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共有持分の買取業者とのトラブルは、実際に売却した人の約4割が経験しているほど身近な問題です。ただし、すべての業者が悪質というわけではなく、注意すべき行為と適法な権利行使の区別がつけば、リスクは大幅に下げられます。この記事では、トラブルを「売主側」「残存共有者側」の立場と、「査定前」「契約前」「売却後」の段階に分けて整理し、契約前に確認すべき具体的な項目まで解説します。
- 共有持分の買取で実際に起きているトラブルと発生割合
- 悪質な業者の「見分け方」と適法な権利行使との区別
- 査定前・契約前・売却後に確認すべき具体的なチェックポイント
- トラブル発生時の証拠保全と相談先
この記事を読めば、自分の立場(売る側か連絡を受けた側か)が整理でき、契約前に確認すべき質問を持った状態で業者選びへ進めます。
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
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掲載順・掲載内容は当サイト編集部の評価基準(対応範囲・公開情報の充実度・スピード等)によるものです。各社の対応領域は時期により変わる場合があります。
共有持分の買取では「どんなトラブル」が「どのくらい」起きているのか
共有持分の買取では、売主と買取業者の間だけでなく、買取業者と残りの共有者の間でもトラブルが発生します。ある調査(イエコン編集部、2026年3月、共有持分売却経験者64人対象)によると、買取業者へ売却した人の約4割が何らかのトラブルを経験したと回答しています。
トラブルの内訳を関係者別に見ると、以下のような割合でした。
| トラブルの当事者 | 割合 |
|---|---|
| 買取業者と他の共有者の間 | 約46%(13人) |
| 売主と買取業者の間 | 約29%(8人) |
| 両方で発生 | 約18%(5人) |
| その他 | 約7%(2人) |
注目すべきは、売主が持分を売却した「後」に、買取業者と他の共有者との間でトラブルが起きているケースが最も多い点です。売主にとっては「売って終わり」でも、残された共有者には突然知らない業者から連絡が来ることになり、その後の対応に精神的な負担が生じることが少なくありません。
ただし、トラブルの多くは事前に「どんな問題が起き得るか」を知り、業者選びの基準を明確にしておくことで回避できます。次のセクションから、段階ごとの対策を詳しく見ていきます。
まずチェック|自分は「売る側」?「連絡を受けた側」?
この記事は、「自分の持分を売りたい売主」と「突然業者から連絡が来た残存共有者」の両方に向けた内容です。立場によって注意すべきポイントが異なるため、最初に自分のケースを確認してください。
ケースA:自分の共有持分を売却したい人
読み進めるセクション:「査定前~契約前のトラブルと対策」「売却後に起こりうるトラブル」「複数社比較のチェックポイント」
ケースB:他の共有者が持分を売却し、突然業者から連絡が来た人
読み進めるセクション:「残存共有者向け・突然連絡が来たときの対応」「適法な権利行使と問題のある行為の見分け方」
【売主向け】査定前~契約前のトラブルと対策
ここでは、自分の共有持分を売却しようとしている人が、査定から契約までの間に直面しやすいトラブルを解説します。自分の持分だけなら他の共有者の同意は不要ですが(民法第206条)、だからこそ「安く買い叩かれる」「契約を急かされる」といった問題が起きやすいのも事実です。各トラブルには、回避するための具体的な対策を直接記載しています。
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トラブル① 共有持分を不当に安く買い叩かれる
共有持分の価格は、「不動産全体の市場価格×持分割合」の単純計算では決まりません。なぜなら、持分だけを買っても、買主は他の共有者と調整しながら不動産を活用する必要があるからです。実際の査定では、以下の要因が価格に大きく影響します。
- 持分割合の大きさ
- 現在の占有者(誰が住んでいるか)
- 共有者間の関係(協力的か・反対しているか)
- 不動産全体の売却可能性
- 抵当権や差押えの有無
- 相続登記が完了しているか
- 立地や建物の状態
そのため、「共有持分の買取相場は市場価格の○%」といった一律の数字を信じるのは危険です。条件が同じでも業者によって査定額の考え方が異なります。
【回避策】 同じ資料を複数社に渡して正式な買取額を比較することが、不当な安値買取を防ぐ最も確実な方法です。「査定額」ではなく「諸費用控除後の最終手取り額」を基準に、少なくとも3社で横並び比較しましょう。
トラブル② 査定後、理由を曖昧にしたまま減額される
共有持分の買取では、簡易な机上査定のあとに、実際の調査を経て正式な買取価格が決まります。資料不足の状態で出した概算額が後で修正されること自体は異常ではありません。ただし、問題はその対応の仕方です。
減額の理由や根拠を具体的に説明できない業者は、最初から高い金額で契約を誘導し、後から値切る手法を取っている可能性があります。
【回避策】 正式な買取額を決める際は、「なぜ減額するのか」「どの費用がいくらかかるのか」「最終的な手取り額はいくらになるのか」をすべて書面で確認しましょう。口頭だけの説明では後日「聞いていない」と言われるリスクがあります。
トラブル③ 契約を急かされ検討時間が取れない
「今週中に決めないと条件が変わります」「他にも買いたい人がいるので早急に」といったせかし方は、悪質業者の典型的な手口です。
国土交通省の注意喚起(「高齢者の自宅の売却トラブルにご注意ください!」)では、宅地建物取引業法第47条の2に基づき、以下の行為が禁止されています。
- 威迫する行為
- 私生活又は業務の平穏を害する方法で困惑させる行為
- 相手方が契約しない意思を示したにもかかわらず勧誘を継続する行為
- 迷惑を覚えさせるような時間の電話や訪問
【回避策】 断っているのに連絡を繰り返す、検討のための時間を十分に与えないといった対応を受けた場合は、その業者とは取引をしないという判断が合理的です。「断っても問題ない」という意識を持ち、しつこい場合は消費者ホットライン(188)へ相談してください。
トラブル④ キャンセル時に高額な違約金を取られる
共有持分の買取契約で特に注意が必要なのが「クーリング・オフ」の誤解です。
不動産業者が買主となる取引(共有持分の買取もこれに該当します)では、クーリング・オフは使えません。
国土交通省および国民生活センターは、不動産業者(買主)との売買契約にはクーリング・オフが適用されないと明確に注意喚起しています(国民生活センター2021年6月24日公表)。
契約をキャンセルできるのは、以下のいずれかの方法に限られます。キャンセルの可否は「契約後の経過日数」によって変わります。
| 解除方法 | 内容 | 使えるタイミング | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 手付解除 | 契約時に受領した手付金を放棄することで解除。手付金は売買価格の5〜10%程度が一般的 | 契約日から手付解除期間内(通常7〜14日間) | 期間を過ぎるとこの方法は使えない。契約書で期間を必ず確認 |
| 違約解除 | 債務不履行による解除。契約書に定められた違約金(一般的に売買価格の10〜20%)の支払いが必要 | 手付解除期間経過後も可能 | 違約金の額が合理的か契約書で確認。高額すぎる場合は消費者契約法違反の可能性 |
| 取消し(消費者契約法) | 業者の不実告知(嘘の説明)や困惑させられる勧誘があった場合 | 原則として契約後6か月〜5年(詐欺の場合は5年) | 個別要件と証拠が必要。裁判所の判断による |
【回避策】 契約前に「キャンセルした場合の条件」を契約書で明確に確認し、違約金の額が合理的かどうかを確かめてから署名することが重要です。不安な場合は、契約書の内容を弁護士や消費生活センターに確認してもらいましょう。
【売主向け】売却後に起こりうるトラブルと対策
持分を売って現金を受け取った後でも、トラブルが終わるとは限りません。特に多いのが、買取業者が残りの共有者へ接触したことで起きる親族間の揉め事です。このリスクを左右するのが、買取業者の「事業戦略」の違いです。
買取業者の「2つのタイプ」
共有持分を買い取った業者のその後の戦略は、大きく2つに分かれます。
・転売型:取得した持分を早急に転売するか、他の共有者への買取提案を積極的に行う。短期間で利益確定を目指すため、他共有者への接触も早く、方法が強硬になりやすい傾向があります。
・長期保有型:取得した持分を長期で保有し、他の共有者の様子を見ながら、穏便に全体の売却や分割を目指す。焦って接触することは少なく、訴訟に発展するリスクも相対的に低いです。
契約前に「買取後はどのような方針かを確認する」ことで、売却後の親族トラブルのリスクをある程度予測できます。
トラブル⑤ 売却後、業者が他の共有者へ強引な連絡をする
自分の持分だけを売却する場合、他の共有者に事前に通知する法律上の義務はありません。しかし、黙って売却を進めた結果、売却後に買取業者が残された共有者へ「買取のご提案」「共有物分割請求」「使用料の請求」などで接触し、結果的に「兄が勝手に不動産を売った」と家族関係がこじれるケースが少なくありません。
実際にあったケース
両親の遺した実家を兄と弟で2分の1ずつ相続。弟は遠方に住み、兄が実家に住み続けていた。弟は固定資産税の負担に耐えかね、共有持分を専門の買取業者へ売却。ところが、買取業者は取得した持分を盾に、兄に対して「共有物分割の裁判を起こす」と通知。兄は「なぜ弟が勝手に売ったのか」と激怒し、弟に電話で詰め寄った。「売ったのは自分の持分だけだし、法的には問題ない」と弟は主張するが、兄の怒りは収まらず、以後兄弟の関係は修復不可能になった。
【教訓】法的には問題がなくても、家族関係を考慮した事前説明の要不要を、売却前に冷静に検討する必要がある。
【回避策】 契約前に業者へ「売却後の他の共有者への対応方針」を確認することが最も有効です。具体的には以下の質問をしましょう。
- 「取得した持分はどのように活用する予定ですか(転売・長期保有・訴訟の検討など)?」
- 「他の共有者への連絡はどのような方法で行われますか?」
- 「共有物分割請求を直ちに検討される予定はありますか?」
できれば、これらの回答を契約書面か別途の確認書に残しておくと、後日のトラブル防止になります。
トラブル⑥ 共有者から「勝手に売った」と恨まれる
前項と重なりますが、持分売却は「黙っていても法的に問題ない」のと「親族関係を壊さずに済む」のは別問題です。特に以下の状況では、売却前に他の共有者へ一報を入れることを検討する価値があります。
- 日頃から連絡を取り合っている関係である
- 他の共有者が実家に住んでおり、売却が生活に影響する
- 将来的に親族間で遺産分割や別の話し合いが残っている
伝える内容は「自分の持分だけを整理すること」「買取業者に売却する予定であること」の2点で十分です。許可を取る必要はありませんが、「後から知らされて怒る」パターンを避けるための実務上の配慮です。
トラブル⑦ 契約不適合責任を後から問われる
一般の不動産売買では、売主は物件の隠れた瑕疵(契約不適合)について一定期間責任を負います。しかし、買取業者への売却では、契約不適合責任を免責(免除)とする契約が一般的です。買主がプロ(買取業者)であり、現状のまま買い取る取引だからです。
ただし、契約書の文言を必ず確認してください。免責の範囲が不明確だったり、「故意・重過失」まで免責している場合は注意が必要です。
【回避策】 契約書の「契約不適合責任」に関する条項を確認し、不明点があれば署名前に質問するか、司法書士や弁護士へ確認を依頼しましょう。また、売却後に固定資産税の納税通知が自分のもとに届き続けるケースがあるため、登記完了後に市区町村へ所有者変更の届出が必要かどうかも確認しておくと安心です。
【残存共有者向け】突然業者から連絡が来たときの3つのケースと対応
共有者が持分を買取業者に売却した結果、あなたのもとに突然電話や書面が届くことがあります。「持分を買いませんか」「使用料を払ってください」「共有物を分割しましょう」といった内容です。パニックになる必要はありませんが、正しい知識を持って対応することが重要です。
まず最初に取るべき行動(共通)
- 業者からの連絡(書面・メール・電話の内容)をすべて記録・保存しておく
- すぐに返事をせず、「検討します」と一旦保留する
- 契約書や登記情報があれば、誰がいつ持分を売却したのか確認する
- 弁護士や司法書士など専門家への相談を検討する(特に使用料請求や分割請求を受けた場合)
ケース① 買取や全体売却の提案を受けた
「あなたの持分も買い取らせてください」「不動産全体を売却しませんか」といった提案は、業者の当然の営業活動です。これ自体に問題はありません。
対応のポイント:
- 応じる義務はない。断っても法的な問題はない
- 売却を検討してもよい場合は、複数の業者から見積もりを取る。1社だけで決めない
- 話を聞くだけなら無料で対応してもらえることが多いが、契約の強要を受けたら即座に断る
ケース② 使用料相当額を請求された
買取業者があなたの共有持分を取得したうえで、「あなたが不動産を独占使用しているのだから、持分超過分の使用料を払ってください」と請求してくることがあります。
この請求は、民法第249条第2項に基づくものです。共有物を使用する共有者は、別段の合意がない限り、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務があります。つまり、行為自体は適法な権利行使です。
ただし、以下の点を確認する必要があります。
- 占有の有無:あなたが実際にその不動産に住んでいる・使用していることが前提。空き家や誰も使っていない土地では使用料請求は成立しない
- 過去の合意:「無償で使用してよい」と共有者間で合意していた場合、請求が直ちに通るとは限らない
- 請求と退去は別:使用料を支払ったからといって住み続けられるわけではない。逆に、使用料を拒否しても直ちに退去義務が生じるわけではない。両者は別の法律問題
【取るべき行動】 請求を受けたら、まずは弁護士や司法書士など専門家に相談し、自分が応じる義務があるかを個別に確認してください。無視せず、かといって相手の言いなりにならず、法的な根拠を確かめることが第一歩です。
ケース③ 共有物分割請求を示唆された
「共有物分割請求(裁判所への申立て)」は、民法第256条で認められた共有者の権利です。共有者はいつでも分割を請求でき、協議がまとまらなければ裁判所が分割方法を決めることになります(民法第258条)。
この行為自体も適法です。ただし、問題になるのは「裁判を起こす」と脅して不当な買取や退去を迫る行為です。実際に裁判所へ申立てをするかどうかは別として、「分割請求する」と言うこと自体は権利行使の範囲内です。
注意
弁護士法73条違反の可能性について
近年、一部の共有持分買取業者が、買い取った持分をもとに他の共有者へ不当な内容の通知を送ったり、訴訟をほのめかして圧力をかけたりするケースが問題視されています。大阪高裁令和6年7月12日判決では、譲渡制限株式の買取事業について、弁護士法第73条(非弁護士による法律事務の取扱いの禁止)に違反する可能性が指摘されました。共有持分の買取と分割請求の組み合わせについても同様の法的議論がありますが、令和8年7月時点で確定した司法判断はなく、今後の議論が待たれます。
業者が「裁判を起こす」「法的措置を取る」と言ってきた場合、それが虚偽の説明であれば消費者契約法上の不実告知に該当する可能性があります。実際に裁判所から書類が届くまでは、業者の「訴訟を示唆する文言」をそのまま信用せず、まずは弁護士へ相談してください。
業者の「適法な権利行使」と「問題のある行為」を見分ける基準
共有持分の買取におけるトラブルを語るうえで最も重要なのが、「業者の行為が直ちに悪質なのかどうか」を行為の内容ではなく「方法」で判断するという視点です。
例えば、共有物分割請求は適法な権利行使ですが、それを「裁判を起こすぞ」と脅して不当な契約を迫ることは問題です。以下に、適法な行為と問題のある行為の違いを整理します。
| 行為 | 適法な範囲(問題になりにくい) | 問題のある方法(注意すべき) |
|---|---|---|
| 買取の提案・連絡 | 文書での通知、話し合いの場を設ける | 連日の電話、深夜の訪問、断ったのに繰り返す |
| 使用料の請求 | 根拠(民法249条)と計算方法を明示した書面での請求 | 「払わないと訴訟」と威迫する、法外な金額を要求する |
| 共有物分割請求 | 協議の申入れ→不調なら裁判所へ申立て | 「今すぐ応じなければ不利になる」と虚偽の説明をする |
| 査定・価格提示 | 査定根拠を明示、複数の資料で説明 | 根拠のない高額提示で誘い込み、後で一方的に減額 |
宅地建物取引業法第47条の2では、宅建業者に対し、威迫行為や困惑させる勧誘、不実告知などを禁止しています。また国土交通省の注意喚起でも、断っているにもかかわらず勧誘を続ける行為、生活の平穏を害する方法での勧誘が問題とされています。
判断に迷ったら、「その業者が、自分が納得するまで十分な説明と検討の時間を与えてくれるかどうか」を基準にしてください。
トラブルを防ぐ|複数社を比較する際の6つのチェックポイント
共有持分の買取で最も効果的なトラブル防止策は、「1社だけで決めない」ことです。複数社から同じ条件で見積もりを取り、横並びで比較することで、不当な条件や異常に低い価格を見抜けます。
比較する際は、以下の6項目を必ず確認してください。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ①査定額・正式提示額 | 机上査定額と正式な買取価格がいくらか。減額条件は明確か |
| ②費用控除後の手取り額 | 諸費用(登記費用・固定資産税精算など)を差し引いた最終的な受取額 |
| ③支払時期と方法 | 手付金と残代金の支払い時期。登記と代金決済の順序 |
| ④契約解除の条件 | 手付解除の期間と金額、違約金の額。キャンセルできる条件 |
| ⑤契約不適合責任の範囲 | 免責範囲。故意・重過失まで免責されていないか |
| ⑥買取後の他共有者対応方針 | 業者が取得後、他の共有者へどう接触するか。転売型か長期保有型か。訴訟方針があるか |
特に⑥の「他共有者対応方針」は、売却後の親族トラブルを左右する重要な項目です。業者によっては「取得後はすぐに転売する」「共有物分割請求は行わない」と明確に説明する場合もあります。契約前に必ず質問し、可能なら契約書面に記載してもらいましょう。
共有持分の買取が現実的な選択肢になるのは、「共有者と話がつかず、自分だけでも先に整理したい」「管理や固定資産税の負担から解放されたい」という状況です。ただし、持分割合・占有の有無・共有者との関係・登記の状態によって業者ごとに査定額や対応が大きく異なるため、1社だけで決めると相場観がないまま契約することになります。
【事前準備】査定前に必ず確認しておくこと
査定を依頼する前に、自分の権利関係を正確に把握しておかないと、査定額の条件が合わなかったり、売却対象を誤解したりする原因になります。最低限、以下の3点を確認してから査定に進みましょう。
- 登記事項証明書(全部事項証明書):自分の名義と持分割合、抵当権や差押えの有無を確認。法務局で取得可能(オンラインでも可)
- 固定資産評価証明書:市区町村役場で取得。固定資産税の算出基礎となる評価額が記載されている
- 現在の占有状況:誰が住んでいるか、誰が使用しているか。空き家かどうか
査定を依頼する際は、これらをすべての業者に同じ内容で渡すことで、比較条件を揃えることができます。「資料を渡していなかったせいで後から減額された」という事態も防げます。
もしトラブルが発生したら|証拠保全と相談先
万が一、契約後に問題が起きた場合、早めの証拠保全と適切な相談先への連絡が解決の鍵を握ります。トラブルの内容によって相談先が異なりますので、以下の表を参考にしてください。
保存すべきもの
- 査定書・買取申込書・契約書・重要事項説明書の控え
- 業者とのメールやSMSのやり取り(スクリーンショットでも可)
- 電話の着信履歴と、可能なら通話録音(会話の内容と日時)
- 業者の訪問日時と、その場での発言内容(メモ)
相談先一覧
| 相談内容 | 相談先 | 連絡先・備考 |
|---|---|---|
| 業者の勧誘方法・契約内容に疑問がある | お住まいの市区町村の消費生活センター | 消費者ホットライン:188(全国共通) |
| 宅建業者の法令違反が疑われる | その業者の免許を発行した行政庁(国土交通省または都道府県) | 業者のホームページや契約書に記載された免許番号の交付元を確認 |
| 契約解除・取消し・損害賠償など法的な対応が必要 | 弁護士 | 日本司法支援センター(法テラス):0570-078374 初回30分無料の法律相談も利用可能 |
| 登記や権利関係の確認 | 司法書士 | お住まいの地域の司法書士会で紹介を受けることが可能 |
なお、この記事のテーマが相続によって共有状態になった方に該当する場合は、以下の記事も参考にしてください。
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よくある質問(FAQ)
共有持分の買取契約にクーリング・オフは使えますか?
使えません。不動産業者が買主となる売買契約(買取契約)は、クーリング・オフの対象外です(宅建業法第37条の2)。契約後のキャンセルは、手付解除または契約書に定める違約金の支払いによる解除に限られます。国民生活センターもこの点について注意喚起を行っています。
査定額より低い金額を提示されたら悪質業者ですか?
必ずしも悪質とは限りません。共有持分の買取では、机上査定の段階で十分な資料が揃っていない場合があり、実際の調査後に適正な価格へ修正されることはあります。問題なのは、減額の理由や根拠を具体的に説明せず、曖昧なまま進める業者です。理由を明示できない業者は警戒してください。
買取業者が他の共有者へ連絡するのを止められますか?
取得した持分に基づく正当な権利行使としての連絡を、売主が止めることはできません。ただし、威迫や執拗な連絡など、宅建業法に違反する方法での接触であれば、免許行政庁へ相談できます。売却前に、業者の「他共有者への対応方針」を確認しておくことが最も有効な予防策です。
共有者が住んでいる家の持分を売ったら、住人は追い出されますか?
持分を売却しただけでは、住人は直ちに追い出されません。共有者の一人にすぎない買取業者が単独で退去を求めることはできず、裁判所の判断を経る必要があります。ただし、買取業者が共有物分割請求を申し立て、裁判所が競売や現物分割を決定した場合には、住み続けられなくなる可能性があります。このリスクを避けたい場合は、売却前に他の共有者と話し合うことを検討すべきです。
使用料請求や共有物分割請求は拒否できますか?
拒否すること自体は可能ですが、法的な効力はありません。使用料請求に応じなければ、最終的に裁判所で判断されることになります。共有物分割請求も、協議に応じなければ相手方が裁判所へ申し立てることができます。無視するより、弁護士への相談を検討してください。
契約後にキャンセルしたいときはどうすればいいですか?
方法は3つあります。(1)手付解除期間内(通常7〜14日間)であれば手付金を放棄して解除。契約書で期間を必ず確認してください。(2)期間経過後は契約書に定められた違約金を支払って解除。(3)業者の不実告知や威迫が証明できれば消費者契約法に基づく取消しが可能。ただし③は証拠が必要で、裁判所の判断が必要です。
買取業者が嘘の説明をして契約した場合、取り消せますか?
消費者契約法第4条に基づき、業者の不実告知(重要な事実について嘘の説明をすること)があった場合、契約を取り消せる可能性があります。ただし、取消しが認められるには「嘘の説明があったこと」「それを信じて契約したこと」の立証が必要で、裁判所の判断を経ることになります。契約時のやり取りの記録(書面・録音・メール)が重要です。
共有持分を売る前に、他の共有者に伝えるべきですか?
法律上の義務はありません。しかし、売却後に買取業者が他の共有者へ接触し、親族関係が悪化するリスクを考慮すると、事前に一報を入れることを推奨します。特に、他の共有者が不動産に住んでいる場合や、日頃から関係がある場合は、伝えておいた方が無用なトラブルを避けられます。
まとめ|自分の立場と段階を整理し、納得できる選択を
共有持分の買取は、正しい知識と準備があれば安全に進められる取引です。最後に、この記事で説明した内容を、あなたの状態別に整理します。
自分の持分を売りたい人へ
- 査定前に登記事項証明書で持分割合と権利関係を確認する
- 少なくとも3社以上に同じ資料を渡して見積もりを取る
- 比較するのは「査定額」だけでなく、手取り額・支払時期・解除条件・買取後の他共有者対応方針の6項目
- クーリング・オフは使えない。契約前にキャンセル条件を必ず確認する
- 契約前に、業者の他共有者への対応方針を確認し、可能なら書面に残す
- 売却後も固定資産税の名義変更など、残る手続きを確認する
突然業者から連絡が来た人へ
- 買取提案に応じる義務はない。断っても問題ない
- 業者からの連絡はすべて記録・保存する
- 使用料請求・共有物分割請求は行為自体は適法。ただし方法に問題がある場合は消費生活センターや弁護士へ相談
- 法的な判断が必要な場合は、自分だけで判断せず専門家へ相談する
- 複数社から見積もりを取ることで、不当な条件を見抜ける
共有持分は「売れない」のではなく、「売り方と相談先で結果が変わる」不動産です。トラブルを恐れて何も行動しないより、正しい知識を持って一歩ずつ進める準備を整えましょう。
共有持分の売却で迷ったら
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
共有持分・再建築不可・事故物件など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。