目次

共有持分の売却価格に「全体価格の◯%」という一律の相場はありません。売却価格は、「誰に売るか」「共有者との関係」「占有の有無」「持分割合」などによって大きく変わります。この記事では、価格を5段階に分解し、自分のケースに当てはめて適正な査定額を見極める基準を解説します。
- 共有持分の売却相場は「全体市場価格×持分割合」を基準に、売却先や共有者との関係により変動する
- 「固定資産税評価額」「按分価額」「査定額」「買取価格」「最終手取り」はすべて異なる数字
- 査定額の適正判断には、価格の内訳・減価理由・最終手取り・契約条件の4点を確認する必要がある
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
共有持分の売却で迷ったら
共有持分は権利関係や共有者との調整が問題になりやすく、対応できる業者が限られます。まずは共有持分の買取実績がある専門業者に無料査定を出し、価格と対応を比べるのが近道です。
共有持分の売却に、まずこの1社
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
共有持分・再建築不可・事故物件など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。
- 共有持分をはじめ幅広い訳あり不動産に対応
- 自社直接買取+AI査定で価格の目安がすぐわかる
- 弁護士・司法書士と連携し権利関係も相談可
あわせて査定を比べたい専門業者
※ 買取価格や対応可否は、物件の所在地・状態・権利関係・登記状況・残置物の有無などで変わります。1社だけで決めず、複数社の査定条件を比較することをおすすめします。
掲載順・掲載内容は当サイト編集部の評価基準(対応範囲・公開情報の充実度・スピード等)によるものです。各社の対応領域は時期により変わる場合があります。
共有持分の売却価格を構成する5つの「価格の種類」
共有持分の売却を検討するとき、最初に混乱しやすいのが「価格」の種類です。次の5つはすべて意味が違うため、区別して考える必要があります。
| 価格の種類 | 説明 | 売却相場の基準になるか |
|---|---|---|
| ① 共有不動産全体の市場価格 | 通常の買主へ物件全体を売る場合の想定価格。近隣の取引事例や不動産情報ライブラリで確認できる。 | 出発点にはなるが、持分単独の価格とは一致しない |
| ② 按分価額(理論上の基準値) | 全体市場価格×登記上の持分割合。単純計算上の数字であり、実際の売却価格ではない。 | 比較の基準値(ここから減価を考える) |
| ③ 税務上の評価額 | 固定資産税評価額・相続税評価額・路線価など。課税目的の数値であり、市場価格と一致しない。 | ならない(売却価格の参考にできない) |
| ④ 査定額・買取価格 | 不動産会社や買取業者が提示する金額。占有・持分割合・共有者関係・権利調整のしやすさなどを反映。 | これが実際の売却の候補価格 |
| ⑤ 最終手取り | 売却代金から仲介手数料・登記費用・譲渡所得税などを差し引いた、あなたの手元に残る金額。 | 契約前に必ず計算して確認する |
多くの人が「全体価格×持分割合=自分の持分の価値」とイメージしますが、それはあくまで理論上の按分価額です。実際の査定額は、以下の要因によって按分価額より低くなることが一般的です。
この記事で重要なのは、「売却相場に一律のパーセンテージはない」という前提を持つことです。
【計算例】全体3,000万円・持分2分の1で見る価格の段階
具体的な数字で見たほうが理解しやすいため、全体の市場価格が3,000万円、持分割合が2分の1(50%)のケースを例に、各段階の価格を整理します。
| 段階 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 全体市場価格 | 3,000万円 | 物件全体の取引想定価格 |
| ② 按分価額(3,000万円×1/2) | 1,500万円 | 理論上の基準値(実際の売却価格ではない) |
| ③ 固定資産税評価額(参考) | 1,200万~1,800万円程度 | 課税目的の数値であり、売却価格の基準にはならない |
| ④ 実際の査定額(売却先・条件による) | 150万~1,500万円 | 条件によって大きな開きがある(下記で詳述) |
| ⑤ 最終手取り(④から費用・税金を控除) | ④の約70~90% | 長期譲渡か短期譲渡か、仲介か買取かで変わる |
按分価額の1,500万円に対して、実際の査定額は売却先や共有者との関係によって大きく変化します。売却先別にみると次のような傾向になります(あくまで実務上の参考値であり、個別の事情により変動します)。
| 売却先 | 査定額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 共有者全員で全体売却 | 2,400万~3,000万円(全体) →持分相当:1,200万~1,500万円 |
全員の同意が必要。最も高値になりやすいが、調整が難しい |
| 他共有者へ持分売却 | 1,200万~1,500万円 (按分価額の80~100%) |
相手が取得後に単独所有になるため減価が小さい。ただし相手に買取資金があることが前提 |
| 専門買取業者(関係良好) | 750万~1,200万円 (按分価額の50~80%) |
権利調整のしやすさが価格に反映される。話し合い可能な状態なら比較的高め |
| 専門買取業者(対立・占有あり) | 150万~600万円 (按分価額の10~40%) |
共有者と連絡が取れない、占有者がいる、協議が難航するほど減価は大きくなる |
ここで重要なのは、同じ按分価額1,500万円でも、売却先や条件によって実際の査定額が150万円から1,500万円まで開くことです。「共有持分は全体価格の◯%」とひとくくりにできない理由がここにあります。
なぜ按分価額より安くなるのか?「共有減価」の2つの階層
共有持分の価格が按分価額より低くなる理由は、「共有減価」というひとくくりではなく、2つの異なる階層に分けて考える必要があります。これを理解しておくと、査定額の内訳を正しく判断できるようになります。
| 階層 | 内容 | おおよその減価率 | 適用される場面 |
|---|---|---|---|
| 第1層:鑑定上の共有減価 | 持分権利の制約(自由に使えない・売れない)によって生じる理論上の減価 | 按分価額の▲10%〜▲40% | 不動産鑑定評価、家庭裁判所の遺産分割評価、共有者間売買 |
| 第2層:買取業者の調整コスト | 権利調整費用・保有リスク・転売利益を含む実務上の減価 | 第1層の価格からさらに▲20%〜▲50% | 買取業者への売却時の査定 |
つまり、買取業者の提示額は「按分価額 → 鑑定上の共有減価(▲10〜40%) → さらに権利調整コスト(▲20〜50%)」という2段階の減価を経た金額です。これが「共有持分の買取価格は按分価額の1/2〜1/3」といわれる理由です。
価格に影響する6つの具体的な要因
ここからは、実際の査定額に直接影響する6つの要因を解説します。自分の状態に当てはめてチェックしてみてください。
要因① 他共有者が占有している
最も価格に影響するのが「誰が住んでいるか・使っているか」です。他共有者が占有している場合、買取業者は取得後にその共有者と交渉する手間とリスクを見込みます。占有者がいる物件の持分は、そうでない場合と比べて査定額が大きく下がる傾向があります。
【具体例】兄弟の相続vs離婚後の共有
ケースA(兄弟相続):兄と弟で実家を2分の1ずつ相続。兄はそのまま実家に住み続け、弟は遠方で生活。弟が自分の持分を買取業者に査定依頼したところ、「兄が占有中で立ち退き交渉が必要」という理由で、按分価額の約30%の提示額となった。一方、兄に直接買取を打診したところ、兄は単独所有化できるメリットがあるため按分価額の90%で買取りを承諾。同じ持分でも売却先で価格が3倍近く変わったケースです。
ケースB(離婚):離婚後、元夫が住み続けるマンションの持分(2分の1)を元妻が売却しようとした。元夫に買取資金はなく、共有関係を続けたくない。買取業者の査定は按分価額の約35%。元夫が居住中で、立ち退き交渉や共有者間の感情的な対立が価格に反映されたケースです。
要因② 持分割合が小さい
持分割合が小さいほど、買主が取得しても単独所有者になれず、他の共有者との調整が続くリスクが高いと見なされます。不動産鑑定の実務でも、持分が2分の1を超えるかどうかで評価が変わることが指摘されています。持分が過半数(50%超)あれば管理行為(賃貸借契約など)を単独または過半数の判断で行えるため、買主にとっての利点が増えます。
要因③ 共有者との関係が悪い・連絡が取れない
買取業者は、取得後に他の共有者と協議できる見込みがあるかどうかを重視します。連絡が取れない、または既に対立している状態だと、権利調整に時間と費用がかかると判断され、査定額が下がります。
- 共有者と連絡が取れて話し合いが可能:按分価額の50〜80%程度
- 共有者と連絡が取れない・対立中:按分価額の10〜40%程度
この差が、同じ物件の持分でも査定額に大きく開きが出る理由です。
要因④ 相続登記未了・抵当権・差押えがある
相続登記がされていない状態(登記名義が故人のまま)では、買取業者はまず相続人全員の確定や登記手続きから始める必要があります。抵当権や差押えが付いている場合は、債権者との調整や抵当権抹消の手続きが別途必要になります。これらの「登記上のハードル」は権利調整の手間として査定額に反映されます。
なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記をする必要があります(法務省)。登記が未了の状態が続くと過料の対象になる可能性もあるため、売却とあわせて対応を検討しましょう。
要因⑤ 物件自体の市場性が低い
共有状態でなくても、物件の立地・築年数・接道状態・用途などによって市場価格が低い場合は、持分の査定額も当然低くなります。老朽化した物件や再建築不可の土地などは、たとえ単独所有でも価格が低いため、持分になるとさらに減価が大きくなる傾向があります。
要因⑥ 売却期限が迫っている
固定資産税の支払い・ローンの返済・相続税の納付など、時間的な制約がある場合も査定額に影響します。売却を急ぐほど買主側の交渉材料になりやすく、特に買取業者は「早期決済」を条件に価格を抑える傾向があります。逆に、時間的な余裕があれば、複数社の比較や共有者との交渉をじっくり進められるため、条件面で有利になります。
ポイント
診断:自分の共有持分はどの程度減価しやすいか
以下の項目に該当するほど、減価は大きくなる傾向があります。
- □ 他共有者が物件を占有している
- □ 持分割合が2分の1未満(特に3分の1以下)
- □ 共有者と連絡が取れない、または関係が悪い
- □ 相続登記が未了、または抵当権・差押えがある
- □ 物件の市場価値がもともと低い(築古・立地不良・再建築不可など)
- □ 時間的な余裕がなく急いでいる
該当数が多いほど按分価額からの減価が大きくなる傾向にありますが、逆に言えば、これらの条件を1つでも改善できれば査定額のアップが期待できるということでもあります。
固定資産税評価額はなぜ売却価格の基準にならないのか
「固定資産税評価額が1,500万円だから、持分2分の1なら750万円で売れるのでは?」と考える人は少なくありません。しかし、固定資産税評価額は課税目的の数値であり、売却価格とは次の2つの理由で一致しません。
理由① 固定資産税評価額は時価より低い
固定資産税評価額は、一般的に時価(市場価格)の約70%程度に設定されています。時価3,000万円の物件なら、固定資産税評価額は2,100万円程度です。これを基準に持分を計算すると、すでに市場価格ベースの按分価額より低い数字になります。
理由② 税評価額には共有減価が含まれていない
固定資産税評価額は「完全所有権の価値」をベースに計算されており、共有状態による権利の制約(共有減価)は一切反映されていません。持分売却には別途共有減価が発生するため、税評価額から按分した数字を売却価格の基準にするのは適切ではありません。
固定資産税評価額はあくまで、年間の固定資産税額を知るための参考値として考えましょう。売却価格の交渉材料にはなりません。
売却先でここまで変わる!4つの選択肢と価格・特徴の比較
共有持分の売却には大きく分けて4つの選択肢があります。価格だけでなく、期間・確度・手間・関係リスクが異なるため、自分の状況に合うものを選ぶことが重要です。
| 売却先 | 価格傾向(按分価額比) | 期間 | 成約確度 | 手間 | 必要な同意 | 関係リスク |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①共有者全員で全体売却 | 高(80〜100%) | 中〜長 | 中(全員同意が必要) | 大 | 共有者全員の同意 | 話し合い次第 |
| ②他共有者へ持分売却 | 高(80〜100%) | 短〜中 | 高(相手次第) | 小 | なし(ただし相手の買取意思・資金が前提) | 交渉次第 |
| ③一般仲介(持分) | 中(30〜70%) | 長 | 低 | 中 | なし | 低 |
| ④専門買取業者へ直接売却 | 低〜中(10〜80%) | 短 | 高 | 小 | なし | 低 |
① 共有者全員で物件全体を売る
最も高値が期待できる方法ですが、共有者全員の同意が必要です。話し合いがつく状態なら検討する価値がありますが、すでに対立している・連絡が取れない場合は現実的ではありません。
向くケース:共有者全員と連絡が取れ、売却の方針で合意できる
向かないケース:共有者の一部が行方不明・売却に反対・占有していて出ていかない
② 他共有者に持分を売る
他共有者があなたの持分を買い取るケースです。相手が取得後に単独所有者になれるため、共有減価が小さく抑えられます。按分価額の80〜100%程度での取引も珍しくありません。ただし、相手に買い取る資金があること、または相手が住宅ローンを組めることが前提となります。
向くケース:共有者と話し合いができ、相手に買取の意思と資金がある
向かないケース:共有者に買取資金がない、または既に対立していて話し合いができない
③ 一般市場で仲介する(持分をそのまま売りに出す)
自分の持分だけを一般の不動産仲介会社に依頼して売りに出す方法です。法的には可能ですが、持分だけを買いたい一般の買主はほとんどいないため、成約まで長期間かかるか、売れずに終わる可能性が高いです。
向くケース:時間に余裕があり、高値で売れる偶然を待てる
向かないケース:早期に現金化したい、確実に売却したい
④ 専門買取業者に直接売る(最も現実的な選択肢)
共有持分の買取に特化した業者に直接売る方法です。他共有者の同意は不要で、登記や共有者対応の手続きを業者が代行するケースも多いため、手間が最も少なく、確実に現金化できます。
買取業者は、持分を買い取った後、他の共有者と交渉して残りの持分を買い集め、不動産全体を単独化した上で転売することで利益を出します。この「買い集め」の工程に時間と費用がかかるため、按分価額より低くなるのが実態です。
向くケース:早期現金化したい、共有者との直接交渉を避けたい、共有関係から一刻も早く離脱したい
向かないケース:高値で売れるまで待てる、共有者同士で協力して全体売却できる可能性がある
持分売却が現実的なのは、共有者と話がつかず、自分だけでも先に整理したい人です。ただし共有持分の査定額は、持分割合・占有の有無・共有者との関係・登記の状態によって業者ごとに判断が分かれ、同じ物件でも提示額に差が出ます。1社だけで決めると相場観がないまま契約することになるため、共有持分の取り扱いに慣れた複数社で条件を比べるところから始めるのが安全です。
あわせて読みたい
査定額が適正か見極める|チェックすべき8つの項目
複数の業者から査定額をもらったとき、重要なのは「数字の大小」だけで判断しないことです。高い査定額を出した業者をそのまま選ぶと、契約後に減額条件が発覚したり、思ったより手取りが少なかったりするリスクがあります。以下の8項目を確認して、総合的に判断しましょう。
| # | 確認項目 | 確認する理由・判断のポイント |
|---|---|---|
| ① | 全体価格をいくらと評価したか | 査定書に物件全体の評価額が明記されているか。全体価格の根拠(取引事例・路線価等)を説明できる業者かどうか。 |
| ② | 按分価額を正しく計算しているか | 登記上の持分割合と合致しているか。持分割合の確認は登記事項証明書で行う。 |
| ③ | 減価の理由と金額が明確か | 「共有減価」だけでなく、占有・登記・物件状態などの具体的な減額理由を説明してもらえるか。ぼんやりした説明しかない場合は注意が必要です。 |
| ④ | 提示額から別途引かれる費用はあるか | 仲介手数料(仲介の場合)、登記費用、司法書士費用、残置物処理費用などが別途かかる場合は、総額でいくらになるか確認する。 |
| ⑤ | 自社が直接買主か、仲介・紹介か | 自社買取(直接買取)なのか、他社への紹介なのか。仲介・紹介の場合は手数料が上乗せされる可能性がある。 |
| ⑥ | 契約後の減額条件・違約金は何か | 契約後に「共有者との調整がつかなかった」「登記に問題があった」などの理由で減額される条件がないか。違約金の有無と金額も確認する。 |
| ⑦ | 他共有者へいつ・どのように接触するか | 買取業者が他共有者に接触するタイミングと方法を確認する。事前連絡なしに直接訪問されるケースもあるため、家族・親族関係への影響を考慮しておく。 |
| ⑧ | 最終手取り額を文書で出してもらえるか | 提示額から費用や税金を差し引いた「最終的に自分の口座に入る金額」を明示してもらえるか。口頭だけの説明でなく、文書で確認できる業者のほうが安心です。 |
注意
査定額だけで業者を決めるのは最も危険な選び方です。「他社より50万円高い」という提示でも、契約後に「共有者の同意が得られなかった」という理由で減額されるケースがあります。必ず上記8項目を確認し、複数社の査定を比較した上で選びましょう。
あわせて読みたい
最終手取りはいくら?売却費用と税金の目安
査定額がそのまま自分の収入になるわけではありません。売却にはさまざまな費用がかかり、利益が出た場合は譲渡所得税も課されます。契約前に「最終手取り」を計算しておくことが重要です。
おもな売却費用
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円+消費税(仲介の場合) | 買取の場合は不要 |
| 印紙税 | 500円〜6万円(契約金額により変動) | 売買契約書に貼付 |
| 登記費用(所有権移転) | 5万〜15万円程度 | 司法書士報酬込み。買取業者が負担するケースもある |
| 司法書士費用 | 3万〜10万円程度 | 登記手続きを代行依頼する場合 |
譲渡所得税の考え方
売却益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課されます。税率は所有期間によって変わります。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15%(復興特別所得税2.1%上乗せ) | 5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30%(復興特別所得税2.1%上乗せ) | 9% |
譲渡所得の計算式は「売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除」です。相続した不動産の場合、取得費は被相続人が購入したときの価格が基準になります。購入価格が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費とできます(国税庁No.3258)。
また、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」(国税庁No.3267)など、一定の条件を満たせば税金を抑えられる制度もありますが、適用条件は個別の事情で異なるため、税理士に確認することをおすすめします。
早期現金化のメリットと代償
共有持分の売却では、「高い金額で売ること」と「早く手放すこと」がトレードオフになることが多いです。自分の状況に合わせて、どちらを優先するかを決める必要があります。
早期現金化するメリット
- 固定資産税・管理費の負担から解放される—持分を所有している限り、毎年の固定資産税や管理費・修繕積立金の負担が続きます。
- 共有関係の解消—共有者との関係に悩む必要がなくなります。連絡の取りづらさや意見の対立から解放されます。
- 相続税・登記義務への対応—相続登記義務化に伴う手続きや過料リスクからも解放されます。
- 精神的負担の軽減—「売れるかどうか分からない」「いつまで待てばいいのか分からない」という不安から解放されます。
早期現金化の代償
- 全体売却より安くなる可能性—共有者全員の同意を得て全体売却する場合と比べると、価格は低くなることが一般的です。
- 将来の値上がり益を失う—物件の立地によっては、将来の地価上昇の恩恵を受けられなくなります。
- 買取価格は時価より低い—買取業者は転売利益を見込むため、一般市場価格より低い価格設定になります。
ポイント
判断の分かれ目:自分はどちらのタイプか
- 現金化優先タイプ:固定資産税の支払いが負担、共有者との関係に疲れている、時間的余裕がない、相続登記を放置したくない → 買取業者への売却が現実的
- 価格優先タイプ:共有者と協力して全体売却できる可能性がある、時間に余裕がある、少しでも高く売りたい → 共有者間の協議や全体売却を検討する価値がある
査定前に確認すべきこと・準備する資料リスト
査定を依頼する前に、以下の資料を準備しておくとスムーズです。同じ資料を複数社に渡すことで、公平な比較ができます。
| 資料 | 確認ポイント | 入手場所 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 登記上の持分割合、抵当権・差押えの有無を確認 | 法務局(オンライン取得可) |
| 固定資産課税明細書 | 固定資産税評価額の確認 | 市区町村役場 |
| 公図・地積測量図 | 境界や面積の確認に必要。取得できない場合は業者が代行することもある | 法務局 |
| 共有者一覧 | 氏名・連絡先・続柄・占有の有無 | 登記事項証明書+自身の把握 |
| 賃貸借契約書(賃貸中の場合) | 賃料・契約期間・敷金の有無 | 自身で保管 |
| ローンの残高証明書 | 抵当権設定の有無・残債額の確認 | 金融機関 |
査定前に「測量を先にすべきか」「解体費用を先に払うべきか」と迷う人がいますが、自己判断で先行工事をするのはおすすめしません。査定額に反映されない費用を先に支払うことになるリスクがあるため、まずは査定を受けてから、業者のアドバイスに従って必要な対応を検討しましょう。
あわせて読みたい
よくある質問(FAQ)
共有持分の査定額は無料で出してもらえるのか
はい、共有持分の買取を扱う業者であれば、査定は無料で依頼できるのが一般的です。査定に費用がかかる場合は、依頼前に必ず確認しましょう。ただし、査定書の作成に土地家屋調査士への依頼(測量など)が必要な場合は、別途費用が発生するケースもあります。
共有者に知られずに持分だけ売却できるか
法的には、自分の持分を他共有者に無断で売却することは可能です(民法206条)。ただし、実際には買取業者が権利調整のために他共有者に接触するケースがあるため、完全に「知られずに」進められるとは限りません。依頼する前に、業者へ「他共有者への接触方針」を確認しておくことをおすすめします。
固定資産税評価額を基準に価格交渉してもいいのか
固定資産税評価額は課税目的の数値であり、市場価格とは一致しません。一般的に固定資産税評価額は時価の70%程度と言われており、さらに共有減価が別途発生するため、固定資産税評価額を売却価格の基準にするのは適切ではありません。あくまで参考値のひとつとして考えましょう。
査定額が安すぎる場合、どう判断すればいいのか
複数社に同じ資料で査定を依頼し、それぞれの「内訳」を比較するのが確実です。この記事の「査定額が適正か見極める|チェックすべき8つの項目」を基準に、全体評価額・按分価額・減価理由・費用・最終手取りを比較しましょう。複数社の提示額が大きく違う場合は、その差の理由を説明してもらいましょう。
売却後の譲渡所得税はいくらくらいになるのか
譲渡所得税は売却価格ではなく「譲渡所得(売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除)」に課税されます。所有期間が5年超なら長期譲渡(約20.315%)、5年以下なら短期譲渡(約39.63%)です。相続した不動産の場合、取得費は被相続人の購入価格が基準になります。購入価格が不明な場合は売却価格の5%を概算取得費とできますが、税負担が大きくなりがちです。正確な金額を知るには税理士への相談が確実です。
査定前に相続登記や測量を先にすべきか
基本的には、査定を受けてから必要な対応を判断するのが安全です。先行して測量や登記を行うと、その費用が査定額に反映されないまま出費だけが先に発生するリスクがあります。まずは現状のまま査定を受け、買取業者から「この条件ならこの価格」「登記を済ませれば価格アップ可能」という具体的なアドバイスをもらってから、必要な手続きを進めましょう。
まとめ|自分のケースで「次に取るべき行動」
共有持分の売却相場は「全体価格の◯%」とひとくくりにできるものではなく、売却先・共有者との関係・占有の有無・持分割合・登記状態などによって大きく変わります。この記事で解説した内容をもとに、自分の状況に合わせて次の行動を選びましょう。
迷ったら、まずは査定から—査定は無料で依頼でき、断ってもペナルティはありません。複数社に同じ資料を渡して査定を比較するところから始めましょう。
共有持分の売却で最も後悔しやすいのは、「1社だけで決めてしまう」「価格だけで業者を選んでしまう」ことです。この記事の8つのチェック項目を基準に、価格・減価理由・費用・最終手取り・契約条件を総合的に比較して、自分に合った売却先を選んでください。
あわせて読みたい
共有持分の売却で迷ったら
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
共有持分・再建築不可・事故物件など幅広い訳あり不動産に対応。AI査定で価格の目安がすぐわかり、スピード重視で整理したい人に向いています。