目次
- 1 共有持分の調べ方は「自分の状態」で決まる
- 2 最も確実な方法【ルートA】登記事項証明書を取得する
- 3 物件が分からない場合【ルートB】所有不動産記録証明制度を利用する
- 4 より手軽に確認したい場合の選択肢
- 5 【比較表】5つの確認手段を目的別に使い分ける
- 6 ケース別①:土地と建物で共有者が違う・持分割合が異なる
- 7 ケース別②:登記簿に亡くなった人の名義が残っている(相続登記未了)
- 8 ケース別③:住所・氏名が古いまま残っている
- 9 【現場の事例】相続を繰り返して共有者が増えたケース
- 10 確認したら次にどうするか【結果別行動ガイド】
- 11 よくある質問(FAQ)
- 11.1 共有持分の調べ方は、法務局に行かなくてもオンラインでできますか?
- 11.2 地番や家屋番号が分からない場合、どうやって調べればよいですか?
- 11.3 登記簿に亡くなった人の名前がそのまま残っています。どうすればよいですか?
- 11.4 土地と建物で所有者が違うことはありますか?
- 11.5 マンションの場合、土地の持分割合はどこで確認できますか?
- 11.6 固定資産税の納税通知書に書いてある人が所有者ですか?
- 11.7 自分の持分が「43分の7」など端数になっているのはなぜですか?
- 11.8 調べた結果、自分の持分が少なすぎて価値がない場合はどうすればよいですか?
- 11.9 所有不動産記録証明書を請求したのに「該当なし」でした。なぜですか?
- 12 まとめ——まずは自分がどの状態かを確認するところから始める

共有持分の共有者と持分割合を調べるには、自分の状況(物件を特定できているか、相続登記が終わっているか)に応じて最適な手段が変わります。最も確実なのは法務局で発行される登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、権利部甲区の記録を確認することです。物件が特定できていない場合や、登記名義人が亡くなったままの場合は、別の制度や追加の確認が必要になります。
この記事で分かること:
- 共有者と持分割合を確認する5つの手段と、その使い分け
- 登記事項証明書の取得方法と権利部甲区の正しい読み方
- 「地番が分からない」「相続登記が終わっていない」「土地と建物で名義が違う」「マンションの敷地権」などのケース別対処法
- 2026年から始まった所有不動産記録証明制度や住所変更登記義務化など、最新制度の活用法
- 確認後の結果に応じた、次の行動と相談先の選び方
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
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共有持分の調べ方は「自分の状態」で決まる
「共有持分を調べたい」といっても、その人の状況によって取るべき手段は異なります。まずは次の2つの質問で、自分がどの状態かを確認してください。
質問1:調べたい物件の「地番」または「家屋番号」が分かっていますか?
住居表示(○○市××町1-2-3)だけしか分からない場合は、地番や家屋番号を特定する作業が必要です。物件を特定できているかどうかで、利用する制度が変わります。
質問2:登記名義人は存命ですか?相続登記は終わっていますか?
登記簿に亡くなった人の名前が残っている場合、登記簿の記載だけでは現在の権利関係を確定できません。別途、戸籍や遺産分割協議書による確認が必要になります。
この2つの質問への答えで、以下の4ルートに分かれます。
ポイント
ルートA:物件を特定できている × 登記名義人が存命・相続登記済み
→ 登記事項証明書を取得して権利部甲区を確認する(この記事のメインルート)
ルートB:物件を特定できていない × 登記名義人が存命・相続登記済み
→ 所有不動産記録証明制度(2026年2月開始)または自治体の名寄帳を利用する
ルートC:物件を特定できている × 登記名義人が死亡・相続登記未了
→ 登記事項証明書を取得した上で、戸籍や遺産分割協議書による追加確認が必要
ルートD:物件を特定できていない × 登記名義人が死亡・相続登記未了
→ 所有不動産記録証明制度で不動産を探索し、その後ルートCと同様の処理が必要
共有持分とは、複数人で1つの不動産を共有している場合に、各共有者が登記上持つ抽象的な所有割合のことです。「2分の1」という持分は土地の右半分のような物理的範囲を意味するわけではありません。
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最も確実な方法【ルートA】登記事項証明書を取得する
物件を特定できていて、登記名義人が現在の状態を反映している(または少なくとも存命である)場合、最も確実な確認方法は法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することです。登記事項証明書には、不動産の所在地、面積、所有者の氏名・住所・持分割合、抵当権や差押えなどの権利が記載されています。
登記の閲覧・証明書の交付請求は、不動産登記法に基づき原則として誰でもできます。所有者本人でなくても、本人の同意や委任状も不要です。
まず地番・家屋番号を特定する
登記事項証明書を請求するには、「地番」(土地の場合)または「家屋番号」(建物の場合)が必要です。これは住居表示(○○市××町1-2-3 マンション○○号室など)とは異なる番号です。住居表示しか分からない場合、以下の方法で地番を特定します。
- 固定資産税の納税通知書:毎年送られてくる納税通知書には、対象不動産の地番・家屋番号が記載されています
- 登記情報提供サービス:住居表示から地番を検索できる機能はありませんが、おおまかなエリアが分かっていれば地図情報と併せて特定できる場合があります
- 法務局の窓口:管轄の法務局で、住居表示から該当する地番を照会することができます(該当地番を複数提示してもらい、特定する形になります)
- 市区町村の課税課:固定資産課税台帳を確認することで、住居表示から地番を特定できます
土地と建物は別個の不動産として登記されているため、それぞれ地番・家屋番号が必要です。分譲マンションの場合は後述しますが、「敷地権」として土地の持分が一体的に登記されているため、建物の登記簿で土地の情報も確認できます。
登記事項証明書の取得方法と手数料
登記事項証明書は、以下の3つの方法で取得できます。
| 取得方法 | 手数料 | 特徴 |
|---|---|---|
| 法務局窓口で直接請求(書面請求) | 1通 600円 | その場で交付される。収入印紙で納付 |
| オンライン請求+郵送受取 | 1通 520円 | 自宅で請求でき、郵送で受け取れる(数日〜1週間程度) |
| オンライン請求+窓口受取 | 1通 490円 | オンラインで事前請求し、最寄りの法務局窓口で受け取る |
手数料はいずれも2025年4月1日時点の金額です(法務省ホームページで随時確認することをおすすめします)。書面による窓口請求の場合は、管轄の法務局に申請書を提出し、収入印紙を貼付して納付します。
オンライン請求は「登記・供託オンライン申請システム」から行います。事前に利用者登録(無料)が必要ですが、自宅や職場から24時間いつでも請求できます。
権利部甲区の見方——持分割合と共有者はここを読む
登記事項証明書には「表題部」「権利部甲区」「権利部乙区」の3つの区分があります。共有者と持分割合を確認するのは権利部甲区(所有権に関する事項)です。
権利部甲区には、以下のような情報が時系列で記載されています。
- 登記の目的:「所有権移転」「持分一部移転」「相続」など、何の登記かを示す
- 登記原因及びその日付:売買・相続・贈与など、なぜその登記が行われたかとその日付
- 受付年月日・受付番号:登記申請を受け付けた日付と番号。新しいほど最近の登記
- 権利者:所有者の氏名・住所・持分割合
現在有効な共有者と持分割合を確認するには、「抹消」されていない最新の記録を追います。過去の登記が「抹消」欄に処理されていなければ、それが現在も効力を持っているものとして読みます。
補足:登記簿の読み方のポイント
例えば、次のような登記の連続がある場合:
- 「Aが全部(1分の1)を所有」という記録(原始状態)
- 「AからBへ持分2分の1を売買により移転」(登記原因:売買、年月日:2010年5月1日)
- 「BからCへ持分4分の1を贈与により移転」(登記原因:贈与、年月日:2020年3月10日)
→ 現在の共有者はA(2分の1)・B(4分の1)・C(4分の1)の3人です。登記原因と受付年月日を追うことで、現在の割合になった経緯が分かります。
乙区には抵当権や差押えなど所有権以外の権利が記載されています。持分割合そのものは甲区だけで確認できますが、乙区の状態によっては売却のしやすさや価格に影響するため、査定を依頼する際には乙区の内容も把握しておくとよいでしょう。
端数持分(43分の7など)はなぜ生じるのか
登記簿で「43分の7」のような端数持分を見て驚く人も少なくありません。これは主に相続が原因です。法定相続分に基づいて計算すると、次のような端数が生じます。
- 配偶者2分の1、子3人で残り2分の1を均等分割 → 各子は6分の1ずつ
- さらに子の1人が死亡し、その子(孫2人)が代襲相続 → 6分の1を2人で分割 → 各孫は12分の1
このように相続が繰り返されるたびに持分が細分化され、端数が生じます。「43分の7」といった一見不自然な数字も、法定相続分を正確に計算した結果であることが大半です。
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物件が分からない場合【ルートB】所有不動産記録証明制度を利用する
「親がどの不動産を所有していたか正確に把握できていない」「どこに登記があるのか分からない」という場合は、2026年2月2日から始まった所有不動産記録証明制度が有効です。
制度の概要
この制度は、登記官が特定の被相続人(亡くなった親など)の氏名・住所を検索条件として全国の登記データを検索し、その人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧でリスト化して証明書として交付するものです。
従来は、全国の不動産から特定の人の名義を横断的に検索する方法が存在しませんでした。そのため、相続人が被相続人の全ての不動産を把握できず、登記漏れが発生することが問題視されていました。この制度によって、相続登記の手続きをスムーズに進められるようになりました。
請求できる人と手数料
請求できるのは、所有権の登記名義人本人、またはその相続人その他の一般承継人です。代理人による請求も可能です。
| 請求方法 | 手数料(検索条件1件につき1通) |
|---|---|
| 書面請求(法務局窓口・郵送) | 1,600円 |
| オンライン請求+郵送交付 | 1,500円 |
| オンライン請求+窓口交付 | 1,470円 |
例えば、「父の現在の氏名・住所」「父の旧姓・旧住所」の2つの検索条件を指定して1通の証明書を書面請求する場合、2条件×1通×1,600円=3,200円となります。証明書の交付には、制度開始当初は混雑が予想され、2週間程度かかる場合があります。
注意点——検索漏れのリスクを知っておく
注意
この制度は非常に便利ですが、以下の点に注意が必要です。
- 検索条件は機械的に照合される:システム上、「氏名の前方一致かつ住所の市区町村まで一致」または「氏名の前方一致かつ住所の末尾5文字が一致」という条件で検索されるため、登記簿上の氏名・住所が請求時の検索条件と異なると検索漏れが発生します
- 旧姓・旧住所対策が必要:被相続人が結婚や引っ越しで氏名・住所を変更している場合、過去の氏名・住所も検索条件として追加しないと該当する不動産が抽出されない可能性があります。複数の検索条件を指定できるため、「現在の氏名・住所」「結婚前の旧姓・旧住所」「引っ越し前の旧住所」の3条件を併用するのが安全です。その場合、過去の氏名・住所を証明する戸籍謄本や住民票の除票などが必要になります
- 同名異人の不動産も抽出される:検索条件に合致する同名異人がいれば、その人の不動産も抽出結果に含まれます
- コンピュータ化されていない登記簿は対象外:法務局のシステムにコンピュータ化されていない古い登記簿の不動産は検索対象になりません
- 該当なしでも手数料は返還されない:検索結果として該当する不動産がない場合でも、「該当なし」の証明書が交付され、手数料はかかります
より手軽に確認したい場合の選択肢
法務局に行かなくても、以下の方法で共有者や持分割合の概要を確認できる場合があります。ただし、それぞれに確認できる範囲や証明力の違いがあるため、目的に応じて使い分けてください。
登記情報提供サービス(オンラインPDF確認)
登記情報提供サービスは、インターネット上で登記情報をPDF形式で確認できるサービスです。全部事項(登記事項証明書と同内容)が330円、所有者事項(所有者と持分のみ)が140円で確認できます。
ただし、このPDFには証明文や公印が付いていないため、公的な登記事項証明書としての効力はありません。金融機関への提出、裁判所への提出、法務局での名義変更手続きなどには使えません。「ざっと内容を確認したい」「権利関係を把握したい」という目的には十分です。
利用には「登記情報提供サービス」へのユーザー登録(無料)が必要です。地番や家屋番号が分かっていれば、自宅のパソコンやスマートフォンから24時間いつでも確認できます。
固定資産評価証明書・名寄帳(市区町村で確認)
市区町村の固定資産課税台帳に基づいて発行される書類です。固定資産評価証明書や名寄帳には、その市区町村内にある課税対象の不動産と所有者が記載されています。
- 確認できる範囲は、請求先の市区町村内のみです。全国の不動産を一括で検索する制度ではありません。
- 共有者や持分割合が表示されるかどうかは、自治体の様式によって異なります。すべての市区町村で持分割合まで確認できるとは限りません。
- 非課税の私道や未登記の建物などは、課税台帳に記載されていないため表示されません。この点は後述する「私道の持分確認」でも重要なポイントです。
管轄の市区町村役場の固定資産税担当課で請求できます。手数料は自治体ごとに異なります(概ね200〜400円程度)。
納税通知書から分かること・分からないこと
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書には、課税物件の所在地・地番・家屋番号・課税標準額などが記載されています。所有している不動産を特定する最初の手がかりとしては有用ですが、以下の点に注意が必要です。
- 納税通知書の宛名人が必ずしも単独の所有者とは限りません。共有不動産の場合、代表者(納税管理人)1人の名義で通知が届くことがあります。宛名人が「所有者全員」を代表している可能性があります。
- 持分割合は記載されないのが一般的です(自治体によって異なります)。
- 未登記の建物や非課税の私道は課税対象外のため、納税通知書には出てきません。
【比較表】5つの確認手段を目的別に使い分ける
| 確認手段 | 確認できる範囲 | 費用 | 証明力 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 特定物件の権利関係(共有者・持分・抵当権など) | 490円〜600円 | ★高い(公的証明、法的手続きに使用可) | 物件が特定できていて、正式な証明書が必要な人 |
| 登記情報提供サービス | 特定物件の登記情報(PDF確認のみ) | 140円〜330円 | ★中程度(確認用、公的証明には不可) | ざっと中身を確認したい人、まだ購入を検討中の人 |
| 所有不動産記録証明書 | 指定した人の全国の所有不動産一覧 | 1,470円〜1,600円(検索条件1件につき1通) | ★高い(公的証明) | 被相続人の不動産を網羅的に調べたい人 |
| 固定資産評価証明書・名寄帳 | 請求市区町村内の課税対象不動産 | 200〜400円程度(自治体により異なる) | ★中程度(課税用、持分表示は自治体により異なる) | おおまかな所有状況を把握したい人 |
| 納税通知書 | 課税物件の所在地・地番など | 無料(毎年送付される) | ★低い(宛名人≠所有者のケースあり) | 最初の手がかりとして確認したい人 |
ケース別①:土地と建物で共有者が違う・持分割合が異なる
土地と建物は、不動産登記法上、別個の不動産として扱われます。そのため、同じ敷地にある物件でも、土地の共有者と建物の共有者が異なることや、持分割合が異なることは珍しくありません。
具体例
例えば、実家の土地は父母が各2分の1で共有していたが、建物は父が単独所有していたケース。相続後、土地は兄と弟で各2分の1ずつ相続したが、建物は母が相続して単独所有——という状態が生じることがあります。
この場合、土地の共有者は「兄2分の1・弟2分の1」、建物の所有者は「母1分の1」となり、まったく異なる名義・持分になります。売却や登記の手続きでは、土地と建物それぞれについて権利関係を確認する必要があります。
査定を依頼する際には、「土地の登記」「建物の登記」の両方を取得しておくことが基本です。
私道の持分はさらに別で確認する必要がある
敷地に通じる道路(私道)の持分は、さらに別の扱いになります。以下の点に注意してください。
- 私道が別筆の地番として登記されている場合:私道部分は敷地とは別の土地として登記されており、別途登記事項証明書を取得して共有者と持分を確認する必要があります。私道の共有者は敷地の共有者と異なるケースもあり、数人から数十人に及ぶこともあります。
- 非課税の私道の場合:私道は固定資産税が非課税になることが多いため、名寄帳や納税通知書には出てきません。登記事項証明書でしか確認できないケースがほとんどです。
- 私道持分の売却は極めて困難:私道持分のみでは実質的に利用価値がなく、買取価格はほぼ付かないと考えてください(再建築不可物件とセットの場合など、限定的なケースを除きます)。
「土地の登記」「建物の登記」に加えて、該当地に私道がある場合は私道の登記も取得し、3つをセットで確認するのが理想的です。
マンションの場合:敷地権割合と専有部分の所有権
マンション(区分所有建物)の場合は、一戸建てとは登記の仕組みが異なります。以下の3つを区別して確認する必要があります。
- 専有部分の所有権:各住戸の所有権。各住戸ごとに登記簿があり、権利部甲区に所有者と持分(通常は1分の1)が記載されています。ここが「自分名義になっているか」をまず確認します。
- 敷地権割合:マンションの敷地(土地)は「敷地権」として建物の登記簿の表題部に一体的に記録されます。「10,000分のxxx」などの割合で表示され、各住戸の専有部分の広さなどに応じて決まります。敷地権は専有部分と分離して売却できない仕組みになっています。
- 共用部分の共有持分:廊下・階段・エレベーターなどの共用部分は、各区分所有者が共有している形になりますが、通常は登記上独立した表示はされません。
具体例:マンションの敷地権が複雑なケース
分譲マンションを購入したAさん。登記簿上の専有部分の所有者はAさん本人で問題なし。しかし「マンションの土地の持分割合を調べてほしい」と依頼され、建物の登記簿の表題部を確認すると、敷地権割合は「10,000分の245」と記載されていた。
この数字だけでは、敷地全体の共有者が誰で、自分の持分がどの程度の割合なのかが把握できない。そこで「一棟の建物の登記簿」(マンション全体の登記簿)を取得し、敷地権の対象となっている土地の地番と、その土地の登記簿を確認。その結果、敷地全体の共有者は全住戸の所有者(50人)で、各自の割合は各住戸の登記簿に記載された敷地権割合の合計で把握できることが分かった。
Aさんが確認すべきは、①自分の住戸の登記簿(専有部分の所有権)、②一棟の登記簿(敷地権の対象土地の特定)、③土地の登記簿(敷地全体の共有者一覧)の3つだった。
マンションの持分を調べる場合、各住戸の登記簿だけでは敷地全体の共有者を把握できません。最寄りの法務局で「一棟の建物の登記簿」を取得し、敷地権の対象となっている土地を特定した上で、その土地の登記事項証明書を取得すると、敷地全体の共有者(全住戸の所有者)と各自の敷地権割合の一覧が確認できます。
ケース別②:登記簿に亡くなった人の名義が残っている(相続登記未了)
親や配偶者が亡くなった後、登記名義を変更していない場合、登記簿には亡くなった人の名前がそのまま残っています。この状態では、登記簿の記載だけで現在の権利関係を確定することはできません。
なぜなら、相続人が複数いる場合、法定相続分に基づいて各相続人の持分が決まりますが、それが登記簿に反映されていないからです。例えば、父が単独所有していた土地を子3人で相続した場合、法律上は各3分の1ずつの共有状態になりますが、登記簿にはまだ父の名前だけが残っています。
この状態を解消するには、法務局で相続登記(所有権移転登記)の申請を行う必要があります。2024年4月からは相続登記が義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
相続登記には、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、遺産分割協議書(法定相続分で登記する場合は不要)、相続人全員の印鑑証明書など、複数の書類が必要です。自分で手続きすることも可能ですが、書類の収集や登記申請のミスを避けるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
また、遺産分割がまだ終わっていない場合でも、相続人申告登記という制度を利用すれば、簡易に相続登記義務を果たすことができます。この制度は無料で利用でき、法務局に「相続人であること」を申告するだけで登記義務を履行したことになります。ただし、この制度では持分割合までは登記されないため、売却時には正式な相続登記とは別途の手続きが必要になる点に注意が必要です。
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ケース別③:住所・氏名が古いまま残っている
登記簿上の所有者の住所や氏名が、結婚や引っ越し前のままになっているケースもよくあります。この状態でも所有権そのものに影響はありませんが、売却や名義変更の手続きで支障が出ることがあります。
2026年4月1日からは、住所・氏名の変更登記も義務化されました。変更があった日から2年以内に申請が必要で、正当な理由なく申請しない場合、5万円以下の過料対象になります。2026年4月より前の変更については、2028年3月31日までの猶予期間があります。
住所変更登記には「スマート変更登記」という便利な制度もあります。これは、法務局に自分の生年月日等の検索用情報を申し出ることで、登記官が住基ネットと連携して定期的に住所変更を確認し、本人の了解のもと職権で登記を変更してくれるものです。費用は無料で、ウェブブラウザからも申し出が可能です。
ただし、今すぐ売却したい場合などは、従来どおり自分で変更登記の申請をする必要があります。売却のタイミングに応じて、スマート変更登記と従来の変更登記を使い分けるとよいでしょう。
【現場の事例】相続を繰り返して共有者が増えたケース
具体例:数次相続で共有者が6人になったケース
A・B・Cの3兄弟が、両親から相続した実家を3分の1ずつ共有している状態から始まります。
【1回目の相続】Aが死亡。Aの持分(3分の1)は、Aの配偶者と子2人の3人で相続(法定相続分により各9分の1ずつ)。共有者が3人→5人に。
【2回目の相続】Bが死亡。Bの持分(3分の1)は、Bの配偶者と子1人の2人で相続(各6分の1ずつ)。共有者が5人→6人に。
【結果】Cにとって、AとBが存命中は「兄弟」という気心の知れた関係で話ができたのに、今では義理の姉・甥・姪を含めた6人全員の同意がないと不動産全体の売却ができない状態に。連絡先すら知らない相手もいる。
この登記簿を読む時は、単に「現在の名義人の一覧」を見るだけでなく、各登記の受付年月日と登記原因(「相続」「持分一部移転」の区別)を追うことで、誰がどのタイミングで共有者に加わったかを把握する必要があります。
このように、数次相続(相続が複数回繰り返されること)によって共有者が増えると、不動産全体の売却や管理が極めて難しくなります。登記簿を見て「昔と変わっていないから大丈夫」と放置せず、現在の共有者全員を正確に把握したうえで、早めに対策を検討することをおすすめします。
確認したら次にどうするか【結果別行動ガイド】
登記簿や各制度で確認した結果に応じて、次に取るべき行動は異なります。以下の表で整理しました。
ポイント
| 確認結果 | 必要な手続き | 相談すべき専門家 |
|---|---|---|
| 登記簿どおりで問題なし | 現状維持。売却を検討する場合は査定依頼へ | — |
| 登記名義人が亡くなっている | 相続登記(所有権移転登記)の申請 | 司法書士(書類収集・登記申請の代行) |
| 住所・氏名が古いまま | 住所・氏名変更登記の申請(スマート変更登記可) | 司法書士(自分で手続きする場合は不要) |
| 持分割合が認識と違う | 遺産分割協議書・購入時の契約書・戸籍の確認 | 司法書士または弁護士(遺産分割の見直し) |
| 自分の持分を手放したい | 持分のみの売却を検討 | 持分買取業者(比較検討が必要) |
| 私道の持分だけが別名義 | 私道の登記を別途取得し権利関係を確認。私道持分単独での売却は困難 | 司法書士(権利関係の整理)または買取業者(土地と一体での売却相談) |
| 抵当権・差押えがある | 債権者との調整または任意売却の検討 | 弁護士または司法書士 |
| 共有者と連絡が取れない | 所在不明共有者の調査および共有物分割請求の検討 | 弁護士 |
持分売却という選択肢
自分の持分だけを手放したい場合、共有持分の買取に対応している専門業者に査定を依頼することができます。共有持分は一般の不動産仲介では扱いにくいため、共有持分の取り扱いに特化した業者を選ぶことが重要です。
持分売却が現実的なのは、以下のようなケースです。
- 持分が小さい(例えば10分の1など):全体売却では他の共有者の同意が必要ですが、持分だけなら自分単独で売却できます
- 他の共有者が売却に応じない:共有者間で意見がまとまらず、全体売却が進まない場合でも、自分の持分だけなら動かせます
- 固定資産税の負担を減らしたい:使っていない共有不動産の維持費から解放されるというメリットがあります
ただし、共有持分の査定額は、持分割合・占有の有無・共有者との関係・登記の状態によって業者ごとに判断が分かれ、同じ物件でも提示額に差が出ます。1社だけで決めると相場観がないまま契約することになるため、共有持分の取り扱いに慣れた複数社で条件を比べるところから始めるのが安全です。
よくある質問(FAQ)
共有持分の調べ方は、法務局に行かなくてもオンラインでできますか?
はい。登記情報提供サービスを利用すれば、自宅のパソコンやスマートフォンから登記情報をPDFで確認できます。全部事項(登記事項証明書と同内容)が330円、所有者事項のみが140円です。ただし、このPDFは公的な証明書としては使えません。法的手続きに必要な場合は、法務局で正式な登記事項証明書を取得してください。
地番や家屋番号が分からない場合、どうやって調べればよいですか?
最も確実なのは、固定資産税の納税通知書を確認することです。通知書には地番・家屋番号が記載されています。通知書がない場合は、市区町村の固定資産税担当課で住居表示から地番を照会するか、管轄の法務局窓口で相談してください。
登記簿に亡くなった人の名前がそのまま残っています。どうすればよいですか?
相続登記(所有権移転登記)の申請が必要です。2024年4月から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請する必要があります。書類の収集や申請手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。遺産分割がまだ終わっていない場合は、相続人申告登記(無料)で一度義務を果たすことも可能です。
土地と建物で所有者が違うことはありますか?
あります。土地と建物は別個の不動産として登記されるため、所有者や持分割合が異なることは珍しくありません。査定や売却の際には、土地と建物それぞれの登記を確認する必要があります。さらに私道がある場合は、私道の登記も別途確認してください。
マンションの場合、土地の持分割合はどこで確認できますか?
マンションの土地(敷地)は「敷地権」として建物の登記簿の表題部に記録されています。各住戸の登記簿の表題部に「敷地権割合」が記載されているので、まずここを確認します。敷地全体の共有者の一覧が必要な場合は、一棟の建物の登記簿から対象の土地の地番を特定し、その土地の登記事項証明書を取得することで確認できます。
固定資産税の納税通知書に書いてある人が所有者ですか?
必ずしもそうとは限りません。共有不動産の場合、代表者(納税管理人)1人の名義で通知が届くことがあります。宛名人が単独の所有者ではなく、共有者の代表である可能性もあるため、納税通知書だけで所有者を確定するのは避けてください。
自分の持分が「43分の7」など端数になっているのはなぜですか?
主に相続が原因です。法定相続分に基づいて計算すると、持分が細分化されて端数が生じることがあります。例えば、配偶者2分の1、子3人で残りを分割すると各6分の1となり、さらに代襲相続が発生すると端数が複雑になります。不自然な数字に見えても、法律上の計算結果であることが大半です。
調べた結果、自分の持分が少なすぎて価値がない場合はどうすればよいですか?
持分が小さくても、共有持分の買取に対応する専門業者に売却できる可能性があります。1社だけで判断せず、複数社に査定を依頼して条件を比較することをおすすめします。また、共有物分割請求という法的手続きで、共有状態そのものを解消する方法もあります(この場合は弁護士への相談が必要です)。
所有不動産記録証明書を請求したのに「該当なし」でした。なぜですか?
考えられる理由はいくつかあります。(1)検索条件とした氏名や住所が登記簿上の記録と異なる(旧姓・旧住所の可能性)、(2)登記簿がコンピュータ化されていない古い形式のまま残っている、(3)被相続人が所有権の登記を行っていない不動産である——などです。検索条件を変えて再請求するか、管轄の法務局で直接相談してください。
まとめ——まずは自分がどの状態かを確認するところから始める
共有持分の共有者と持分割合を調べるには、「物件を特定できているか」と「相続登記が終わっているか」という2つの軸でルートが決まります。
- 物件が特定できているなら、登記事項証明書(490円〜600円)を取得し、権利部甲区を確認するのが最も確実です
- 物件自体が分からないなら、所有不動産記録証明制度(2026年2月開始)を利用しましょう
- 土地・建物・私道は別個の不動産として、それぞれ登記を確認する必要があります
- マンションの場合は専有部分と敷地権割合を区別して確認してください
- 登記名義人が亡くなっている場合は、登記簿の確認に加えて相続登記の手続きが必要になります
- 確認結果に応じて、相続登記・住所変更登記・持分売却・専門家相談など、次の行動を選びましょう
共有持分の登記を確認することは、不動産の権利関係を整理するための第一歩です。この記事で紹介した手順に沿って進めれば、自分が今どの状態にあるかを把握し、次に取るべき行動を判断できるはずです。まずは、自分の状況に合ったルートを選んで、一歩を踏み出してみてください。
共有持分の売却で迷ったら
株式会社ネクサスプロパティマネジメント
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