目次

共有持分割合(「2分の1」「3分の1」など)は、共有不動産における所有権の割合を示す数字です。ただし、この割合は「物理的な面積の半分を単独所有する」という意味ではなく、共有物全体に対する権利の割合を表します。そして、この割合によって、使用・管理・保存・変更の権限、固定資産税や修繕費の負担割合、さらには売却時の価格までが変わってきます。
この記事で分かること:
- 共有持分割合とは何か、物理的な面積とどう違うか
- 購入時・相続時・夫婦間で割合はどう決まるか
- 登記事項証明書で現在の持分割合を確認する方法
- 持分割合別に「できること・できないこと」の一覧
- 持分割合と売却価格の関係、変更する方法
この記事は、これから不動産を購入する方、相続で共有状態になった方、すでに登記されている持分割合を確認・変更したい方に向けて書いています。ご自身の状況に応じて、必要な箇所からお読みください。
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
「共有持分の割合」に関わる状況は主に3つあります。ご自身がどれに当てはまるか、先に確認してください。
- ① これから不動産を購入する人 → 「購入時の割合の決め方」へ
- ② 相続で共有不動産を持つことになった人 → 「相続時の割合の計算」へ
- ③ すでに登記されている持分割合を確認したい人 → 「現在の持分割合を確認する方法」へ
共有持分の売却で迷ったら
共有持分は権利関係や共有者との調整が問題になりやすく、対応できる業者が限られます。まずは共有持分の買取実績がある専門業者に無料査定を出し、価格と対応を比べるのが近道です。
共有持分の売却に、まずこの1社
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
共有持分・再建築不可・事故物件など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。
- 共有持分をはじめ幅広い訳あり不動産に対応
- 自社直接買取+AI査定で価格の目安がすぐわかる
- 弁護士・司法書士と連携し権利関係も相談可
あわせて査定を比べたい専門業者
※ 買取価格や対応可否は、物件の所在地・状態・権利関係・登記状況・残置物の有無などで変わります。1社だけで決めず、複数社の査定条件を比較することをおすすめします。
掲載順・掲載内容は当サイト編集部の評価基準(対応範囲・公開情報の充実度・スピード等)によるものです。各社の対応領域は時期により変わる場合があります。
共有持分割合とは?2分の1・3分の1が示すもの
共有持分割合とは、一つの不動産を複数人で所有している場合の、各所有者の権利の割合です。たとえば「持分2分の1」「持分3分の1」などと分数で表示されます。この割合は、単なる計算上の比率であり、物理的な区画や使用面積を直接示すものではありません。
持分2分の1=「家の半分を所有」ではない
よくある誤解:
「持分2分の1だから、家の右半分は自分のもの。左半分は兄弟のもの」
正しい理解:
持分2分の1は「共有物(家全体)に対して半分の権利を持つ」という意味です。物理的に家を二分して一方を独占できるわけではなく、家全体に対して使用権・管理権・収益権を持ちます。物理的に区画を分けて占有したい場合は、共有者全員の合意(または共有物分割)が必要です。
持分割合は何を根拠に決まるのか(民法250条)
共有持分割合は、原則として共有者間の契約や合意によって決まります。たとえば「夫が3分の2、妻が3分の1」などと決めて登記します。しかし、特別な取り決めがない場合は、民法250条により「各共有者の持分は等しいものと推定」されます。つまり、共有者が3人なら「3分の1ずつ」と推定されますが、これは絶対的なルールではなく、別途の合意があれば異なる割合にできます。
注意:「共有者が3人なら必ず3分の1ずつ」と決まっているわけではありません。出資額や貢献度に応じて違う割合にすることも可能です。ただし、後から「実は自分が多く出した」と争うとトラブルになるため、最初に合意を明確にしておくことが重要です。
共有持分割合はどう決まる?3つのケース別解説
持分割合の決め方は、「購入時」「相続時」「夫婦間」の3つのパターンで大きく異なります。以下でそれぞれを解説します。
【購入時】出資額ベースの計算方法と注意点
不動産を複数人で購入する場合、持分割合は原則として各人の実質的な取得資金の負担割合に応じて決めます。計算式は「各共有者の負担額 ÷ 不動産の取得価額」です。
出資パターン別の考え方:
| 出資パターン | 持分割合の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自己資金のみ | 各人が実際に支払った金額の比率(例:夫2,000万円・妻1,000万円→夫2/3・妻1/3) | 一番シンプル。出資比率と登記比率を一致させる |
| ペアローン(夫婦別ローン) | 各人の借入額+自己資金の合計負担額の比率 | 連帯債務の場合は内部負担割合を明確にする |
| 親からの援助あり | 援助を受けた人の負担額に含めて計算 | 住宅取得等資金贈与の非課税枠(最大1,000万円)を活用できるか確認 |
| 連帯債務(一方が主債務者) | 単なる連帯保証人の立場だけでは持分は発生しない。実際に負担した金額で判断 | 契約上の債務負担と実際の資金負担は別 |
ポイント
出資割合と登記割合が違うと贈与税の問題が生じることがあります(国税庁No.4411)
たとえば、総額3,000万円の住宅を購入し、夫が2,000万円・妻が1,000万円を負担したにもかかわらず、登記持分を夫婦各2分の1(50%ずつ)にした場合を考えます。
妻の登記上の権利価格は3,000万円×1/2=1,500万円。しかし実際の負担は1,000万円。差額500万円について、夫から妻への贈与があったとみなされ、贈与税が課される可能性があります。
このケースなら、負担割合どおりに夫2/3・妻1/3で登記すれば贈与税の問題は生じません。
現場でよくあるケース:
共働きの夫婦が頭金を折半し、住宅ローンも連帯債務で組んだ。「とりあえず半々で」と軽く考えて登記持分を各2分の1にしたが、後からよく計算すると妻が自己資金を多く出しており、夫の親からの援助も夫名義で受けていた。
「登記は2分の1なのに、実際には妻のほうが多く負担している」という状態になると、形を変えたいと思っても、後から登記を変えるには売買や贈与という形をとる必要があり、余分な登記費用や税金が発生する可能性があります。
購入時こそ、「自己資金・親の援助・ローン債務の内部負担」を人別に書き出し、その比率で登記するのが、後悔しない方法です。
なお、親から住宅購入資金の贈与を受ける場合、2026年12月31日までの贈与について「住宅取得等資金の贈与税非課税措置」が適用できます。省エネ等住宅なら最大1,000万円、一般住宅なら最大500万円まで非課税で贈与を受けられます。この非課税枠は共有名義人ごとに利用できるため、夫婦それぞれが親から贈与を受ける場合、合計で最大2,000万円(省エネ等住宅の場合)まで非課税になります。詳しくは国税庁No.4508または税理士にご確認ください。
【相続時】法定相続分の計算と「必ずこの割合でなくてよい」理由
相続で不動産を複数の相続人が受け継ぐ場合、まず基準となるのが法定相続分です。遺産分割がまとまらない場合の目安として、民法が次のように定めています。
法定相続分の早見表(国税庁No.4132より):
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 配偶者以外 |
|---|---|---|
| 配偶者 + 子 | 2分の1 | 子全体で2分の1(子が複数なら均等) |
| 配偶者 + 直系尊属(父母など) | 3分の2 | 直系尊属全体で3分の1 |
| 配偶者 + 兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹全体で4分の1 |
ここで重要なのは、法定相続分は強制の分割割合ではないという点です。国税庁も「必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません」と明記しています(No.4132)。
たとえば、配偶者と子2人が相続人のケース。法定相続分は配偶者1/2、子Aが1/4、子Bが1/4です。しかし、遺産分割協議で「配偶者がすべて相続する」「子Aが3分の2、子Bが3分の1にする」など、相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で登記することも可能です。
注意
法定相続分どおりに登記するリスク:
法定相続分どおりに共有登記をすると、その後の相続(数次相続)で持分が細分化していきます。
たとえば、A・B・Cの3兄弟が母から不動産を各3分の1ずつ相続。その後Aが死亡し、Aの持分3分の1をAの配偶者と子2人が相続(各9分の1)。さらに数年後、Bが死亡し、Bの持分3分の1をBの配偶者と子1人が相続(各6分の1)。
結果、共有者はCを含めて6人に膨れ上がります。Cにとって、A・Bが存命中は「兄弟」という気心の知れた関係で話ができたのに、今度は義理の姉・甥・姪を含めた6人全員の同意がないと売却も建て替えもできません。連絡先すら知らない相手に、資産の判断を委ねなければならなくなります。
相続時の共有登記は、「法定相続分どおり」以外の選択肢も含めて検討しましょう。
相続した共有持分をそのまま放置すると、上記のように持分が細分化されるリスクがあります。相続登記の方法やリスク回避については、以下の記事でも詳しく解説しています。
あわせて読みたい
【夫婦間の注意点】登記持分と財産分与割合は別
夫婦で不動産を購入する場合、住宅ローン控除の兼ね合いなどから持分割合を決めることが多いですが、登記上の持分割合と、離婚時の財産分与割合は別の概念です。
財産分与では、婚姻中の協力によって築いた財産(夫婦の協力財産)を対象とし、登記持分だけでなく、以下の要素も考慮されます。
- 各自の特有財産(結婚前から持っていた財産・親からの相続など)
- 婚姻への貢献度
- 親族からの贈与の有無と使途
- 住宅ローンの債務負担の実態
「登記が夫4分の3、妻4分の1だから、離婚時の分与も同じ割合」とはならないケースもあります。夫婦間の持分割合を決める際は、離婚も視野に入れて「登記の数字」だけで考えすぎないようにしましょう。
現在の持分割合を確認する方法
すでに登記されている自分の持分割合を確認するには、登記事項証明書(登記簿)を取得するのが確実です。法務局で取得でき、オンラインでも請求可能です。
登記事項証明書(登記簿)の甲区の見方
登記事項証明書のうち、所有権に関する情報が記載されている「権利部 甲区」を見ます。ここに、所有者の氏名・住所とともに「持分2分の1」「持分3分の1」などと分数で記載されています。
注意点:登記簿では「持分1000分の500」のように分母が1000で記載されることがあります。分数に不慣れだと「1000分の500って何?」と混乱しがちですが、約分すれば「2分の1」のことです。同様に「1000分の333」はおおむね「3分の1」ですが、完全な3分の1は割り切れないため端数処理されている場合もあります。
確認のポイント:
- 所有者の名義が自分の名前と一致しているか
- 分数の分子・分母が合っているか(例:「持分1000分の500」=「2分の1」)
- 複数の所有者がいる場合、各自の持分の合計が「1」(全体)になっているか
土地と建物は別々に確認する
注意すべき点:土地と建物は別々の登記用紙(閉鎖されていなければ別の登記記録)で管理されています。土地の持分割合と建物の持分割合が同じとは限りません。
たとえば、土地は父から相続した兄弟共有(各2分の1)だが、建物は兄が単独で建築した(兄単独名義)というケースもあります。持分を確認するときは、必ず土地と建物の両方の登記を確認してください。
固定資産評価証明書でも確認可能
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されている「固定資産評価証明書」にも、所有者と持分割合が記載されています。登記事項証明書ほど詳細ではありませんが、簡易に確認する手段として使えます。
持分割合の合計が「1」にならないケースもあります
本来、共有者の持分割合をすべて合計すると「1」(全体)になるはずです。しかし、実際の登記では以下の理由で合計が1にならないこともあります。
・相続登記が完了しておらず、被相続人名義のまま一部の持分が残っている
・過去の登記申請時に計算ミスや端数処理の誤りがあった
・分筆・合筆の登記の際に持分割合の調整が行われなかった
持分割合の合計が1になっていない場合、その登記は正確ではない可能性があります。司法書士に相談し、必要に応じて更正登記を検討しましょう。
より詳しい調べ方(オンライン請求の方法・費用・注意点など)については、以下の記事で詳しく解説しています。
【早見表】持分割合と「できること・できないこと」
持分割合の数字によって、共有不動産に関して「自分だけで決められること」の範囲が変わります。民法では、行為の内容を「保存行為」「管理行為」「変更行為」の3つに分類し、それぞれ必要な同意のレベルを定めています。
以下の表で、持分割合別にできること・できないことを整理しました。
| 行為の種類 | 内容 | 必要な条件 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 保存行為 | 共有物の現状を維持するための行為 | 各共有者が単独で可能 | ・雨漏りの応急修理 ・鍵の交換 ・登記の保存・管理 |
| 管理行為 | 共有物の利用・管理に関する行為 | 持分価格の過半数の同意 | ・賃貸借契約の締結・更新 ・小規模な修繕(外壁塗装など) ・管理費・修繕積立金の設定 |
| 軽微変更 (2023年改正) |
形状・効用の著しい変更を伴わない変更 | 持分価格の過半数の同意 | ・室内の間取り変更(耐力壁以外) ・設備の同等品への取替 |
| 変更行為 | 共有物の物理的状態や権利関係を大きく変える行為 | 共有者全員の同意 | ・不動産全体の売却 ・建物の増改築・解体 ・抵当権の設定 |
自分の持分だけでできること(保存行為・持分売却)
保存行為(共有物の劣化を防ぐための最低限の行為)は、他の共有者の同意がなくても各共有者が単独で行えます。台風で屋根が破損した場合の応急処置や、鍵の交換などが該当します。緊急性が高いものから対応できるため、すぐに全員の同意を集める必要はありません。
また、自分の持分だけを第三者に売却することも、原則として他の共有者の同意は不要です。持分は各共有者が自由に処分できる独立した財産だからです。「過半数がないと売れない」と思い込んでいる方も多いですが、自分の持分だけなら単独で売却可能です。
あわせて読みたい
持分の過半数が必要なこと(管理行為・軽微変更)
共有物の管理行為(賃貸契約の更新、小規模修繕など)や、2023年改正で管理行為扱いとなった軽微変更は、持分価格の過半数の同意で決められます。ここで重要なのは「人数の過半数」ではなく「持分価格の過半数」という点です。
共有者全員の同意が必要なこと(変更行為・全体売却)
不動産全体を第三者に売却する、建物を解体する、抵当権を設定するなどの「変更行為」は、原則として共有者全員の同意が必要です(民法251条)。たとえ自分が持分の過半数を持っていても、単独で全体を売却することはできません。
重要:持分価格の過半数があっても「不動産全体の売却」や「建て替え」はできません。全体売却のためには、共有者全員の同意を取得するか、家庭裁判所に共有物分割請求を行う必要があります。
「持分2分の1=過半数」の誤解
これは非常によくある誤解です。持分2分の1ちょうど(50%)は、過半数ではありません。
過半数とは「半分を超えること」を意味します。持分2分の1は「ちょうど半分」であって、半分を超えていません。たとえば、Aが2分の1、Bが4分の1、Cが4分の1という共有状態の場合、A単独では過半数に達していないため、管理行為(賃貸契約の更新など)をAだけの判断で決めることはできません。
Aが管理行為を決めるには、BかCのいずれか1人の賛成を得る必要があります(Aの1/2+Bの1/4=3/4で過半数)。このように、持分の数字が意思決定に直接影響するため、自分の持分割合が「過半数に達しているか」「ちょうど半分か」を正確に把握しておくことが重要です。
持分割合とお金の関係
持分割合は、権限だけでなく「お金」にも直結します。固定資産税・修繕費の負担、そして売却時の価格にどう影響するかを見ていきます。
固定資産税・修繕費の負担は持分割合按分
民法253条により、共有物の管理費用などの負担は、原則として持分割合に応じて按分されます。つまり、持分が大きい人ほど多くの費用を負担するのが基本です。
ただし、ここで注意すべき点が2つあります。
① 自治体に対する納税は「連帯納付義務」
固定資産税について、地方税法10条の2は、共有者が連帯して納付する義務があると定めています。つまり、自治体に対しては「代表者1人だけが払えば終わり」ではなく、共有者の誰にでも全額の請求が来る可能性があります。代表者が支払いを渋った場合、他の共有者に督促が回ることもあります。内部での負担割合(持分按分)とは別に、対外的には連帯責任となる点を理解しておきましょう。
② 実際の使用状況と負担が一致しない
たとえば、兄は実家に住んでいるのに固定資産税を弟と折半している、というケースは珍しくありません。民法上は持分按分が原則ですが、実際の使用利益を得ている人がいる場合、公平とは言えません。このような不公平感が元で共有者間のトラブルに発展することもあります。
持分単独の売却価格は「全体価格×割合」より安い理由
持分割合が売却価格にどう影響するかを知っておくことは、査定を受ける前に重要です。
多くの方が「物件全体の時価が4,000万円で自分の持分が2分の1なら、2,000万円で売れるはず」と考えます。しかし、持分単独の売却価格は、この単純な按分額よりも低くなるのが一般的です。その理由は以下の通りです。
| 減価要因 | 内容 |
|---|---|
| 占有者の存在 | 他の共有者が住んでいる・占有している場合、買い手はその人と折り合いをつける必要がある |
| 共有者との関係リスク | 買い手は残りの共有者との間で揉めるリスクを価格に織り込む |
| 共有物分割の手間 | 買い手が最終的に物件全体を取得したい場合、別途共有物分割請求などが必要 |
| 資金の拘束 | 持分だけでは住宅ローンが使えないため、買い手は現金購入者に限られる |
| 共有者数と過半数の有無 | 共有者が多いほど、また過半数に満たない持分ほど査定は低くなりやすい |
目安として、買取業者の提示額は「按分額の数十%程度」となるケースが多いですが、統一された公的相場は存在しません。占有の有無、共有者数、過半数か否か、共有者との関係、物件種別、所在不明共有者の有無などで個別に変動します。
持分売却が現実的なのは、共有者と話がつかず、自分だけでも先に整理したいという人です。ただし共有持分の査定額は、持分割合・占有の有無・共有者との関係・登記の状態によって業者ごとに判断が分かれます。同じ物件でも提示額に差が出るため、1社だけで決めると相場観がないまま契約することになりかねません。共有持分の取り扱いに慣れた複数社で条件を比べるところから始めるのが安全です。
持分割合を後から変更するには
「登記上の持分割合を後から変えたい」というケースは少なくありません。たとえば、購入時に何も考えず各2分の1で登記したが、実は自分が多く出資していたことに後で気づいた、というケースです。
結論から言うと、登記済みの持分割合を単純に「数字だけ変えてほしい」と申請することはできません。持分割合を後から変更するには、何らかの「登記原因」が必要です。
更正登記(当初の誤り)と移転登記(後からの変更)の違い
持分割合の変更には、以下の2つのパターンがあります。
| 更正登記 | 持分移転登記 | |
|---|---|---|
| 適用ケース | 当初の登記申請自体に誤りがあった場合 | 後から売買・贈与・遺産分割などで割合を変える場合 |
| 例 | 「3分の1」と登記すべきところを「4分の1」と誤って申請した | 妹から兄へ持分の一部を売却する/贈与する |
| 手続き | 誤りの事実を証明する書類が必要。他の共有者の協力が得られない場合は判決が必要になることも | 売買契約書・贈与契約書などの原因証明書類が必要 |
| 税務 | 課税されないケースが多いが、実質的な贈与とみなされる場合は課税リスクあり | 売買なら譲渡所得税、贈与なら贈与税の対象となる |
混乱しやすいポイント:「誤って登記したわけではないが、後から考えて割合を変えたい」という場合は、更正登記ではなく持分移転登記(売買・贈与など)が該当します。この場合、税金や登録免許税が発生する可能性があります。
登記原因別の登録免許税
持分移転登記を行う際の登録免許税は、登記原因によって税率が異なります。以下は主なケースの税率です(2026年7月時点)。
| 登記原因 | 土地の税率 | 建物の税率 |
|---|---|---|
| 相続・共有物分割 | 1000分の4 | 1000分の4 |
| 売買(所有権移転) | 1000分の20(※軽減:1000分の15) | 1000分の20(※住宅用軽減:1000分の3) |
| 贈与・交換 | 1000分の20 | 1000分の20 |
(※軽減措置は条件があり、令和8年3月31日までの登記が対象となるものもあります。最新の税率は国税庁No.7191でご確認ください。)
「持分を変更したい」と思ったら、司法書士に相談するのが確実です。自己流で登記申請を行うと、後から課税や効力の問題が生じるリスクがあります。
司法書士へ相談すべきケース
以下のいずれかに該当する場合は、必ず司法書士に相談してください。
- 共有者の一部が登記変更に協力的でない
- 相続登記が未了で、現在の名義人が故人のまま
- 抵当権や住宅ローンが設定されている
- 土地と建物で所有者や持分割合が異なる
- 持分変更に伴う贈与税や譲渡所得税の判断が必要
共有状態に困ったら|4つの選択肢と専門家の使い分け
持分割合の問題に悩んだとき、取れる選択肢は主に4つあります。状況によって適した方法が異なるため、順番に検討するのがおすすめです。
| 選択肢 | 向いているケース | 向かないケース |
|---|---|---|
| ① 共有を続ける | 共有者と関係が良好で、使用や費用負担に不公平感がない | 不満や不信感がすでに生まれている |
| ② 他共有者へ持分を売る | 共有者の一人が買い取る意思と資金がある | 共有者と交渉できない・金額で揉めそう |
| ③ 第三者へ持分を売る(買取) | 共有者と話がつかず、自分だけでも整理したい | まだ共有者と協力して全体売却できる可能性がある |
| ④ 共有物分割請求 | 共有者全員の合意が得られず、最終手段として | 関係が悪化するリスクを受け入れられない |
誰に何を相談すべきか
「共有持分割合」に関わる問題は、相談する専門家によって得意分野が異なります。以下の表を参考に、自分の状況に合った相談先を選んでください。
| 相談内容 | 相談する専門家 |
|---|---|
| 現在の持分割合の確認・登記手続き | 司法書士 |
| 出資額と登記割合の差による贈与税リスク | 税理士 |
| 持分の売却査定・買取の比較 | 共有持分に詳しい不動産会社(買取業者) |
| 共有者との交渉・共有物分割請求・訴訟 | 弁護士 |
| 相続登記・遺産分割協議の進め方 | 司法書士または弁護士 |
| 離婚に伴う財産分与と持分割合 | 弁護士(家事事件) |
よくある質問(FAQ)
Q1. 持分2分の1は過半数ですか?
いいえ、持分2分の1ちょうど(50%)は過半数ではありません。過半数とは「半分を超えること」を意味します。管理行為を決めるには持分価格の過半数が必要ですが、2分の1だけでは過半数に達しないため、他の共有者の賛成が必要になります。
Q2. 法定相続分どおりに登記しないと違法ですか?
いいえ、違法ではありません。法定相続分はあくまで遺産分割がまとまらない場合の基準です。相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で登記することもできます。国税庁も「必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません」と明記しています。
Q3. 出資額と登記割合が違うと必ず税金がかかりますか?
必ず課税されるわけではありませんが、原則として出資額と登記割合の差額分について贈与とみなされる可能性があります。ただし、住宅取得等資金贈与の非課税枠(省エネ等住宅で最大1,000万円)や暦年課税の基礎控除(年間110万円)などの特例が適用できるケースもあります。税務リスクの有無は個別事情によるため、事前に税理士へ確認することをおすすめします。
Q4. 持分が小さくても自分の分だけ売れますか?
はい、自分の持分だけなら他の共有者の同意なく売却できます。持分は各共有者が自由に処分できる独立した財産だからです。ただし、実際の買取価格は按分額より低くなりやすく、共有者が占有している場合はさらに減額されます。「持分が小さいと売れない」と思い込まず、複数の専門業者に査定を依頼してみましょう。
Q5. 土地と建物で持分割合が違うことがありますか?
あります。土地と建物は別々の登記記録で管理されており、所有者や持分割合が異なるケースは珍しくありません。たとえば、土地は兄弟で共有(各2分の1)だが、建物は兄が単独で建築したため兄単独名義、という状態です。持分を確認するときは、必ず土地と建物の両方の登記を確認しましょう。
Q6. 後から持分割合を変更したいときはどうしますか?
単純に数字だけ変えることはできません。売買・贈与・遺産分割・共有物分割などの「登記原因」が必要です。当初の登記自体に誤りがあった場合は更正登記、後から意図的に変える場合は持分移転登記(売買・贈与など)の手続きをとります。いずれの場合も、司法書士に相談するのが確実です。
共有持分の売却で迷ったら
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
共有持分・再建築不可・事故物件など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。