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群馬県の空き家解体補助金2026年度版|15市町村の上限・受付状況を一覧で比較。申請前に確認すべき5つの誤解

目次

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群馬県の空き家解体補助金は市町村ごとに異なる【2026年度版】

群馬県内の空き家解体補助金は、群馬県が一律に支給するものではなく、物件所在地の市町村がそれぞれ独自の制度を運営しているため、住んでいる場所によって補助率・上限額・受付状況がまったく異なります。2026年度(令和8年度)の大きな傾向としては、前橋市・藤岡市が受付継続中、高崎市の老朽危険空家解体助成金は予算到達で募集終了、桐生市の上限100万円枠は抽選済みと、市町村間のばらつきが顕著です。

この記事で分かること:

  • 前橋・高崎・桐生・伊勢崎・太田など主要15自治体の2026年度制度と受付状況の一覧比較
  • 自分の空き家が補助対象かどうかを判断する6つのチェックポイント
  • 上限額だけでは分からない、実際の補助額の計算の仕組み
  • 申請から入金までの正しい順序と、やりがちな5つの誤解
  • 補助金が使えない場合の選択肢(来年度待ち・仲介売却・現況買取)

この記事を書いた人

訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。

ただし補助金には、「上限額=必ずもらえる金額ではない」「交付決定前に契約・着工するとゼロになる」「手続きを間違えると全額自己負担になる」といった落とし穴があります。この記事を読めば、どの制度を狙うべきか、申請前に何を確認すべきかが分かり、無駄な出費や手戻りを防げます。


2026年度 群馬県内の主要自治体・解体補助金一覧【2026年7月確認】

以下の一覧は、各市町村の公式ページを2026年7月時点で確認したものです。予算の範囲内での受付のため、年度途中で受付終了となる場合があります。申請前に必ず各自治体の最新情報を確認してください。

自治体 補助率 上限額 受付状況(2026年7月) 主な条件 対象外経費の代表例
前橋市
老朽空き家解体補助
3分の1 25万円
(居住誘導区域加算+5万円)
受付中
R8.4.15〜R9.1.20
予算に達し次第終了
昭和56年5月31日以前建築/1年以上空き家/市内業者/交付決定後着工 家財撤去・庭木・塀・車庫・太陽光パネル・舗装
高崎市
空き家解体助成金
5分の4 (上限非公開) 予算到達済み
R8年度は予算額に達しました。詳細は建築住宅課へ問い合わせ。
老朽化した空き家/周囲に危険を及ぼすおそれ/事前相談必須 窓口で確認
桐生市
きりゅう暮らし応援事業(空き家除却助成)
2分の1
(対象3:5分の4)
対象1:30万円
対象2:50万円
対象3:100万円
対象3:抽選終了
対象1・2:申込数が予算未満の場合、先着順で受付継続可能性あり。空き家対策室へ要確認(R8.5.13抽選済)
昭和56年以前建築/10年以上不使用(対象1)/1年以上不使用(対象2・3)/市内業者/交付決定後着工 家財処分(対象3は事前調査で判定)
伊勢崎市
空き家除却補助事業
危険空き家:5分の4
旧耐震空き家:5分の2
危険:50万円
旧耐震:25万円
受付中
R8.5.8〜R8.9.30
各20件先着
危険空き家(不良住宅相当)または旧耐震(昭和56年以前)/1年以上不使用/市内業者/工事費20万円以上/交付決定後着工 家財・庭木・塀・物置・門扉・車両撤去
太田市
空家除却補助金
2分の1(床面積式上限あり) 50万円 受付中
R8.4.14〜R8.10.13
概ね100件分
1年以上不使用/個人所有の戸建専用住宅または併用住宅/市内業者/交付決定後着工 倉庫・車庫・門扉・塀・立ち木・家財・給排水管・給湯器・太陽光パネル
沼田市
空き家解体補助金
3分の1 15万円
(旧耐震証明で+10万円→最大25万円)
受付中
R8.4.13受付開始
1年以上不使用/個人所有/市内業者/交付決定後着工/抵当権等の権利設定なし その他建築物の同時解体分(按分が必要)
渋川市
空家解体事業補助金
10分の1 20万円
(居住誘導区域加算+10万円→最大30万円)
受付中
R8.4.1受付開始
予算なくなり次第終了
1年以上空き家または特定空家/20万円以上の工事/市内業者/交付決定後着工 所有権以外の権利設定がある物件は対象外
藤岡市
空家解体補助金
3分の1 20万円
(昭和56年以前の一戸建ては30万円)
受付中・残予算あり
R8.4.15〜R9.2.12
22件先着(7月時点5件申請済)
1年以上不使用/市内業者/交付決定後着工/全建築物の解体 家具等の物品処分
富岡市
空き家除却補助金
3分の1 30万円 受付中
R8.4.1受付開始
予算の範囲内
1年以上不使用/20万円以上の工事/市内業者/交付決定後着工 家財道具・造作の撤去運搬処分費
安中市
空家除却費補助金
2分の1 30万円 受付中
R8.5.18受付開始
60件
1年以上不使用/市内業者/交付決定後着工/R9.3.31までに完了 特記事項:車庫・塀・植木・庭石・家財道具の撤去も対象(注:自治体により対象範囲が広い)
東吾妻町
空家除却費補助金
3分の1 50万円 募集終了
R8.4.20〜5.8募集
先着順ではない
3年以上不使用/個人所有/町内業者/交付決定後着工 家財・残置物の運び出し・処分費
大泉町
老朽危険空家除却支援事業
5分の4 50万円 受付中(応募多数の可能性)
R8.4.17〜R8.12.18
2戸のみ
町の不良度測定で基準到達/1年以上不使用/町内業者/交付決定後着工 一部解体は不可(全部解体が条件)
昭和村
空き家解体補助金
2分の1 50万円 受付中
令和8年度まで(時限制度)
1年以上不使用/村内または利根沼田管内業者/抵当権等なし/交付決定後着工 家財処分
榛東村
空き家除却補助金
村内業者:2分の1
村外業者:4分の1
村内業者:50万円
村外業者:25万円
受付中(ただし条件厳格) 1年以上不使用/解体後1年以内に新築し10年以上定住が必須 定住要件を満たさない解体は補助対象外
邑楽町
空家等利活用補助金(除却含む)
20% 10万円(条件により20万円) 要綱改定中
旧要綱は公表中。最新情報は建設環境課へ問い合わせ。
工事費10万円以上/交付決定後着工 旧要綱のため最新の対象外経費は要確認

※2026年7月21日時点の各自治体公式ページを確認。邑楽町は要綱改定中のため掲載情報は旧要綱に基づく可能性があります。受付状況・予算残数は日々変わるため、申請前に必ず各自治体の担当課へ直接確認してください。


自分の空き家は補助対象になる?6つのチェックポイント

上の一覧で「該当する市町村の制度がありそうだ」と思っても、実際に補助を受けられるかどうかは、以下の6つの条件すべてをクリアできるかで決まります。1つでも引っかかると申請できません。順番に確認してください。

①所在地と受付状況で分かれる

補助金の申請先は、物件がある市町村です。自分の市町村の制度が「受付中」か「終了」かは上の一覧で確認できます。ただし予算到達時点で受付終了となるため、受付期間内でも早めに動く必要があります。

②建物の区分(一般空き家/旧耐震/危険空家/特定空家)

補助金の対象となる建物は、自治体ごとに「昭和56年5月31日以前建築」「不良住宅相当」「特定空家」などと条件が決められています。旧耐震(1981年旧基準)かどうかは、建築確認日や登記事項証明書で確認できます。また、自治体が独自に危険度判定を行い、その結果で補助額が変わる制度(伊勢崎市の危険空き家/旧耐震空き家の区分や、桐生市の上限30万・50万・100万の3区分)もあります。

注意点として、自治体の危険度判定と、空家法上の「管理不全空家」や「特定空家」の指定は必ずしも一致しません。例えば邑楽町では、特定空家等に指定された物件が除却補助の対象外となる場合があります。まずは自治体に「うちの空き家はどの区分になるか」を直接確認するのが確実です。

【空き家の区分早見】
一般空き家:1年以上不使用だが、倒壊等の危険性は特に指摘されていない物件。補助対象になるかは自治体により異なる。
旧耐震空き家:昭和56年5月31日以前の建築基準法旧基準で建てられた建物。多くの自治体で補助対象になる。
危険空き家:自治体が実施する現地調査で「不良住宅」相当と判定された物件。補助率が高い傾向。
特定空家等:空家法に基づき市町村が指定。むしろ除却補助の対象外とする制度もあるため注意。

③空き家期間と使用実態

ほとんどの制度で「1年以上居住その他の使用実態がないこと」が条件です。「使用実態」には、物置としての利用や月1回の管理訪問も含まれる可能性があります。また、水道・電気の使用実績が1年以内にあると「使用している」と判断される制度もあります(沼田市の例では、基本料以外の使用料がないことが条件)。空き家期間の証明には、水道や電気の使用停止証明書、または1年分の検針票が必要になる場合が多いため、事前に準備しておきましょう。

④名義・権利関係(単独/共有/相続/抵当権)

補助金の申請は、原則として登記事項証明書上の所有者またはその法定相続人に限られます。ここでつまずきやすいのが以下のケースです。

  • 親名義のまま(未登記・未相続):相続登記が済んでいなくても、戸籍謄本などで相続関係を証明できれば申請できる制度があります。ただし自治体によるため事前確認が必要。
  • 共有名義(兄弟姉妹と共有):共有者全員の除却同意書と印鑑証明書が必要な制度が一般的です。1人でも反対者がいると申請できません。
  • 抵当権が設定されている:多くの制度で抵当権等の所有権以外の権利設定がある物件は対象外です。

権利関係に不安がある場合は、相続登記の手続きについてまとめた以下の記事も参考にしてください。

⑤工事内容と施工業者

対象となる工事は、空き家の全部を解体し更地にする工事が基本です。一部だけの解体や、増築部分だけの除去は対象外です。また、施工業者は市内または町内に事業所を有する業者に限られるのが一般的で、市外の業者では補助対象外となります。建設業法の許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)または建設リサイクル法の登録を受けた業者であることも必要です。

家財道具・庭木・塀・車庫・物置・太陽光パネル・アスベスト調査費用などが対象になるかは自治体によって異なります。安中市のように車庫・塀・植木・庭石・家財の撤去まで対象としている制度もあれば、太田市のようにこれらを明確に対象外としている制度もあります。

⑥解体後の予定(更地/新築/売却/保留)

ほとんどの制度では解体後の土地利用に制限はありませんが、榛東村のように、解体後1年以内に新築し10年以上定住することが必須条件とされている制度もあります。また、不動産販売や貸付を業とする人が販売目的で解体する場合は対象外とする制度が多い点にも注意が必要です。


実際の補助額はどう決まる?上限額だけ見てはいけない理由

「上限50万円」と書かれているからといって、必ず50万円もらえるわけではありません。実際の補助額は以下の計算式で決まります。

補助額 = min(補助対象工事費 × 補助率, 上限額, 床面積式による上限)

つまり、補助率で計算した金額と、自治体が定める上限額のうち、小さい方が実際の交付額になります。太田市のように床面積に係数(1平方メートルあたり13,000円×2分の1)をかけた金額も上限の1つとして計算される制度もあります。

具体例で見てみましょう。

【計算例1】前橋市・老朽空き家解体補助
解体工事費(税抜)120万円の場合
・補助率3分の1 → 120万円×1/3=40万円
・上限25万円 → 実際の補助額は25万円
→ 補助率計算だと40万円だが、上限25万円で頭打ち。自己負担は120万円−25万円=95万円。

【計算例2】太田市・空家除却補助金
解体工事費(対象のみ)100万円、延べ床面積80平方メートルの場合
・補助率2分の1 → 100万円×1/2=50万円
・床面積式 → 80㎡×13,000円×1/2=52万円
・上限50万円 → 実際の補助額は50万円
→ 3つの上限のうち最も小さい50万円が交付額。

【計算例3】藤岡市・空家解体補助金(昭和56年以前・一般戸建て)
解体工事費(税込)60万円の場合
・補助率3分の1 → 60万円×1/3=20万円
・上限30万円 → 実際の補助額は20万円
→ 上限に達していないため、補助率計算通り20万円。

また、対象外経費がどの程度含まれているかでも自己負担額は変わります。主な対象外経費は以下のとおりです。

経費項目 対象とする制度の例 対象外とする制度の例
家財道具の撤去処分 安中市 前橋市・太田市・東吾妻町・富岡市
庭木・植栽の伐採撤去 安中市(附属工作物として) 伊勢崎市・太田市
塀・門扉・車庫・物置 安中市・渋川市(全部解体の範囲で) 伊勢崎市・太田市
太陽光パネル撤去 太田市(明示的に対象外)
アスベスト調査・除去費 自治体による(要確認) 太田市など(明確な記載なしの制度が多い)

【参考】アスベスト(石綿)調査について:2022年4月から、原則としてすべての建築物の解体・改修工事で石綿の事前調査が義務化されています(2023年10月からは有資格者による調査が必要)。一般住宅の調査費用相場は5〜15万円程度です。この調査費や除去費が補助対象になるかは自治体によって対応が分かれます。見積もりを取る際は、アスベスト調査費用を内訳として分けてもらい、自治体に対象可否を確認してください。

見積もりを取る際は、対象外経費を分けた内訳明細をもらうようにしてください。「一式」とまとめられた見積もりでは、どの項目が補助対象になるのか判断できません。


申請から入金までの流れと注意点

補助金の申請手続きは、工事の流れと密接に関わっています。最も重要なルールは1つです。「交付決定前に工事を契約・着工すると、補助金は全額ゼロになる」。この順番を間違えると、補助対象外となり全額自己負担になります。

ステップ1:自治体への事前相談

ほとんどの制度で、まず担当課への事前相談が必須です。電話または窓口で、物件の所在地・築年・状況・権利関係を伝え、該当する補助制度があるか確認します。この時点でおおまかな見込みが立ちますので、質問したいことは後述のチェックリストを参考に準備しておきましょう。

ステップ2:補助金交付申請書の提出

事前相談の後、必要書類を揃えて交付申請書を提出します。主な必要書類は以下のとおりです(自治体によって異なります)。

  • 補助金交付申請書(各自治体様式)
  • 空き家の登記事項証明書(未登記の場合は固定資産税納税通知書の写し)
  • 空き家の現況写真・案内図
  • 解体工事見積書の写し(内訳明細付き)
  • 施工業者の許可証・登録証の写し
  • 1年以上不使用の証明書類(水道・電気の検針票など)
  • 同意書(共有者・相続人がいる場合)
  • 市税等の完納証明書
  • 石綿事前調査結果報告書の写し(多くの自治体で必要)

ステップ3:交付決定通知 → 工事契約・着工

書類審査を通り交付決定通知書が届いてから、はじめて工事契約を結び、着工できます。審査には自治体により1〜2週間程度かかります。見積もりを取るのは問題ありませんが、契約書に判を押すのは交付決定を待ってからにしてください。

注意

「見積もりを取ったついでに契約してしまった」は補助金没収の原因です。
多くの自治体の要綱で「補助金の交付決定を受ける前に着手した工事は補助の対象としない」と明記されています。業者から「早く契約しないと工期が…」と言われても、交付決定を待つことを優先してください。

ステップ4:工事完了 → 実績報告書の提出

工事が完了したら、完了から30日以内(自治体によってはそれより短い期限)に実績報告書を提出します。期限に遅れると補助金が受け取れなくなるため、工事完了と同時に書類準備を始めましょう。提出書類は以下のとおりです。

  • 完了実績報告書
  • 工事請負契約書の写し
  • 領収書の写し
  • 工事完了写真
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)E票の写し
  • 建設リサイクル法届出書の写し
  • 石綿事前調査結果報告書の写し(再提出または事後報告となる制度あり)

ステップ5:補助金請求 → 入金

実績報告の審査が通ると「補助金額確定通知書」が届きます。その後、補助金請求書を提出すると、指定口座に振り込まれます。入金までに請求からおおむね1ヶ月程度かかるのが一般的です。つまり、工事代金は一時的に全額を立て替える必要があり、補助金が先に振り込まれるわけではありません。


【現場から】申請者がやりがちな5つの誤解

補助金の制度解説だけでは見落としがちなポイントを、実際に相談現場でよく見られる誤解の形でまとめました。制度の上限額や対象条件だけを見て「自分は大丈夫」と思い込むと、思わぬ自己負担や申請不備につながります。

誤解1:「見積もりを取ったから、もう契約してもいいだろう」
群馬県内のある市で、空き家の解体見積もりを3社取った所有者が「一番安かった業者とその場で契約した」ところ、後日交付申請を出したら「交付決定前の契約は補助対象外です」と却下されたケースがあります。見積もりを取ることと契約することは全く別の段階です。見積もりは「申請書類の1つ」であり、契約や着工を決めるためのものではありません。契約書に署名するのは、自治体から交付決定通知書が届いてからと覚えておいてください。

誤解2:「上限50万円と書いてあるから50万円もらえる」
「上限50万円」はあくまで「最大で50万円」という天井を示しているにすぎません。例えば藤岡市の上限20万円でも、実際の工事費が30万円なら補助額は10万円(30万円×1/3)になります。逆に前橋市の上限25万円でも、工事費120万円なら補助率計算で40万円になるはずですが、上限25万円で頭打ちになります。つまり、上限額は「これだけもらえる額」ではなく「これを超えてはもらえない額」です。実際の交付額は、工事費・補助率・上限・床面積式の4つの数字を組み合わせて計算します。

誤解3:「親名義の空き家だけど、自分が相続人だから一人で解体していい」
群馬県内で、親が他界した長女が「自分が主な相続人だから」と親名義の空き家を解体したところ、後日、相続人の一人である弟から「同意なく解体された」と異議が出たケースがあります。補助金の申請に共有者全員の同意書が必要な制度が多く、同意が得られなければ申請できません。また、たとえ補助金を使わず自費で解体する場合でも、遺産分割協議が整っていない状態で共有物(空き家)を処分すると、他の相続人とのトラブルの原因になります。相続登記や遺産分割協議を先に進めるか、少なくとも全相続人の同意を得てから動く必要があります。

誤解4:「危険な空き家ほど補助金がたくさんもらえる」
確かに伊勢崎市のように危険空き家(不良住宅相当)は補助率5分の4で最大50万円、旧耐震空き家なら補助率5分の2で最大25万円と、危険度に応じて補助額が高く設定されている制度はあります。しかし邑楽町のように、特定空家等に指定された物件を除却補助の対象外とする制度もあります。自治体によって「危険度が高い=補助対象」とは限らず、むしろ規制や是正指導の対象になることもあります。「うちは危険だから補助金がもっと出るはず」と思い込まず、まず自治体の担当課に区分を確認してください。

誤解5:「補助金が出るなら、解体して売る方が絶対に得だ」
群馬県内である空き家所有者が「補助金20万円が出るから」と解体工事費120万円を自己負担し、解体後の更地を売却したところ、近隣の更地相場が1,500万円だったのに対し、建物付きで売れる相場も1,400万円程度だったケースがありました。120万円の解体費と20万円の補助金を差し引くと、実質的に解体して売る手取りは1,400万円(1,500万円−120万円+20万円)になります。建物付きのまま1,400万円で売れるなら、手取りは変わりません。補助金が出ると「絶対に得」と短絡せず、「補助金を使った解体後の手取り」と「建物付きのまま売る手取り」を比較することが重要です。特に解体後に新築や居住を予定していない場合、現況買取を含めた売却選択肢も検討する価値があります。


解体後の固定資産税はどう変わる?

空き家を解体して更地にすると、固定資産税が上がる可能性があります。その理由は、住宅用地に対する課税標準の特例(住宅用地特例)が適用されなくなるからです。

現在、建物が建っている土地(住宅用地)には固定資産税の軽減措置があります。

区分 課税標準の割合
小規模住宅用地(200平方メートルまで) 6分の1
一般住宅用地(200平方メートル超) 3分の1

しかし、建物を取り壊して更地にすると、この特例が外れ、課税標準が本来の評価額(=6倍〜3倍)に戻ります。その結果、固定資産税が大幅に上がるケースがあります。「更地にしたら税金が6倍になる」と言われることがありますが、これは小規模住宅用地の場合の理論上の最大値で、実際の評価額や該当面積によって変動します。また、令和8年度税制改正で管理不全空家等に指定された物件は住宅用地特例が解除され、固定資産税が上がるという規定も施行されています(空家法改正)。解体しなくても、放置状態によっては税負担が増える可能性がある点は注意が必要です。

解体後の固定資産税の増減も含めた総合判断については、以下の記事をご参照ください。


補助金が使えない・受付終了の場合の選択肢

ここまでのチェックで「自分の市町村では受付終了」「補助対象の条件を満たさない」「予算が尽きた」といったケースに該当する場合、以下の3つの選択肢があります。

選択肢1:来年度まで待つ

向いているケース:倒壊・飛散の危険がなく、近隣からの苦情もない。建物の劣化が急激に進んでいない。来年度も同じ制度が継続される見込みがある。
向かないケース:倒壊のおそれがある、近隣から行政に通報が入っている、固定資産税の住宅用地特例を解除されそうな管理不全状態にある。

ただし、来年度の制度が今年度と同じ条件で継続されるとは限りません。予算措置の有無や要綱改正により、補助率や上限額が変わる可能性があります。

選択肢2:建物付きのまま仲介売却する

向いているケース:立地が良く、建物に一定の価値がある(築浅またはリフォーム済み)。購入希望者が現れれば高く売れる可能性がある。
向かないケース:老朽化が激しく買い手がつかない、再建築不可の土地、借地など権利関係が複雑。

仲介売却は時間がかかる点と、買い手が見つからないリスクがあります。売りたい時期が決まっている場合は、次の現況買取も検討してください。

選択肢3:現況買取で建物ごと売却する

解体せず、建物がある状態のまま買取業者に売却する方法です。補助金が使えない場合の最終的な現金化手段として、多くの空き家所有者が検討しています。

現況買取が向いているケース

  • 補助金の受付が終了した、または補助対象外だった
  • 解体費の一時的な立て替え資金が用意できない
  • 共有者の同意を得るのが難しい(持分だけの買取も対応可能な業者がある)
  • 急ぎで現金化したい(相続税の支払いなど)
  • 解体後の固定資産税増を避けたい

現況買取が向かないケース

  • 更地にして売れば高く売れる良好な立地にある
  • 解体後に新築・居住する予定がある
  • 仲介で一般売却すれば高く売れる可能性が高い

ただし、現況買取の査定額は物件の状態や立地によって業者ごとに判断が分かれます。同じ空き家でも、解体リスクや更地後の転用可能性をどう評価するかで提示額に差が出るため、1社だけで決めずに複数の買取業者で条件を比較することが重要です。

また、補助金の有無にかかわらず、解体と現況売却のどちらが得かはケースバイケースです。以下の記事で詳細な比較基準を解説しています。

選択肢4(緊急時):倒壊危険がある場合は補助金待ちより安全確保が優先

屋根瓦の落下や壁の倒壊、シロアリ被害による構造上の危険がある場合、補助金の受付を待っていると、近隣への被害や行政からの勧告・命令につながる可能性があります。その場合は補助金の有無より先に安全確保を優先し、応急措置や緊急解体を検討してください。

【参考】補助金で解体した後の売却と「空き家特例(3,000万円控除)」の関係

【参考】補助金で解体した後に売る場合と、建物付きで売る場合の税制比較

親が一人暮らししていた旧耐震の実家を相続し、空き家のまま売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(いわゆる空き家特例・3,000万円控除)が使える可能性があります(国税庁No.3306)。

この特例は、解体して更地にしてから売却するケースも対象です。つまり、補助金を使って解体した後に売却しても、3,000万円(相続人3人以上の場合は2,000万円)までの譲渡所得を控除できます。

一方、建物付きのまま売却する場合も、買主が引き渡し後(翌年2月15日まで)に解体すれば特例の対象となります(2024年法改正)。このルートを使えば、売主が解体費用を立て替える必要はなくなります。

【簡単な比較】
A. 補助金で解体→更地売却:自己負担(解体費−補助金)が発生するが、更地査定で売却。空き家特例(3,000万円控除)は適用可能。
B. 建物付きで売却→買主が解体:解体費の自己負担なし。空き家特例(3,000万円控除)は適用可能(買主の解体が条件)。ただし売却価格は建物付き査定。
C. 現況買取で売却:解体不要、立替不要。ただし買取価格は仲介売却より低めになる傾向。空き家特例は買取でも適用可能なケースがある。

どのルートが最適かは、物件の立地・建物状態・補助金の有無・資金状況・相続からの経過年数によって変わります。税務面は個別事情によるため、売却前に税理士または所轄税務署に確認することをおすすめします。


自治体の担当窓口へ確認すべき質問リスト

補助金の申請前に、物件所在地の市町村担当課に電話または窓口で以下の項目を確認しておくと、不要な手戻りを防げます。メモを持って、1つずつ確認しながら聞いてください。

  1. 現在、空き家解体の補助制度は受付中ですか?予算に残数はありますか?(予算到達時点で終了のため)
  2. うちの空き家は、補助対象のどの区分になりますか?(一般空き家/旧耐震/危険空家/特定空家の区分)
  3. 相続登記が完了していなくても申請できますか?(登記名義人が死亡している場合の扱い)
  4. 共有者がいる場合、全員の同意が必要ですか?同意書の様式はありますか?
  5. 工事請負契約はいつまでに結べばよいですか?(交付決定後か、申請前でもよいか)
  6. 施工業者は市外の業者でも大丈夫ですか?(市内業者要件の有無)
  7. 補助対象となる工事費の範囲を教えてください。(家財撤去・庭木伐採・塀撤去・アスベスト費用の可否)

ポイント

電話する前に準備しておくもの
・物件の所在地と地番
・築年数(分からなければ建築確認の有無)
・空き家になった時期(1年以上か)
・登記名義人の氏名(相続の有無)
・大まかな延床面積または敷地面積
これらの情報を手元に用意してから電話すると、担当者もスムーズに回答できます。


よくある質問(FAQ)

Q. 県外在住者でも補助金を申請できますか?

申請できます。補助金の申請資格は「空き家の所有者またはその相続人」であり、申請者の居住地は問われません。ただし、書類の受け渡しや現地確認で自治体とのやりとりが発生するため、郵送対応が可能かどうかを事前に確認しておくと安心です。また、施工業者は物件所在地の市内業者に限られるケースがほとんどです。

Q. 共有者全員の同意が得られなくても申請できますか?

基本的には全員の同意が必要です。ほとんどの制度で、共有者全員の除却同意書と印鑑証明書の提出が求められます。1人でも反対者がいると申請できません。共有者の連絡先が分からない、行方不明といった場合は、その時点で補助金による解体は難しいと判断する必要があります。その場合は現況買取を含めた別の選択肢を検討してください。

Q. 相続登記が済んでいなくても申請できますか?

制度によります。事前に自治体へ確認してください。相続登記が未了でも、戸籍謄本などで相続関係を証明できれば申請を受け付ける自治体と、登記名義人のまま(=相続登記が完了していないと)申請できない自治体があります。前橋市や太田市など比較的大きな市では相続人による申請が可能なケースが多いですが、必ず各市町村の担当課に確認してください。なお、相続登記の手続き自体は2024年4月から義務化されています。

Q. 市外の業者に依頼しても補助対象になりますか?

ほとんどの制度で対象外です。補助金の対象となる施工業者は、原則として「市内または町内に事業所を有する業者」に限られます。例外として昭和村では利根沼田管内の業者も認められていますが、基本的には物件所在地と同じ市町村内に本店または支店がある業者を選ぶ必要があります。

Q. 補助金は工事前に振り込まれますか?

工事前の振り込みはありません。全額後払いです。補助金は、工事完了後に実績報告書を提出し、審査を経てから指定口座に振り込まれます。入金までに工事完了から1ヶ月程度かかるため、工事代金は一時的に全額自己負担(立て替え)する必要があります。この点はどの自治体でも共通です。

Q. 家財道具や庭木の撤去費用も補助対象ですか?

自治体によって大きく異なります。安中市のように家財撤去・庭木・塀・車庫の撤去まで幅広く対象とする制度もあれば、前橋市・太田市・東吾妻町などは明確に対象外としています。見積もりを取る際に、業者に対象経費と対象外経費を分けた内訳明細を出してもらうことで、補助対象となる金額を正確に把握できます。

Q. 今年度の受付が終了しました。来年度も同じ制度は続きますか?

継続は未確定です。各自治体の補助金は、毎年度の予算編成で金額・条件・受付期間が決定されます。前年度と同じ条件で続くこともあれば、補助率の変更や制度自体の廃止の可能性もあります。来年度の制度について確実な情報が得られるのは、例年3月〜4月の新年度予算公表後になります。

Q. 解体したら固定資産税は必ず上がりますか?

必ず上がるとは限りませんが、可能性は高いです。建物が存在する間は住宅用地特例が適用されるため課税標準が6分の1または3分の1に軽減されています。解体して更地にするとこの特例が外れるため、課税標準額は最大で6倍に戻ります。ただし実際の税額は土地の評価額や面積により変動するため、正確な金額は物件所在地の市区町村税務課で確認してください。また、管理不全空家に指定された場合は、解体しなくても住宅用地特例が解除されるケースもある点に注意が必要です。


まとめ|まずは所在地の自治体に相談する

群馬県の空き家解体補助金は、県が一律に支給するものではなく、物件所在地の市町村ごとに制度が異なります。2026年度は前橋市・藤岡市・伊勢崎市・太田市などで受付中ですが、高崎市は予算到達で終了、桐生市の高額枠は抽選済みと、状況は毎月変わっています。

最初にやるべきことは、以下の3つだけです。

  1. 物件所在地の市町村の担当課に電話し、現在の受付状況と自分の空き家が対象になるかを確認する
  2. 市区町村の確認結果をもとに、補助金申請と解体のスケジュールを決める
  3. 補助金が使えない場合や立替資金が用意できない場合は、現況買取を含めた売却選択肢も併せて検討する

「補助金が出るから解体が絶対に得」とは限りません。補助額と自己負担、そして建物付きのまま売る選択肢を比較したうえで、自分にとって最適な判断をしてください。

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