広告 違法建築

違法建築を相続したらどうする?既存不適格との違い・調べ方・売却までの判断手順

目次

相続した建物に無許可の増築が見つかった、確認済証や検査済証が見当たらない、登記面積と実際の面積が合わない——。親から引き継いだ不動産で、こんな問題に気づくと「このまま放置していいのか」「売れるのか」「多額の費用を請求されるのか」と不安になります。

結論から言えば、相続した建物がすぐに違法建築と断定できるケースは、実は多くありません。「違法建築」「既存不適格」「未登記」「検査済証なし」「再建築不可」はすべて別の概念であり、最初にどの状態に当たるかを正しく切り分けることが、無駄な費用と時間を防ぐ第一歩です。

この記事では、相続した建物の状態を自分で診断する方法、相続放棄と相続登記の期限の違い、是正・解体・現況売却の損得比較までを、実際の調査手順に沿って解説します。

この記事を書いた人

訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。

PR|本コンテンツには広告リンクを含みます。掲載内容は各社の公式サイト等で確認できる情報をもとに整理しています。

訳あり不動産の売却で迷ったら

訳あり不動産の売却は「専門業者の無料査定」から

共有持分・再建築不可・空き家・事故物件など、一般の不動産会社が扱いにくい物件でも、専門の買取業者なら現況のまま買い取れることがあります。まずは複数社に無料査定を出して比べるのが確実です。

編集部イチ押し

訳あり不動産の売却に、まずこの1社

ラクウル全国対応

株式会社ネクサスプロパティマネジメント

共有持分・再建築不可・事故物件・空き家など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。

  • 幅広い訳あり不動産に全国対応
  • 自社直接買取+AI査定で価格の目安がすぐわかる
  • 弁護士・司法書士と連携し権利関係も相談可
全国対応最短即日査定査定・現地調査無料
無料で査定額を見る 無料・1分で入力完了/しつこい営業なし

あわせて査定を比べたい専門業者

ワケガイ全国対応

株式会社ネクスウィル

訳あり不動産全般に全国対応。士業連携で権利関係の整理も一任できる。

全国対応最短3日で現金化士業連携
無料査定を申し込む
アルバリンク全国対応

株式会社AlbaLink(訳あり物件買取プロ)

東証上場の安心感。他社で断られた物件も相談しやすい全国対応。

全国対応東証上場企業他社で断られた物件も
無料査定を申し込む

※ 買取価格や対応可否は、物件の所在地・状態・権利関係・登記状況・残置物の有無などで変わります。1社だけで決めず、複数社の査定条件を比較することをおすすめします。

掲載順・掲載内容は当サイト編集部の評価基準(対応範囲・公開情報の充実度・スピード等)によるものです。各社の対応領域は時期により変わる場合があります。

相続した建物は本当に「違法建築」なのか?まずは状態を正しく診断する

「違法建築」という言葉は、法律上はっきりした定義のある用語ですが、実際の現場ではまったく異なる状態の建物が同じように「違法建築」と呼ばれているケースが少なくありません。

以下の早見表で、あなたの建物がどの状態に当たるか、まず確認してください。

状態 簡単な定義 違法建築か? 最初に何をするか
違反建築物 建築時から法令に適合していない、または無許可増築・用途変更を行った建物 是正命令の対象になり得る 違反内容と是正可能性を確認
既存不適格 建築時は適法だったが、その後の法改正で現行基準に合わなくなった建物 違法建築ではありません そのまま使い続けられる(増築時は要注意)
未登記建物 登記簿に建物(または増築部分)の記録がない状態 登記上の問題であり、建築違反とは別 土地家屋調査士に相談
検査済証なし 建築確認後の完了検査の記録が残っていない状態 それだけで違反とは断定できない 資料照合+自治体確認+建築士調査
再建築不可 土地が接道義務を満たさず、建て替えができない状態 現在の建物の問題ではなく、土地の問題 接道状況を自治体で確認
複合パターン 上記の状態が複数重なっている 個別の組み合わせで判断 優先順位をつけて一つずつ確認
すべてクリア 確認済証・検査済証・登記・接道すべて問題なし 違法建築ではありません 通常の売却手続きへ

この表で該当する状態を確認したら、以下で詳しい解説を読んでください。「検査済証がない=違法」と決めつけず、完成時の適法性とその後の増築履歴を分けて調べることが、不要な是正工事を避ける鍵になります。

① 違反建築物(建築基準法違反)—— 是正命令の対象になり得る

建築基準法に違反する建物は、「違反建築物」と呼ばれ、特定行政庁(市区町村の建築指導担当)から是正命令の対象になります。この状態が最もリスクが高く、相続人であるあなたにも影響が及びます。

親の違反は相続人に引き継がれるのか

建築基準法第9条では、特定行政庁は違反建築物の「所有者等」に対し、工事の停止、除却(取り壊し)、修繕、使用禁止などの是正措置を命じることができます。

この是正命令の対象は、違反を犯した本人だけでなく、その後の所有者にも及びます。つまり、親が行った違反であっても、相続によって建物の所有者となったあなたが是正命令を受ける可能性があります。

ただし、実際に是正命令が出るかどうかは、違反の内容や各自治体の運用方針によります。すべての違反建築物に即座に命令が出るわけではありません。

建築基準法第9条による是正命令のリスク

是正命令が出された場合の流れは、おおむね以下のとおりです。

  • 指導・勧告:まず口頭または文書での指導・勧告から始まることが多い
  • 是正命令:従わない場合、除却・修繕・使用禁止等の命令が出る
  • 代執行:命令に従わない場合、行政が代わりに是正を行い、費用を所有者に請求する(行政代執行法に基づく)
  • 罰則:命令違反には懲役や罰金が科される場合がある

注意

親の代から自治体から何らかの指導や命令を受けていた形跡があるかどうかは、自治体の建築指導担当で確認できます。売却や相続登記の前に、一度確認しておくことをおすすめします。

軽微な違反と重大な違反の違い

違反建築物といっても、その程度はさまざまです。

  • 手続違反:確認申請を出したが、検査を受けていなかった。書類上の問題で実体は基準に適合している——この場合は、建築士の現況調査で適合を証明できる可能性が高い
  • 実体違反(軽微):建ぺい率や容積率を数%超過している——是正が比較的容易な場合がある
  • 実体違反(重大):防火・構造上、または接道条件に重大な違反がある——是正が困難で、除却命令のリスクもある

違反の種類によって、是正の難易度と費用が大きく変わります。行政指導の有無も合わせて、まずは自治体で確認しましょう。

② 既存不適格建築物——「法改正で今の基準に合わない」だけなら違反ではない

「違法建築」と混同されやすいのが、この「既存不適格」です。

既存不適格は違法建築ではない(建築基準法第3条第2項)

建築基準法第3条第2項では、法令の施行または適用の際に現に存在する建築物で、新しい規定に適合しないものについては、当該規定の適用を除外すると定められています。

たとえば、1980年に建てられた家が、その後の法改正で接道距離の基準が変わったとしても、その家が建てられた当時の基準に適合していれば、既存不適格としてそのまま使い続けられます。これは違法建築ではありません。

「違法建築」と「既存不適格」の違いを一言で言えば、違法建築=建てた時点で違反、既存不適格=建てた時点では適法だったが基準が変わった、です。

増築・大規模修繕をしない限り、現行法に合わせる義務はない

既存不適格の建物は、その状態を維持している限り、直ちに是正する必要はありません。

ただし、増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替・用途変更を行う場合は、現行法への適合確認が必要になります。国土交通省の「既存建築物の現況調査ガイドライン」(2025年改訂・第4版)では、この調査の手順が詳しく示されています。

売却時に買主へ伝えるべきこと

既存不適格の状態は、それだけでは違法ではありません。ただし、売却時にはその状態を買主に説明する必要があります。買主が将来増築や建て替えを計画する場合に影響が出るためです。

既存不適格の事実を隠して売却すると、契約不適合責任を問われる可能性があります。正直に説明した上で価格を調整するのが一般的です。

③ 未登記建物・増築未登記——登記の問題と建築規制の問題は別

登記簿に建物の記載がない、または増築部分が登記されていない状態も、「違法建築」と誤解されがちです。

未登記=違法建築ではない

建物が登記されていない、あるいは増築部分が登記に反映されていないことは、不動産登記法上の問題であり、建築基準法違反とは直接関係ありません。未登記の理由には、次のようなケースがあります。

  • 建築後に登記手続きをしていなかった
  • 増築したが表題変更登記をしていなかった
  • 固定資産税の課税台帳には登録されているが、法務局の登記簿には反映されていない

未登記の建物や増築部分がある場合でも、建築当時の法令に適合していれば違法建築ではありません。ただし、未登記の増築部分が建築確認なしで行われていた場合は、別途、建築基準法違反の可能性を調べる必要があります。

未登記のまま相続登記できるか

建物の表題登記(未登記建物の新規登記)や増築部分の表題変更登記は、土地家屋調査士の業務範囲です。未登記の建物や増築部分がある状態でも、相続登記自体は一定の手続きで可能な場合がありますが、司法書士と土地家屋調査士の両方に相談するのが確実です。

④ 検査済証がない——それだけで違反とは断定できない

「検査済証がないからこの家は違法建築なのか」——これは最も多い誤解の一つです。

検査済証がなくても完成時に適法だった可能性

検査済証は、建築確認申請に基づく工事が完了した際に、確認検査機関から交付される書類です。しかし、この書類がない理由はいくつか考えられます。

  • 当時は検査済証が交付されていなかった(発行制度の開始時期より前に建築された)
  • 申請は通っていたが、検査後に書類が紛失した
  • 検査は受けたが、確認申請に一部不備があり交付が遅れた
  • そもそも確認申請を出さずに建築した(いわゆる「無確認建築」)

検査済証がないことと、建物が建築基準法違反であることは直結しません。特に築古の建物では、書類が残っていないだけのケースが少なくありません。

建築士による現況調査(ガイドライン調査)の活用

検査済証がなくても、建築士による現況調査(国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」に基づく調査)で、建築基準法に適合していることを証明できる場合があります。

この調査の費用は、調査の範囲によって異なりますが、簡易なもので5万円程度〜、詳細なガイドライン調査で20万円〜60万円程度が目安です。

調査報告書は検査済証そのものの代わりにはなりませんが、増改築時の添付資料や、売却時の買主への説明資料として活用できます。

ポイント

検査済証がない場合でも、いきなり建築士調査に飛びつく必要はありません。まずは家の中の書類を探し、次に自治体で建築計画概要書や台帳記載事項証明書を確認してから、建築士調査の要不要を判断するのが合理的です。

⑤ 再建築不可——建物を解体した後の土地の問題

「違法建築の家は解体しても土地に価値がない」——これも誤解の一つです。再建築不可は、違法建築とは別の論点です。

違法建築と再建築不可は別の話

再建築不可とは、土地が建築基準法上の接道義務(幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していることなど)を満たさず、現在の建物を解体した後に新たな建物を建てられない状態を指します。

一方、違法建築は現在建っている建物自体が建築基準法に違反している状態です。違法建築の建物を解体すれば建物の問題はなくなりますが、土地が再建築不可のまま残る可能性があります。

この2つは独立した問題であり、「違法建築の建物が建っている土地=再建築不可」ではありません。逆に、土地が再建築不可でも、現在の建物は適法であるケースもあります。

解体前に必ず接道状況を確認する理由

注意

違反建物を解体しても、土地が再建築不可なら、更地の状態で価値が大きく下がる場合があります。建物があるうちは「既存不適格」として住み続けられていたものが、解体後に同じ建物を建て直せなくなるためです。

解体工事の見積もりを取る前に、まず自治体の道路担当と建築指導担当で接道状況と再建築可否を確認してください。

43条但し書き許可という選択肢はあるが、ハードルは高い

再建築不可の土地でも、建築基準法第43条第1項ただし書きに基づく許可(通称「43条但し書き許可」)を特定行政庁から得られれば、接道義務を満たさなくても建築が認められる場合があります。

ただし、この許可を得るためのハードルは低くありません。交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないことなどの要件を満たす必要があり、特に敷地が狭小な場合や市街化調整区域では許可が下りにくい傾向があります。

違法建築の解体後に「43条但し書き許可を取って建て直そう」と考えるのは、現実的にはリスキーな戦略です。多くの場合、許可が下りずに再建築不可の土地が残るリスクがあります。この判断も、まず自治体で接道状況と許可の可能性を個別に確認することが先決です。

再建築不可の土地でも、現況のまま買い取る業者や、隣地所有者への売却など、出口がないわけではありません。しかし、解体ありきで進めると選択肢が狭まるため、解体は慎重に判断する必要があります。

ここまでは状態の整理。次に期限と選択肢を確認する

ここまでで、あなたの建物がどの状態に当たるかがおおむね見えてきたはずです。

次のステップでは、この状態に対して「相続放棄」「相続登記」「是正」「売却」のどれを選ぶべきか、期限とあわせて判断していきます。

まず確認すべき2つの期限——相続放棄(3か月)と相続登記(3年/2027年3月まで)

状態の診断と並行して、絶対に確認しておくべきなのが「相続放棄の期限」と「相続登記の期限」です。この2つを間違えると、取り返しのつかないことになります。

【期限その1】相続放棄は原則3か月。違法建築だけ選んで放棄はできない

相続放棄は、自分が相続人であることを知った日から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法915条)。

ここで絶対に誤解してはいけないのが、相続放棄は「違法建築の建物だけ」を選んで放棄する制度ではないという点です。預貯金や他の不動産も含めて、相続財産のすべてを放棄することになります。

「建物だけが問題だから、それだけ手放せればいい」という場合、相続放棄は使えません。建物だけを手放したい場合は、売却や遺産分割での対応を検討することになります。

また、違反建物の調査に時間がかかり、3か月以内に判断できない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることができます。ただし、この申立ては3か月の期間内に行う必要があります。

もし3か月を過ぎてしまった場合は、自動的に「単純承認」となり、相続財産全体を承継した状態が確定します。この場合でも、売却や買取によって違法建築の建物を現金化する道は残っています。「放棄できなかったから終わり」ではなく、次の手段に切り替えて進めてください。

【期限その2】相続登記は相続を知ってから3年以内。経過措置は2027年3月31日まで

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました(不動産登記法第76条の2)。

  • 2024年4月1日以降の相続:相続を知った日から3年以内に登記申請が必要
  • 2024年4月1日より前の相続(経過措置)2027年3月31日までが期限

正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象となります。違反建築だからといって相続登記が免除されるわけではありません。

注意点:相続放棄と相続登記の期限を混同しない

この2つの期限はよく混同されます。整理すると以下のとおりです。

制度 期限 対象 手続き先
相続放棄 相続を知った日から3か月 相続財産全体 家庭裁判所
相続登記 相続を知った日から3年
(経過措置:2027年3月31日まで)
不動産単体の所有権移転 法務局

「まだ3年あるから大丈夫」と思っていたら、相続放棄の3か月を過ぎてしまった——という失敗が後を絶ちません。両方を同時に意識しておく必要があります。

相続放棄を検討中に解体・売却すると「単純承認」リスク

相続放棄を検討している途中で注意すべきなのが、法定単純承認のリスクです。

相続財産を処分(売却・解体・大規模修繕・賃貸など)すると、法律上、自動的に「単純承認した」とみなされ、相続放棄ができなくなります(民法第921条第1号)。

「違法建築の建物は早く壊してしまいたい」と思うかもしれませんが、相続放棄を考えているなら、解体は絶対にやってはいけない行為の一つです。雨漏りの応急修理や草刈りなどの管理行為は問題ありませんが、建物自体の価値を変える処分行為は、相続放棄の判断が終わるまで待ってください。

ポイント

相続放棄の検討中は、以下の行為をしないでください。
・建物や土地の売却(買取査定の依頼は問題ありません)
・建物の解体
・大規模な修繕やリフォーム
・新たな賃貸借契約の締結
判断が難しい場合は、弁護士または司法書士に個別に確認してください。

調査の順番——焦って専門業者に相談する前に、自分で調べられることから

違反建築かどうかを調べるには、以下4つのステップを順に進めるのが効率的です。どこに問題があるかによって、必要な調査と費用が変わります。

【ステップ1】家の中にある書類を探す

まずは自宅にある書類をすべて確認します。以下の書類が見つかれば、状況が大きく変わります。

  • 確認済証:建築確認申請が通ったことを示す書類。見つかれば、少なくとも建築時点では確認申請が通っていたことが分かる
  • 検査済証:完了検査に合格したことを示す書類。あれば、検査時点で法令に適合していたことが証明できる
  • 設計図(建築図面):建築時の設計図。現況と照合して増築の有無を確認できる
  • 増築時の書類:増築時に確認申請や検査をしていたかどうか
  • 固定資産税の課税明細書:課税面積と登記面積の違いを確認できる

書類が見つからない場合は、その段階で落ち込む必要はありません。次のステップに進んでください。

【ステップ2】登記簿と固定資産税の課税明細を照合する

書類がなくても、登記簿と固定資産税の情報で多くのことが分かります。

  • 登記事項証明書(法務局で取得。1通600円〜):建物の登記面積と構造を確認。現況と違えば増築の可能性がある
  • 固定資産税課税明細書(毎年送付されるもの):固定資産税の課税対象面積を確認。登記面積と課税面積が違う場合、税務上は把握されているが登記未了の可能性がある

登記面積と課税面積が一致せず、さらに現況面積と課税面積が一致するなら、「登記が追いついていないだけ」で、税務上は適正に処理されている可能性があります。

【ステップ3】自治体の建築指導担当で確認する

現況と登記・課税情報の照合が終わったら、市区町村の建築指導担当(建築課・開発指導課など名称は自治体により異なる)で以下の情報を確認します。

  • 建築計画概要書:建築確認申請の記録。申請の有無や建築時の設計内容が分かる
  • 台帳記載事項証明書:建築確認台帳に記録があるかどうか
  • 処分等概要書:違反に対する指導・是正命令の履歴があるかどうか
  • 用途地域・建ぺい率・容積率:現在の規制値と、実際の建物の数値を照合できる
  • 接道状況:前面道路の種別と接道距離

この確認で、以下のいずれかが判明します。

  • 確認申請が通っていた建物で、違反履歴なし → 書類紛失の確率が高い
  • 確認申請は通っていたが、増築部分が無確認 → 増築部分のみ要調査
  • 確認申請の記録自体がない → 無確認建築の可能性。建築士調査が必要
  • 既に是正指導や命令の履歴がある → 対応が急務。放置するとリスクが高まる

【ステップ4】必要に応じて建築士へ現況調査を依頼する

自治体での確認を終えても「確認申請なし」「増築部分の記録なし」「是正指導あり」などの場合、建築士による現況調査(国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」第4版に基づく調査)を依頼します。

調査費用の目安は以下のとおりです。

  • 簡易調査(目視確認+図面照合):5万円〜20万円程度
  • 詳細調査(ガイドライン調査+構造調査など):20万円〜60万円程度

調査の結果、建物が建築基準法に適合していることが確認できれば、調査報告書を売却時の説明資料として活用できます。

ポイント

調査の順番を守ることで、不要な費用と時間を削減できます。いきなり建築士調査に飛びつくのではなく、ステップ1→2→3と進めて、必要な範囲だけを建築士に依頼しましょう。

相続税はどうなる?違法建築だから安くなるわけではない

「違法建築だから相続税が減額されるのでは」と期待する人もいますが、結論から言えば、違法建築だから自動的に評価が下がるわけではありません。

建物の評価は固定資産税評価額ベース

相続税における家屋の評価は、原則として固定資産税評価額を基礎とします(国税庁「財産評価基本通達」)。固定資産税評価額は、市区町村が定期的に評価替えを行って決定するもので、「違法建築だから一律○割減額」というルールは存在しません。

ただし、違反状態によって固定資産税の評価自体に影響が出る可能性はあります。たとえば、無許可増築部分が固定資産税の課税対象となっていなかった場合、後日修正されることがあります。

土地の評価は無道路地等の補正が効くケースがある

土地の評価は、建物とは別に評価されます。もし土地が接道義務を満たさない「無道路地」に該当する場合、最大40%の評価減が適用されることがあります(国税庁「無道路地の評価」)。

ただし、この評価減は「土地の接道状態」によるものであり、「建物の違法性」によるものではありません。建物が違法かどうかではなく、土地が接道義務を満たしているかどうかが評価のポイントです。

物納は認められにくい(違法建築は物納劣後財産)

相続税を現物で納める「物納」について、法令に違反して建築された建物やその敷地は、物納劣後財産として扱われ、物納の対象として認められにくい点に注意が必要です(国税庁「物納の手続」)。

相続税の評価について個別の判断が必要な場合は、税理士に相談することをおすすめします。特に土地の無道路地評価や、違反建物の固定資産税評価の実態については、自治体や税務署でも確認が可能です。

相談すべき専門家とその役割——誰に何を聞くか

違法建築を相続した場合、複数の専門家が関わります。「誰に何を聞けばいいのか」を最初に整理しておくと、たらい回しに遭わずに済みます。

専門家 担当領域 相談すべきタイミング
建築士 建物の建築基準法適合性、現況調査、是正計画の作成 自治体での確認を終えた後(ステップ4)
土地家屋調査士 未登記建物の表題登記、増築部分の表題変更登記、境界測量 登記面積と現況面積が合わない場合
司法書士 相続登記、所有権移転登記 相続登記の手続き全般
税理士 相続税の申告、相続税評価、物納の可否 相続税の申告や土地評価で判断が必要な場合
弁護士 相続放棄、共有者間のトラブル、是正命令への対応 相続放棄の検討中、行政対応、兄弟間の紛争がある場合
不動産会社(仲介・買取) 売却可能性の判断、査定、市場価格の確認 是正費用と売却価格の比較をしたい段階

重要なのは、最初からすべての専門家に相談する必要はないということです。まずは自治体で情報を確認し、その結果に応じて建築士→登記の専門家→税理士→不動産会社の順で絞り込んでいけば、無駄な相談費用を抑えられます。

最終判断——「是正して売る」か「現況のまま売る」か

状態が判明し、調査が済んだら、最終的に「どうするか」の判断です。主な選択肢は以下の5つです。

選択肢 費用 手間 売却価格 こんな人に向く
①是正+仲介売却 是正費+仲介手数料 高い(工事管理が必要) 高め(一般市場に出せる) 是正費を回収できる値上がりが見込める人
②減築+仲介売却 減築費+仲介手数料 中程度 中程度 一部の違反だけ直せば売れる人
③解体+土地売却 解体費+仲介手数料 高い(解体と売却の二段階) 土地値のみ 建物に価値がなく、土地単独で売れる人
④現況買取(専門業者) ほぼなし 低い(現況のまま引き渡し) 市場価格より低め 是正費>売却上昇額の人/仲介が難しい人
⑤相続放棄(全財産対象) なし(家庭裁判所の手数料のみ) 中程度 なし(手放すだけ) プラスの財産より債務が多い人

是正工事の具体例と費用感

是正工事の内容と費用は、違反の種類によって大きく変わります。主なパターンは以下のとおりです。

  • 増築部分の撤去(無許可の物置・車庫・2階増築など):目安100万円〜300万円程度
  • 確認申請・検査の再取得(建築士調査+行政手続き):目安50万円〜150万円程度
  • 建ぺい率超過の是正(減築):削減面積によるが100万円〜500万円程度
  • 防火・構造上の違反是正:内容により50万円〜数100万円と幅が大きい

これらはあくまで目安です。実際の費用は建築士の現地調査なしには算出できません。複数の建築士から見積もりを取ることをおすすめします。

判断のポイント

どの選択肢が合理的かは、以下の比較で決まります。

「是正後の査定額 − 是正費用」と「現況買取の査定額」を比べる

具体例で考えてみましょう。

  • 現況買取査定額:500万円
  • 是正費用(減築+確認申請含む):300万円
  • 是正後の想定売却価格:900万円

この場合、是正後の手取りは「900万円 − 300万円 − 仲介手数料(約30万円)= 約570万円」。現況買取の500万円より手取りが多ければ是正を選ぶ価値があります。

逆に、是正費用が500万円かかるのに是正後の売却価格が700万円しか見込めないなら、手取りが減るので現況買取を選ぶのが合理的です。

ポイント

是正する前に、以下の2つを必ず確認してください。

1. 是正後に売却価格がいくら上がるか(不動産会社にシミュレーションを依頼)
2. 是正費用がその上昇分を上回らないか(建築士に見積もりを依頼)

「是正してから売るほうが得」という思い込みだけで進めると、費用倒れになるリスクがあります。

違法建築のまま売るときの「融資」の問題

違法建築の売却で見落としがちなのが、買主の住宅ローンが通るかどうかという問題です。

一般の住宅ローンやフラット35では、建築基準法違反の建物には原則として融資が付きません。検査済証がないだけの手続違反であれば、建築士の適合証明で融資が通る可能性もありますが、実体違反(建ぺい率超過・無許可増築)がある場合はほぼ不可です。

融資が付かない物件を一般の買主に売ることは極めて難しいため、仲介売却を目指すなら是正がほぼ必須になります。一方、現況買取の場合は融資不要で現金購入となるため、この問題を回避できます。

この点も、是正するか現況で売るかの判断材料の一つとして覚えておいてください。

売却時の告知義務と契約不適合責任

違法建築の事実を知りながら買主に伝えずに売却すると、契約不適合責任を問われるリスクがあります(民法第562条)。

買取業者に売る場合でも、確認した違反の内容は正直に伝える必要があります。買取契約では契約不適合責任の免責特約が付けられることがありますが、売主が知っていながら告げなかった事実については免責されない点に注意してください(民法第572条)。

違反内容、是正指導の有無、検査済証の有無、未登記の有無など、分かっていることはすべて開示した上で契約を進めましょう。

現況買取を検討する場合

以下の条件に当てはまる場合、是正ではなく現況のまま買取業者に売却する選択肢が現実的です。

  • 是正費用が査定額の上昇分を上回る
  • 仲介会社から「取り扱いが難しい」と断られた
  • 住宅ローンを利用できる買主が見つかりにくい(融資が付かない)
  • 再建築不可や未登記、共有などの別の問題も重なっている
  • 相続人が遠方在住で工事対応を続けられない

現況買取を検討する場合は、違反の内容や行政指導の有無、未登記の状況、接道条件を各業者に伝えた上で、対応可否と査定額を比較することをおすすめします。

兄弟共有の場合——合意形成と費用負担の決め方

相続人が複数(兄弟姉妹など)いる場合、違法建築の建物の扱いをめぐって意見が割れることがよくあります。

建物全体の売却・解体・是正工事は全員の同意が必要

建物が共有名義となっている場合、以下の行為は共有物の「変更」にあたり、全員の同意が必要です(民法第251条)。

  • 建物全体の売却(持分だけなら個人で可能)
  • 建物の解体
  • 大規模な是正工事

「直して売りたい」という人と「費用をかけたくない」という人がいる場合、話し合いがまとまらないと何も進められなくなります。

意見が割れたときの整理方法

兄弟間で意見が割れた場合の整理方法としては、以下のような選択肢があります。

  • 現況買取で分配:買取代金を法定相続分で按分する。全員が同意すれば最も早い
  • 第三者への売却:遺産分割で売却の方針を決め、売却代金を分配する
  • 共有物分割請求:話し合いがつかない場合、裁判所に申し立てる(時間と費用がかかる)
  • 代償分割:一人が建物を取得し、他の相続人に現金で代償を支払う(取得する人が是正や売却リスクを負う)

兄弟共有の場合、是正工事や解体の費用を誰が負担するか、売却後の分配をどうするかを、最初に話し合っておくことが重要です。調査費用や建築士への相談費用から揉めるケースも多いため、まずは「調査までは全員で負担し、その後で処分方法を決める」という合意を取っておくとスムーズです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 検査済証がなくても相続登記はできますか?

A. できます。相続登記は所有権の移転手続きであり、検査済証の有無は登記の可否に影響しません。ただし、未登記の増築部分がある場合は、土地家屋調査士へ相談してください。

Q2. 違法建築を相続した場合、親の罰則まで引き継ぎますか?

A. 罰金や懲役などの刑罰は、被相続人の死亡により消滅するため、相続人が代わりに刑罰を受けることはありません。ただし、是正命令などの行政上の義務は、建物の所有者となった相続人に引き継がれる可能性があります。

Q3. 相続放棄すれば違法建築だけ手放せますか?

A. いいえ。相続放棄は、違法建築の建物だけを選んで放棄する制度ではありません。預貯金や他の不動産など、すべての相続財産を放棄することになります(民法第938条)。建物だけを手放したい場合は、売却や遺産分割での対応を検討してください。

Q4. 相続登記の期限(3年)と相続放棄の期限(3か月)はどちらを優先すべきですか?

A. 相続放棄の3か月を最優先してください。相続登記の3年はそれより長いため、まずは3か月以内に相続放棄するかどうかを判断します。相続放棄を選ばない場合、その後3年以内に相続登記をすれば問題ありません。ただし、経過措置のケース(2024年4月以前の相続)は2027年3月31日が登記の期限です。

Q5. 違法建築の是正命令は相続人にも来ますか?

A. 来る可能性があります。建築基準法第9条の是正命令は、建物の「所有者等」が対象です。違反建築物を相続した場合、是正命令の対象となり得ます。実際に命令が出るかどうかは、違反の内容や自治体の運用方針によりますので、早めに自治体で確認してください。

Q6. 違法建築を誰にも言わずに売却したらどうなりますか?

A. 契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除の対象になり得ます(民法第562条)。特に、売主が違反を知りながら告知しなかった場合、免責特約があっても保護されません(民法第572条)。違反内容は必ず買主に伝えてください。

Q7. 是正してから売るのと、現状のまま買取に出すのはどちらが得ですか?

A. 一概には言えません。「是正後の査定額 − 是正費用 − 仲介手数料」と「現況買取の査定額」を比較して、手取りが多いほうを選んでください。是正費用が売却価格の上昇分を上回る場合は、現況買取のほうが合理的です。

Q8. 既存不適格と違法建築はどう違いますか?

A. 既存不適格は「建築時は適法だったが、法改正で現在の基準に合わなくなった状態」で、違法建築ではありません。違法建築は「建築時から法令に適合していない状態」です。既存不適格はそのまま使い続けられますが、増築や大規模修繕をする場合は現行法への適合確認が必要です。

Q9. 再建築不可の土地に違法建築が建っています。解体したらどうなりますか?

A. 解体すれば建物の違反問題はなくなりますが、土地は再建築不可のまま残ります。建物があるうちは既存不適格として住み続けられていたものが、解体後は同じ建物を建て直せなくなります。解体前には必ず自治体で接道状況と再建築可否を確認してください。

Q10. 相続放棄を考えていますが、その間に解体工事を進めても大丈夫ですか?

A. 大丈夫ではありません。相続放棄の検討中に解体工事を行うと、法定単純承認(民法第921条第1号)とみなされ、相続放棄ができなくなります。雨漏りの応急修理や草刈りなどの管理行為は問題ありませんが、解体・売却・大規模修繕は、相続放棄の判断が終わるまで行わないでください。

まとめ——最初にやること、次にやること

違法建築を相続した場合、最初に必要なのは「パニックにならないこと」と「期限を間違えないこと」です。

この記事で説明した手順を、もう一度整理します。

  1. 状態を診断する:違反建築物・既存不適格・未登記・検査済証なし・再建築不可のどれに当たるか、早見表で確認する
  2. 期限を確認する:相続放棄の3か月が最優先。経過措置の相続登記は2027年3月が期限
  3. 調査する:家の書類→登記簿・課税明細→自治体の建築指導担当→必要なら建築士調査
  4. 専門家を選ぶ:状態に応じて建築士・土地家屋調査士・司法書士・税理士・不動産会社を使い分ける
  5. 損得を比較する:「是正+仲介売却」と「現況買取」の手取り額を比較し、費用倒れにならない選択肢を選ぶ

違法建築の建物は「売れない」のではなく、「売り方と条件が限られる」不動産です。正しい状態診断と費用比較を行えば、あなたにとって最適な出口は必ず見つかります。

PR|本コンテンツには広告リンクを含みます。

訳あり不動産の売却で迷ったら

ラクウル全国対応

株式会社ネクサスプロパティマネジメント

共有持分・再建築不可・事故物件・空き家など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。

全国対応最短即日査定査定・現地調査無料
無料で査定額を見る 無料・1分で入力完了/しつこい営業なし

-違法建築
-, , , , , , , , , ,