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空き家解体補助金 東京都|もらえる金額は10万円?それとも1,800万円?制度の違いと申請前に確認する5つの条件

目次

東京都内の空き家解体に使える補助金は、都が直接出す制度(上限10万円)と、各区市町村が独自に実施する制度(上限30万〜2,550万円)の2層構造です。上限1,800万円級の高額助成は不燃化特区など特定区域のみに限られ、一般の空き家に使える補助金の相場は上限10万〜100万円程度です。「東京なら高額補助が出る」と検索結果の数字だけで判断すると、制度を間違えたり、交付決定前に契約して全額自己負担になる失敗を招きます。この記事では、所在地・築年・危険度・名義・契約時期の5つの条件で自分の空き家に使える制度を診断し、申請の正しい順番と現況売却との比較判断までを解説します。

この記事で分かること:

  • 東京都内の空き家解体補助の4つの制度種別と上限額の違い
  • 自分の空き家が対象かどうかを確認する5つの条件と診断手順
  • 申請の正しい順番(と、やってはいけないタイミング)
  • 補助金を使うか、現況のまま売却するかの判断基準

この記事を書いた人

訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。

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東京都の空き家解体に使える補助金は大きく4種類

東京都内の空き家解体に使える補助金・助成制度は、目的と運営主体によって4つに分類できます。この分類を理解しないまま「東京の補助金」と一括りに検索すると、上限10万円の都制度と上限1,800万円の特区制度が混在した検索結果に振り回されることになります。

分類 運営主体 主な目的 補助率 上限例
①東京都直接制度
(空き家家財整理・解体促進事業)
東京都 空き家の早期解決促進 対象経費の1/2 10万円
②区市町村の空き家除却助成 各区市町村 老朽危険空き家の除却促進 1/2〜2/3 30万〜200万円
③耐震除却助成 各区市町村 旧耐震住宅の耐震化促進 1/2〜2/3 25万〜100万円
④不燃化特区対策 都+区(指定区域のみ) 木密地域の防災性向上 ㎡単価方式 1,800万〜2,550万円

以下、それぞれの制度の特徴を詳しく見ていきます。読者の皆さんが特に気をつけるべきなのは、④の不燃化特区の高額上限を「東京の空き家なら誰でももらえる」と誤解しないことです。

①東京都が直接交付する「空き家家財整理・解体促進事業」(上限10万円)

東京都住宅政策本部が実施する制度です。家財整理と解体の2つのメニューがあり、解体の補助額は税抜対象経費の2分の1、上限10万円です。

項目 内容
補助率 解体費用(消費税抜き)の2分の1
上限額 10万円(1,000円未満切り捨て)
家財整理の上限 5万円
申請ルート 東京都空き家ワンストップ相談窓口への相談が必須
参考URL 東京都空き家家財整理・解体促進事業

この制度の最大の特徴は、ワンストップ相談窓口を通さないと申請できない点です。自分で業者を決めてから「補助金を事後申請しよう」と思っても対象になりません。まずは窓口(電話:0120-776-735、平日9〜18時)に相談し、協力事業者を紹介してもらう流れが基本です。

注意点:この制度の上限は10万円です。東京都の解体補助金として検索上位に出てくる情報ですが、実際の解体費用(木造戸建てで80万〜150万円程度)に比べると補助率は小さく、「これだけで解体しよう」と考えるのは現実的ではありません。あくまで「ワンストップ相談窓口で総合的なアドバイスを受ける+一部費用の補助を受ける」という位置づけです。

②区市町村の空き家除却助成(上限30万〜200万円)

各区市町村が独自に実施する制度です。空き家状態・老朽度・危険度を条件に、除却費用の一部を助成します。補助率は1/2〜2/3程度、上限は自治体によって30万円〜200万円と幅があります。

この制度を使う場合の最大の条件は、「住宅地区改良法に規定する不良住宅」に該当するかどうかです。外観調査で採点され、基準点(100点)を超えると対象になります。基礎の破損、外壁の貫通、屋根の変形など、見た目で分かる劣化が点数化される仕組みです。

③耐震除却助成(旧耐震・耐震診断結果が条件)

昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建てられた住宅が対象です。空き家でなくても対象になる点が②の空き家除却助成と異なります。八王子市の「未耐震空き家除却支援補助金」が代表的で、補助率は2/3、上限は相続からの経過年数により100万円・50万円・25万円と逓減します。

この制度は「相続により取得した旧耐震の空き家」という条件がかなり具体的で、対象になる人が限られます。該当しそうな方は、相続発生日からの経過年数をまず確認してください。

④不燃化特区・密集市街地対策の高額助成(上限1,800万円〜2,550万円)

ここが最も誤解されやすい制度です。「東京の空き家解体補助金」で検索して「上限1,800万円」という数字だけ見て、自分の家に適用されると思い込むケースが後を絶ちません。

この制度は、東京都が指定する「不燃化特区」(木造住宅密集地域)に限って適用される防災施策です。品川区・墨田区・荒川区など一部の区の指定区域のみが対象で、たとえば同じ区内でも、不燃化特区に指定された地区とそうでない地区では全く制度が異なります。

品川区の例(2026年7月1日増額確認済):

  • 木造:延床面積1㎡あたり最大36,000円、上限1,800万円
  • 軽量鉄骨造:延床面積1㎡あたり最大51,000円、上限2,550万円
  • 対象:平成17年3月31日以前に建築された木造建築物など
  • 期限:令和12年度までの時限制度

この制度の対象になるかどうかは、お住まいの区の「木密整備推進課」または「都市整備課」に問い合わせて、自分の土地が不燃化特区に含まれるか確認してください。

注意

「上限1,800万円」は不燃化特区限定の制度です
東京23区の一般住宅に一律で1,800万円の補助が出るわけではありません。検索結果でこの数字を見て「東京なら高額補助がもらえる」と誤解しないでください。まずはお住まいの区の担当課に、自分の土地が不燃化特区に含まれるか確認しましょう。

まず確認すべき5つの条件 — 自分の空き家が対象かどうか診断する

「東京の空き家ならどの制度でも使える」わけではなく、自分の空き家の状態によって使える制度・使えない制度が分かれます。ここからは5つの条件を上から順に確認していくと、自然に該当する制度が絞り込めるようになっています。

条件1:所在地と指定区域を確認する

最初に確認するのは「空き家がどこにあるか」です。

  • 東京都内であれば → 東京都直接制度(①)の対象にはなります(ただし上限10万円)
  • お住まいの区市町村に空き家除却助成制度(②)があるか → あるかどうかは自治体ごとに異なります。ない自治体もあります
  • 不燃化特区(④)の指定区域内か → 該当すれば高額助成の可能性がありますが、対象区域は限定的です

東京都住宅政策本部が各区市町村の支援制度を一覧にまとめたPDFを公開しています(区市町村による空き家に関する支援制度)。まずはこの一覧で、自分の自治体にどんな制度があるかを確認してください。

具体例:同じ区内でも不燃化特区の内外で補助額が全く違うケース
品川区で相続空き家を所有するAさん(仮名)。同じ区内でも、Aさんの実家は不燃化特区に指定された地区にあり、その場合の解体助成の上限は1,800万円。ところが、5分歩いた隣の町名のBさんの家は特区外。Bさんが利用できるのは東京都直接制度(上限10万円)のみ。同じ「品川区の空き家」でも、区域1つで数十倍の差がつくのが実態です。

条件2:築年・耐震性・老朽度を確認する

次に確認するのは建物の築年数と老朽度です。

築年・状態 該当しやすい制度
昭和56年5月31日以前(旧耐震基準) ③耐震除却助成、②空き家除却助成(不良住宅判定が必要)
平成17年3月31日以前(不燃化特区向け) ④不燃化特区助成(区域指定が前提)
不良住宅(外観調査で100点以上) ②空き家除却助成(墨田区・北区など)
耐用年限の3分の2超過(木造22年以上等) ④不燃化特区の固定資産税減免

旧耐震(昭和56年5月31日以前建築)かどうかは、固定資産税の課税明細書や建築確認済証で確認できます。古い家屋で書類が見つからない場合は、市区町村の固定資産税担当課で築年を調べてもらうことも可能です。

不良住宅の判定には役所の現地調査が必要です。外壁の貫通・基礎の破損・屋根の変形などの状態を採点し、基準点を超えれば対象になります。自己判断はできませんが、「かなり傷んでいる」という実感があるなら、まずは役所に現地調査を依頼してみると良いでしょう。

条件3:空き家期間と使用状況を確認する

多くの制度は、空き家であることを証明する必要があります。具体的には以下のような条件が課されます。

  • 1年以上、居住その他の使用がないこと(北区・福生市など)
  • 電気・水道・ガスの使用中止日が確認できる書類が必要(北区)
  • 事業用・貸付用・居住用に供されていないこと(八王子市)

空き家になってからの期間が短い(数ヶ月程度)と、そもそも制度の対象外になる可能性があります。「相続したばかりでまだ手つかず」という場合も、空き家期間の条件を満たすまでは申請できないケースがあるため、まずは役所の窓口で対象期間を確認してください。

条件4:名義・権利関係を確認する

補助金の申請者は原則として建物の所有者です。ここでつまずきやすいのが以下のケースです。

名義・権利の状態 申請の可否と注意点
単独名義 問題なく申請可能
共有名義 全共有者の合意を得て代表者を定める必要あり。各自治体の要綱で「共有者によって合意された代表者」と明記
相続登記未了 自治体により対応が分かれる。八王子市は「相続の登記が完了していること」が必須。まず登記手続きが必要なケースあり
抵当権付き 抵当権者がいる物件でも補助申請自体は可能なケースが多いが、解体後の土地の処分(売却)に制約が出る可能性あり
借地(土地が他人名義) 借地権付き建物の場合、土地所有者の同意書が必要なケースあり(福生市の例)

具体例:共有名義で自分だけで解体を決めて揉めたケース
兄と弟で実家を2分の1ずつ共有していたCさんのケース。Cさんは「補助金の期限がある」と焦り、弟に無断で解体業者と仮契約し、区の補助申請を進めようとした。ところが区の窓口で「共有者全員の合意が必要」と指摘され、弟に説明したところ「解体には反対。更地にして固定資産税が増えるのは嫌だ」と対立。結局、申請の期限に間に合わず、補助金を逃した上に兄弟関係も悪化した。共有名義の空き家を解体する場合は、着手前に関係者全員の合意を得ることが絶対条件です。

条件5:契約・着工のタイミングを確認する

ここは最も致命的なミスが起きるポイントです。

どの制度でも共通するルールとして、「補助金の交付決定を受ける前に、解体業者と契約してはいけない」「交付決定前に着工してはいけない」というものがあります。

たとえば墨田区の要綱にはこう明記されています。

「区の助成承認後に、着工すること(承認前に着工したものについては、助成対象となりません)」

北区も同様に、助成対象承認申請の受付は10月末まで、工事完了報告は11月末までという期限が設定されており、承認前に手を動かすと一切補助金が出ません。

「見積もりをもらう」までは問題ありません。「契約を結ぶ」「着工する」は必ず交付決定の後です。この順番を間違えると、補助金がゼロになるだけでなく、工事代金全額を自己負担する羽目になります。

注意

補助金申請の鉄則:「交付決定前の契約・着工は絶対にしない」
補助金の交付決定は「これだけの金額を補助します」という行政のお墨付きを得る手続きです。決定前に自分で業者と契約してしまうと、その契約は行政の関与していない私的契約となり、補助対象外になります。業者に「急がないと補助金の期限が…」と急かされても、絶対に契約してはいけません。

東京都内の主な自治体別補助制度一覧(5市区)

以下、東京都内の代表的な5つの自治体の制度を比較します。この表は一例であり、すべての自治体に制度があるわけではありません。自分の自治体の制度は、東京都住宅政策本部の「区市町村による空き家に関する支援制度」一覧で確認するか、直接役所の窓口に問い合わせてください。

自治体 制度名 対象条件(主なもの) 補助率 上限 申請期限・注意点
墨田区 老朽危険家屋除却費等助成制度 不良住宅判定100点以上/無接道敷地に存する不良住宅は2/3・上限200万円 1/2 100万円 承認前着工は対象外/年度予算あり
北区 老朽空家等除却支援事業 不良住宅判定必要/1年以上使用なし 1/2 80万円 承認申請10月末まで/完了報告11月末まで
福生市 空き家住宅除却助成金 旧耐震(昭和56年5月31日以前)/1年以上居住なし 1/2 戸建て30万円
長屋等100万円
※ページ更新日が2025年4月。最新情報は窓口確認必須
八王子市 未耐震空き家除却支援補助金 旧耐震/相続取得/相続登記完了/相続発生日から10年以内 2/3 100万円
(※年数で逓減)
3年以内100万→5年以内50万→10年以内25万/交付決定前契約NG
品川区
(不燃化特区)
老朽建築物除却支援 不燃化特区指定区域内/平成17年3月31日以前建築 ㎡単価 木造1,800万円
軽量鉄骨2,550万円
令和12年度までの時限制度/固定資産税8割減免あり(毎年申請必要)

この表の見方:
・「不良住宅判定」=役所の現地調査による採点(100点以上で対象)が必要です。自己判断はできません。
・「旧耐震」=昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物が対象です。
・「相続登記完了」=八王子市のように、補助申請の前提として相続登記の完了を求める自治体があります。制度選びの前に登記の状況を確認しましょう。

申請の正しい手順 — 「交付決定前に契約・着工しない」が鉄則

補助金申請で最も多い失敗は、「見積もりをもらった勢いで契約してしまい、補助対象外になる」ことです。正しい手順は以下の通りです。

  1. ワンストップ窓口または区市町村の担当課に相談(まずは電話や窓口で対象制度の有無を確認)
  2. 現地調査・事前審査(不良住宅判定が必要な場合は役所が現地調査)
  3. 見積もりの取得(複数の業者から取得して比較。ここではまだ契約しない)
  4. 補助金の申請書類を提出(交付申請書+見積書+添付書類を提出)
  5. 交付決定通知を受領(この通知が来るまでは絶対に契約しない)
  6. 解体業者と契約(交付決定後に正式契約)
  7. 着工・工事完了
  8. 実績報告書の提出(工事完了後、速やかに提出)
  9. 補助金の請求・入金(審査後、指定口座に振り込まれる。工事前ではなく後払い

具体例:交付決定前に契約して対象外になった失敗例
墨田区で空き家を所有するDさん。区の制度をネットで見つけ「上限100万円ならかなり助かる」と期待。区の窓口に電話した際「とりあえず見積もりを取ってください」と言われ、知り合いの解体業者に声をかけ、そのまま「早くやっちゃおう」と契約・着工してしまった。後日、区の窓口で「承認前に着工したものは対象外」と伝えられ、100万円の補助金は全額不交付に。Dさんは解体費全額(約120万円)を自己負担することになった。「窓口の人が『見積もりを取ってください』と言っただけで『契約して良い』とは言っていなかった」と悔やんだが、ルールはルール。この失敗を防ぐには、窓口で「契約して良いタイミング」をその場で確認することが大切です。

あわせて押さえておきたいのが「アスベスト(石綿)の事前調査」です。2026年1月1日以降に着工する解体工事では、有資格者によるアスベストの事前調査が義務化されています(東京都環境局)。古い空き家ほどアスベスト含有建材が使われている可能性が高く、調査の結果次第では撤去費用が追加で発生します。見積もりにアスベスト調査費・処分費が含まれているか、事前に確認するようにしましょう。

補助金の額面と実際の自己負担はここが違う

補助率1/2・上限100万円という数字だけを見て「半分は補助金で賄える」と考えるのは早計です。実際の自己負担は以下の要素で変わります。

自己負担の計算式

項目 金額例(目安)
①解体工事費(税抜) 100万円
②補助対象経費(税抜) 100万円(※対象外の費用がある場合はそれを除く)
③補助額(②×1/2、上限以内) 50万円
④消費税(①の10%) 10万円
⑤対象外工事費(残置物処分・仮設足場など) 10万円(例)
⑥実質自己負担(①+④+⑤-③) 70万円

補助額「50万円」に対して実質自己負担は「70万円」。消費税や対象外工事費が加わるため、補助率1/2=自己負担1/2にはならないことを理解しておきましょう。

後払い方式 — 立替資金が必要

補助金は原則として工事完了後の後払いです。「工事代金を全額いったん自分で支払い、後で補助金が返ってくる」方式のため、工事費全額の立替資金が必要になります。

たとえば上の例なら、70万円の自己負担とは別に、工事費全額(110万円)をいったん自分で支払い、その後に50万円の補助金が入金される、という流れです。金融機関によっては「空き家解体ローン」のような商品もありますが、基本的には自己資金で立替えられるかどうかを先に確認してください。

東京都制度と区市町村制度の併用はできるのか

東京都の直接制度(上限10万円)と区市町村の空き家除却助成の併用については、同一の費用に対して二重に補助を受けることはできません(東京都要綱第9条)。ただし、費目を分けた併用(家財整理は都制度、解体は区制度など)が可能かどうかは、各自治体の判断によります。

現実的には、どちらか一方の制度を選んで申請するのが安全です。併用を試みる前に、必ず両方の窓口で確認してください。

解体後の土地 — 固定資産税と税金の注意点

「補助金で安く解体できた」と思っても、解体後に固定資産税が上がってトータルで損をする可能性があります。ここを理解しないまま解体すると、「解体したせいで税金が増えた」と後悔することになります。

住宅用地特例が外れるタイミング

空き家が建っている土地には、原則として「小規模住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の課税標準が6分の1(200㎡以下の部分)に軽減されています。

しかし、建物を取り壊して更地にすると、この特例が外れ、非住宅用地として評価額の7割が課税標準になります。「税額が最大6倍になる」と説明されることもありますが、これは単純計算上の比較であり、実際には負担調整措置や評価替えの影響を受けるため、正確な税額は市区町村の固定資産税担当課でシミュレーションしてもらう必要があります。

注意

解体前と解体後の固定資産税を比較する
解体を決める前に、お住まいの市区町村の固定資産税担当課で「建物がある場合の税額」と「更地にした場合の税額」をシミュレーションしてもらいましょう。特に「解体後にすぐ建て替える」または「解体後に売却する」予定がない場合は、税額増加をランニングコストとして計算に入れる必要があります。

不燃化特区の税減免(8割・最長5年・毎年申請必要)

品川区などの不燃化特区では、解体後も更地のまま一定期間(最長5年度分)固定資産税・都市計画税の8割が減免される制度があります。ただし、以下のような条件があるため注意が必要です。

  • 毎年申請が必要(6月30日までに申告。自動継続ではない)
  • 貸駐車場など収益を伴う利用を始めると減免終了
  • 新たに建築物を建てると減免終了
  • 所有者が変わると減免終了(売却時に注意)

一般の空き家除却助成ではこのような税減免がセットになっていないことが多いため、不燃化特区の2段構え(解体助成+税減免)は特筆すべき優遇措置です。

その他の地域で解体を検討する場合は、東京都主税局の案内(不燃化促進税制)を参考に、自分の地域に該当する減免制度がないか確認してください。

再建築不可の空き家を解体する前に確認すべきこと

接道義務を満たしていない「再建築不可」の空き家の場合、解体前に建築指導課で確認しておくべき事項があります。

  • 解体して更地にしても、再度建物を建てられない(再建築不可の状態は土地に引き継がれる)
  • 更地にすると売却価格が上がるとは限らない(むしろ「利用価値のない更地」として買い手がつかないケースもある)
  • 建築基準法上の「既存不適格」の状態は解体でリセットされるため、再建築する場合は現行基準に適合させる必要がある

補助金を使っても解体すべき?それとも現況のまま売却すべき?

ここまでの話を整理すると、「補助金が出るから解体する」という判断だけでは不十分で、補助後の自己負担・解体後の税負担・土地の出口(売却・活用)を総合的に比較する必要があります。

判断軸 補助金を使って解体 自費で解体 仲介で売却(古家付き) 現況買取(古家付き)
自己負担 補助後も数十万〜数百万 全額自己負担 仲介手数料のみ(売却時) 0円(買取価格から控除なし)
期間 申請〜入金まで数ヶ月 工事期間のみ 販売期間による(数ヶ月〜年単位) 最短2〜4週間
手間 書類作成・役所対応あり 業者選定のみ 内見対応・価格交渉あり 現況調査のみ
解体後の税金 更地の固定資産税増加あり 同上 売却後に課税なし(譲渡所得税は別) 同上
向くケース 補助対象条件を満たす/解体後の土地に出口がある 補助対象外だが早急な解体が必要(行政指導等) 建物に価値がある/買い手が見つかる物件 補助対象外/立替資金がない/再建築不可/すぐ現金化したい

具体例:補助金を使って解体したが更地が売れず、固定資産税だけ増えたケース
八王子市で相続空き家を所有するEさん。旧耐震の実家を処分するため、上限100万円の補助金を使って解体。自己負担は約60万円ですんだ。ところが、解体後の土地は再建築不可(接道なし)で、買い手がつかない。仕方なく駐車場にしたが月2台の収入で固定資産税(約18万円/年)を賄えず、毎年赤字が続いている。「補助金で解体費を安くできたことはよかったが、更地にした後の出口まで考えていなかった」とEさん。補助金の申請前に、「この土地に将来何があるのか」「解体せずに古家付きで売る選択肢はなかったのか」を確認すべきだったと振り返る。補助金ありきで解体を決める前に、解体後の土地に出口(売却・建替え・活用)があるかを必ず確認してください。

この中で特に検討したいのが、「補助対象外で立替資金もない」「再建築不可で更地にしても価値が上がらない」「すぐにでも現金化したい」というケース。その場合は、古家付きのまま買い取ってくれる業者を探す「現況買取」という選択肢があります。

ただし、買取業者によって査定額は大きく異なり、共有持分や相続登記未了の物件に対応できるかどうかも業者によって違います。複数社で条件を比べるところから始めるのが安全です。東京23区・多摩地域で空き家の現況買取に対応している業者の一覧が以下にあります。補助金を使う場合と使わない場合の両方を比較材料としてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

東京都の解体補助金はいくらもらえますか?

制度によって異なります。東京都直接制度なら上限10万円、区市町村の空き家除却助成なら上限30万〜200万円、不燃化特区なら上限1,800万〜2,550万円です。ただし不燃化特区の高額助成は指定区域限定で、一般の空き家には適用されません。まずは「所在地→区域→築年・危険度→名義→契約時期」の順で自分の条件を確認してください。

東京23区でも使える補助金はありますか?

ありますが、区によって制度の有無・内容が異なります。墨田区・北区・荒川区などは独自の空き家除却助成制度を持っていますが、制度がない区もあります。まずはお住まいの区の住宅政策課または建築指導課に電話して、「空き家の解体に対する補助制度はありますか」と確認してください。

都の制度と区の制度は併用できますか?

同一の費用に対して二重に補助を受けることはできません。東京都要綱で「他の補助金の対象となったものは対象外」と明記されています。費目を分けた併用(家財整理は都制度・解体は区制度など)が可能かどうかは各自治体の判断になるため、両方の窓口で確認してから進めてください。

解体業者を先に決めて契約しても大丈夫ですか?

絶対にやめてください。補助金の交付決定前に業者と契約したり着工したりすると、ほぼ確実に補助対象外になります。墨田区の要綱にも「承認前に着工したものについては助成対象となりません」と明記されています。見積もりを取るのは問題ありませんが、契約・着工は必ず交付決定後にしてください。

補助金は工事前に振り込まれますか?

いいえ、基本的に後払いです。工事完了後に実績報告を行い、審査を経てから指定口座に入金されます。工事費の全額をいったん自己負担で立替える必要があるため、事前に資金計画を立ててください。自己資金で工事費を賄えない場合は、現況買取など別の選択肢も検討しましょう。

相続登記がまだ終わっていませんが、申請できますか?

自治体によって対応が異なります。八王子市のように「相続の登記が完了していること」を必須とする自治体がある一方、他の自治体では相続登記未了でも申請自体は受け付ける場合があります。ただし、いずれにしても所有者が確定していないと補助金の交付対象者(受取人)を特定できないため、早急に相続登記を進めることをおすすめします。

共有名義の空き家ですが、自分だけで申請できますか?

できません。各自治体の要綱では「共有者によって合意された代表者」が申請者となると定められています。全共有者の合意を得て、代表者を決める必要があります。解体の賛否で揉めるケースもあるため、着手前に関係者全員と話し合いを済ませておきましょう。

不燃化特区の補助金は誰でも使えますか?

使えるのは不燃化特区に指定された区域内に物件がある人だけです。東京都内のすべての空き家に適用される制度ではありません。該当するかどうかは、お住まいの区の木密整備推進課または都市整備課に問い合わせてください。また、この制度は令和12年度までの時限制度です。

解体すると固定資産税はいくら上がりますか?

一律に「○倍になる」とは言えません。住宅用地特例(200㎡以下は課税標準1/6)が外れると、更地(非住宅用地)扱いとなり評価額の7割が課税標準になります。単純計算では約4.2倍の差になりますが、負担調整措置や評価替えの影響を受けるため、実際の税額は個別のシミュレーションが必要です。「最大6倍」といった説明を目にすることがありますが、これはあくまで単純比較であり、実際の税額とは異なります。解体前に市区町村の固定資産税担当課で試算してもらうことをおすすめします。

補助金を使って解体するのと、古家付きで売るのはどちらが得ですか?

条件によって異なります。補助金を使って解体した場合の「補助後自己負担+解体後の固定資産税増加額」と、古家付きで売却した場合の「買取価額−諸費用」を比較する必要があります。特に「補助対象外」「立替資金がない」「再建築不可で更地にしても価値が上がらない」ケースでは、古家付きのまま買い取ってもらう現況買取の方が有利なことが多いです。複数の選択肢を並べて比較することをおすすめします。

まとめ

東京都内の空き家解体補助金は、「都の直接制度(上限10万円)」と「区市町村の個別制度(上限30万〜2,550万円)」の2層構造になっており、後者の高額助成は不燃化特区など特定の条件を満たす場合に限られます。

補助金を活用するには、以下の順番で行動するのが確実です。

  1. 所在地と区域を確認(自分の自治体に制度があるか)
  2. 築年・危険度を確認(旧耐震か・不良住宅判定が必要か)
  3. 空き家期間を確認(1年以上の空き家期間が必要なケースが多い)
  4. 名義・権利関係を確認(共有者は全員合意が必要/相続登記が必要なケースあり)
  5. 交付決定前に契約・着工しない(これが最も致命的な失敗ポイント)
  6. 補助後自己負担・解体後の税金を試算(更地の固定資産税増加を考慮)
  7. 現況売却と比較する(補助なし・立替困難・再建築不可の場合は古家付き買取も検討)

「補助金が出るから解体する」と決める前に、補助後の実質負担と土地の出口(売却・建替え・保有)まで見据えた総合判断をしてください。補助制度の詳細や申請の可否、予算残額は、必ず東京都空き家ワンストップ相談窓口(0120-776-735)またはお住まいの区市町村の担当課に直接確認してください。補助金の予算は年度単位で管理されており、年度途中で予算が終了するケースもあるため、電話1本で「今年度の受付はまだ空いていますか」と確認するだけでもリスクを減らせます。自治体によって条件や予算状況は年度単位で変わります。

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