお、固定資産税の納付義務の詳細については、別記事「共有持分の固定資産税は誰が払う?税額の考え方と代表者の決め方・トラブル回避まで徹底解説」で詳しく解説しています。

例外②:ペアローン・連帯債務——滞納していない共有者も不動産全体を失うリスク

夫婦でペアローン(各自が別々のローン契約)を組んでマンションを購入した場合、各金融機関は不動産全体に抵当権を設定します。つまり、夫のローンを滞納した場合、夫の金融機関は不動産全体に対して担保不動産競売を申し立てることができます。

このケースの怖さは、妻(滞納していない側)も居住権を失うという点です。ペアローンでは、自分がきちんと返済していても、相手の滞納によって不動産全体が競売にかけられ、結果的に住む場所を失うリスクがあります。

【ケーススタディ】ペアローンのマンションに住むB夫婦の場合

Bさん夫婦は4,000万円のマンションをペアローンで購入。夫が3,000万円、妻(Bさん)が1,000万円のローンをそれぞれ組み、夫名義・妻名義の2分の1ずつの共有名義としていました。

夫が事業に失敗し、夫名義の住宅ローンが滞納に。金融機関は夫名義の抵当権に基づき、マンション全体の担保不動産競売を申し立てました。

妻は自身の1,000万円のローンを滞納なく返済していたにもかかわらず、マンション全体が競売にかけられました。競売での売却価格は2,500万円。夫の残債3,000万円には届かず、さらに売却費用や抵当権の順位によって、妻の持分から配当される金額はごくわずかでした。

結局、妻は住む家を失い、さらに自身のローン1,000万円は残ったまま——という二重の被害を受けることになりました。

まず確認しよう——あなたは「債務者本人」?「他の共有者」?

ここからは立場別の対処法を解説します。以下のフローで自分のケースを確認してください。

▼ 簡単チェック

  1. 差押えの原因となっている債務は自分自身の借金・滞納ですか? → 「自分の持分が差押え」ケースへ
  2. 差押えの原因は他の共有者(家族・親族など)の借金・滞納ですか? → 「他の共有者の持分が差押え」ケースへ
  3. 固定資産税の滞納が原因で、自分も巻き込まれている可能性がありますか? → 両方のケースを確認。より緊急性が高いのは「例外ケース」です

自分の共有持分が差し押さえられた場合の対処法

自分自身の債務が原因で共有持分が差し押さえられた場合です。このケースでは、目的として「所有し続けたい」か「手放してすっきりしたい」かで選択肢が分かれます。

所有し続けたい場合の対処法

選択肢①:滞納額を一括返済する

差押えが解除される最も確実な方法です。住宅ローンや借金の滞納であれば、残債を一括返済すれば抵当権が抹消され、競売手続きも停止されます。ただし、一括で用意できる資金が必要です。

選択肢②:ローンのリスケジュール(条件変更)を相談する

金融機関に対して、返済期間の延長や金利の引き下げ、一定期間の返済猶予(リスケジュール)を依頼する方法です。競売開始前であれば、金融機関も任意の話し合いに応じる余地があります。
ただし、税金や社会保険料の滞納についてはリスケジュールは使えません(納付期限の延長は原則認められていません)。

選択肢③:債務整理を検討する

複数の借金を抱えている場合は、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)を検討します。それぞれ共有持分への影響が異なります。

債務整理の種類 共有持分への影響 特徴
任意整理 原則として影響なし。債権者と直接交渉 利息カット・返済期間延長。住宅ローンは対象外
個人再生 住宅ローン特則を使えば持分維持可能(要裁判所認可) 借金を5分の1程度に減額。3年で分割払い
自己破産 持分を含む財産が換価(処分)対象になる 持分を残したい場合は自由財産拡張の申立てが必要

選択肢④:共有者や親族に持分を買い取ってもらう

他の共有者や親族があなたの持分を買い取れば、第三者(競売の落札者)が共有者になることを防げます。この場合、持分の売却代金で債務を返済し、差押えを解除するルートが現実的です。
共有者間の売買であれば、市場価格よりやや低い価格でも合意できれば成立しやすく、家族間の共有関係を維持できます。

手放してすっきりしたい場合の対処法

選択肢⑤:任意売却で競売より高く売る

競売にかかる前に、任意売却(債権者の同意を得て市場で売却)することで、競売より高い価格での売却が期待できます。競売は市場価格の6~7割程度になるケースが多いのに対し、任意売却はより市場に近い価格で売れる可能性があります。
任意売却が可能かどうかは、債権者の同意が得られるかが鍵になります。競売開始後でも、売却許可決定前であれば任意売却への切り替えを交渉できる場合があります。

選択肢⑥:自分の持分だけを専門業者に売却する

共有持分は不動産全体と違い、一般の買い手がつきにくいため、共有持分の買取に対応している専門業者に売却するのが現実的な方法です。自分の持分だけなら他の共有者の同意は不要で、単独で売却できます。
ただし、共有持分の買取価格は持分割合に市場価格を単純に掛けた金額にはならず、共有減価(共有状態による価値の低下)が反映されるため、想定より低い金額になることを理解しておく必要があります。

競売前に自分の持分を売却して整理するのが現実的なのは、共有者と話がつかず、自分だけでも先に整理したい人です。ただし共有持分の査定額は、持分割合・占有の有無・共有者との関係・登記の状態によって業者ごとに判断が分かれ、同じ物件でも提示額に差が出ます。1社だけで決めると相場観がないまま契約することになるため、共有持分の取り扱いに慣れた複数社で条件を比べるところから始めるのが安全です。

他の共有者の持分が差し押さえられた場合の対処法

自分は関係ないのに、他の共有者(兄弟・親族・元配偶者など)の債務によって巻き込まれたケースです。この立場の読者が最も知りたいのは、「自分はどうすれば見知らぬ第三者との共有関係を避けられるのか」という点です。

所有し続けたい場合の対処法

選択肢①:差押えられた持分を自分で買い取る

差押えが実行された後でも、競売の前であれば、債務者(他の共有者)と交渉してその持分を自分で買い取ることができます。買取代金で債務を弁済すれば、差押えは解除され、あなたが単独所有者になれます
この方法のメリットは、新しい共有者が現れるのを防ぎ、かつ共有状態自体を解消できることです。デメリットは、買取代金を用意する必要があることです。

選択肢②:他の共有者の債務を肩代わりして競売を阻止する

債務者に代わって滞納額を支払えば、競売手続きは停止されます。この場合、あなたは債務者に対して求償権(立て替えた金額を請求する権利)を持つことになります。
ただし、債務者に支払い能力がない場合、請求しても回収できない可能性が高いため、実質的に「負債を引き受ける」覚悟が必要です。

選択肢③:競売に参加して自分で落札する

競売が始まってしまった場合でも、他の共有者として競売に入札参加することができます。この方法なら、第三者より高い金額を提示できれば、持分を取得し、他の共有者(競売の落札者)の侵入を防げます。
ただし、共有持分の競売は市場価格より低い価格で落札されることが多いため、余裕を持った資金準備が必要です。

手放す場合の対処法

選択肢④:共有者全員で不動産全体を任意売却する

他の共有者の持分が競売にかけられるぐらいなら、不動産全体を売却してしまい、代金を分ける方が高く売れる可能性があります。競売での共有持分の価格は大きく減価するのに対し、不動産全体を市場で売却すれば、より高い価格が期待できます
ただし、この方法には共有者全員の同意が必要です。債務者である共有者が同意しない場合は難しく、また任意売却は債権者の同意も得る必要があります。

選択肢⑤:自分の持分だけを売却して共有関係から抜ける

第三者が共有者になるリスクを避けるのではなく、自分が先に関係から抜けてしまう方法です。自分の持分だけなら単独で売却できます。
競売後に共有者が増えて複雑化する前に、自分の持分を早めに整理することで、後々のトラブルを回避できます。

【競売後】第三者が共有者になった場合の対処法

競売が実行され、第三者が共有持分を取得した後の対処法です。この段階でも、取るべき選択肢はあります。

落札者からの持分買取交渉に応じるべき?

競売で共有持分を落札した第三者の多くは、残りの共有者に対して持分の買取を打診してきます。これは「買ってほしい」という交渉であり、強制力はありません。
ただし、応じなければ共有物分割請求訴訟を起こされるリスクがあります。訴訟になると裁判所の判断で換価分割(強制売却)が命じられ、結果的にあなたの持分も強制的に売却されることになります。
そのため、戦略としては、価格交渉の余地を残しつつ、あらかじめ「いくらなら応じるか」のラインを決めておくことが現実的です。

共有物分割請求訴訟を起こされたらどうする?

共有物分割請求訴訟は、共有者なら誰でも提起できる権利です(民法256条)。訴訟になると、裁判所は以下のいずれかの方法で分割を命じます。

最も多いのは換価分割です。換価分割になると、不動産全体が競売にかけられ、売却代金が持分割合に応じて分配されます。自分は滞納していなくても、結果的に不動産を失うことになります。

裁判所に分割方法を決めてもらう前に、相手方(落札者)との間で任意の買取額を合意できれば、訴訟を回避できる可能性があります。迷ったときは、不動産に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

注意

競売後に第三者が共有者になっても、すぐに何かが変わるわけではありません。しかし、放置すると共有物分割請求訴訟に発展し、最終的に持分を失うリスクが高いことは認識しておいてください。相手方からの連絡には、早めに対応方針を決めることが大切です。

まとめ——差押え・競売になっても「次に取るべき行動」はある

共有持分の差押えや競売は、確かに大きなリスクです。しかし、この記事で見てきたように、以下のことは覚えておいてください。

  • 差押えは原則として債務者の持分のみが対象(例外:固定資産税滞納・ペアローン)
  • 差押えから競売完了までには半年~1年程度の猶予があり、その間に行動できる
  • 競売前に自分の持分を売却する、債務整理をするなど、回避の選択肢は複数ある
  • 競売後も第三者が共有者になった段階で、買取交渉や話し合いの余地は残っている

あなたが今どの立場にいるのか、どの段階にいるのか——それを見極めることが最初の一歩です。そのうえで、持分を残したいのか、手放したいのかに合わせて、適切な対処法を選んでください。

よくある質問(FAQ)

共有持分が差し押さえられたら、他の共有者に知られますか?

差押えの通知は原則として債務者本人にのみ送られるため、他の共有者がすぐに知ることはありません。ただし、執行官による現況調査の段階で同居している場合や、登記簿に差押えの登記が入るため、登記を確認すれば知ることができる状態になります。

差押えられたらすぐに家を追い出されますか?

すぐには追い出されません。競売が完了し、買受人が代金を納付するまでは居住を継続できます。また、自分の持分だけが競売の対象の場合、競売後も持分に応じた居住権は残ります。ただし、不動産全体が競売対象になるペアローンなどのケースでは、競売完了後は明け渡しが必要になります。

競売にかかるまでどのくらいの猶予がありますか?

督促から競売完了まで、おおむね6ヶ月~1年程度です。税金の滞納(公売)の場合は比較的早く進みます。各段階で取れる対応が異なるため、早めに行動することが重要です。

競売と公売の違いは何ですか?

競売は裁判所が実施する手続きで、住宅ローンの滞納(担保不動産競売)や通常の借金(強制競売)が対象です。公売は国や自治体が実施する手続きで、税金や社会保険料の滞納が対象です。公売の方が裁判所の審査を経ないため、手続きが早く進む傾向があります。

競売にかかる前に自分の持分を売却できますか?

可能です。自分の持分だけなら他の共有者の同意は不要で、単独で売却できます。差押えの登記が入る前であれば通常の売却手続きで進められます。差押え後でも、債権者の同意を得られれば任意売却として進められる場合があります(売却許可決定前であれば交渉の余地があります)。

他の共有者が滞納した場合、自分の持分も差し押さえられますか?

原則として、他の共有者の個人的な借金が原因であれば、自分の持分が差し押さえられることはありません。ただし、例外が2つあります。①固定資産税の滞納(共有者全員に連帯納付義務がある)、②ペアローンや連帯債務(不動産全体に抵当権が設定されている場合)です。この2つに該当する場合は、自分が原因ではなくても影響が及ぶ可能性があります。

競売で第三者が落札したらどうなりますか?

落札者が新たな共有者になります。その後の流れとして、落札者から持分買取の打診を受けることになります。応じなければ共有物分割請求訴訟を起こされる可能性があり、訴訟になれば換価分割(強制売却)が命じられ、結果的に残りの共有者も持分を失うリスクがあります。

ペアローンで片方だけが滞納した場合、どうなりますか?

滞納していない側も不動産全体が競売対象となり、居住権を失うリスクがあります。ペアローンでは各金融機関が不動産全体に抵当権を設定するため、片方のローンが滞納すると金融機関は不動産全体に対して担保不動産競売を申し立てることができるからです。

自己破産すれば共有持分を守れますか?

自己破産すると、共有持分を含む財産は原則として換価(処分)の対象になります。共有持分を残したい場合は、自由財産拡張の申立て(裁判所の許可が必要)や、個人再生の住宅ローン特則などの別の手段を検討する必要があります。税理士や司法書士など専門家への相談をおすすめします。

競売後の第三者から共有物分割請求が来たらどうすればいいですか?

共有物分割請求訴訟を起こされた場合、裁判所が分割方法(現物分割・代償分割・換価分割)を決定します。実務上最も多いのは換価分割で、不動産全体が強制的に売却されます。訴訟になる前に、相手方と任意で買取額の合意を目指すのが現実的な対応です。弁護士への相談も検討してください。

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