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「親が残した実家が再建築不可物件らしい」「不動産会社に『建て替えできないから売れません』と言われた」──この記事にたどり着いたあなたは、そんな状況ではないでしょうか。
結論から言うと、再建築不可物件でも売却は可能です。しかし、最もやってはいけないのは「焦って解体してしまうこと」です。解体すると建て替えの可能性が完全に消えるだけでなく、固定資産税が上がるリスクもあります。
この記事では、再建築不可物件を「どうするか」迷ったときに、最初に確認すべき3つのことと、あなたのケースに合う5つの出口を、選択肢の中立比較とともに説明します。読み終えた時点で、「まず何をすればいいか」「自分はどの出口に向かえばいいか」が判断できるようになります。
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
再建築不可の売却で迷ったら
再建築不可は住宅ローンが付きにくく一般の買い手が限られますが、現況買取や隣地活用で売れるケースは多くあります。再建築不可の扱いに慣れた業者に査定を出すのが第一歩です。
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まず「解体しない」と決めてください──再建築不可物件の最初の鉄則
再建築不可物件を相続したり、手放そうと考えたとき、多くの人が「古い家が邪魔だから解体して更地にしよう」と考えます。しかし、再建築不可物件では、解体が最大の失敗につながるケースが少なくありません。
その理由は2つあります。
1つ目:解体すると二度と建て替えができなくなる
再建築不可の状態で建物を解体して更地にすると、新たに建築確認申請を出せる状態ではなくなるため、原則として建物を建て直せません。つまり、「古いから壊したい」と思っても、次に何かを建てたいと思ったときに手遅れになります。
2つ目:固定資産税が上がる可能性がある
更地にすると、これまで適用されていた「住宅用地の軽減特例」(小規模住宅用地の場合、課税標準が6分の1に軽減される措置)が外れます。その結果、土地の固定資産税が最大で6倍程度に跳ね上がることがあります。「解体して更地にしたら税金が安くなる」と考えるのは逆効果なのです。
注意
「固定資産税が6倍になる」という表現は正確には、「住宅用地特例(課税標準×1/6)が外れることで、土地の固定資産税額が最大6倍相当になる可能性がある」という意味です。すべての物件で必ず6倍になるわけではありませんが、解体前に税額シミュレーションをすることをおすすめします。
【補足】解体した方がよいケースもある
とはいえ、すべてのケースで「解体するな」と言えるわけでもありません。以下のようなケースでは、解体も検討対象になります。
・建物が倒壊の危険があり、近隣への被害リスクが高い
・隣地所有者が「更地なら買う」と言っている(解体費を差し引いても高く売れる)
・建物の腐朽が著しく、リフォーム費用が新築並みにかかる
解体の判断は、役所で道路状況を確認し、複数の買取業者や不動産会社に査定を取ってから行いましょう。
もう1つ、見落としがちなのが「管理不全空家リスク」です。令和5年(2023年)12月の空家対策特別措置法改正により、放置すれば特定空家になる可能性のある状態は「管理不全空家」とされ、行政の指導・勧告の対象になりました。勧告を受けると住宅用地特例が外れるため、建物が古くても「現状のまま売る・活用する」選択肢を先に検討するほうが安全です。
つまり、再建築不可物件の最初の鉄則は「すぐに解体しない。現状を正確に把握してから判断する」です。
【最初にやること】3つの確認であなたの状況を把握する
解体がリスクと分かったところで、次に必要なのは「この物件の再建築不可はどの程度のものなのか」を正しく把握することです。再建築不可と一言で言っても、実はいくつかのパターンがあります。パターンによって取れる選択肢が大きく変わるため、先に状況を確定させておかないと、あとで「別の道があったのに」と後悔することになります。
以下の3つを確認してください。それぞれで、あなたに合う出口が変わります。
確認①:道路の種類と接道状況を役所で調べる
再建築不可の原因の多くは「建築基準法上の道路に2メートル以上接していない」ことです。しかし、一口に「道路に接していない」と言っても、いくつかのケースがあります。
あなたの物件がどれに当たるかは、市区町村の建築指導課や都市計画課で「指定道路図」を見せてもらえば確認できます。
主なケースは以下のとおりです。
| ケース | 内容 | 改善の可能性 |
|---|---|---|
| 2項道路(42条2項道路)に面している | 幅員4m未満だが、建築基準法上の道路とみなされている道。セットバック(道路中心線から両側2mの後退)が必要 | △ セットバックすれば再建築可能になる場合がある |
| 位置指定道路だが幅員不足 | 開発許可で作られた道だが、幅員が4m未満 | △ 接道改善の可能性あり |
| 43条2項(旧43条ただし書き)の余地あり | 農道等の公共の道に接している、または安全な通路がある | ○ 認定・許可申請の可能性あり |
| 完全な無接道・無道路地 | 公道にも私道にも接していない | × 隣地買い増しや通路承諾が必要 |
| 私道に接しているが承諾がない | 私道の所有者から通行等の承諾を得られていない | △ 私道所有者との交渉次第 |
役所での調べ方については、以下の記事で手順を詳しく解説しています。役所に行く前に一度目を通しておくと、聞くべきポイントを絞り込めます。
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確認②:建物の状態を確認する
建物がまだ使える状態かどうかで、選択肢が大きく変わります。以下のポイントを確認してください。
- 雨漏り・シロアリ・傾き:修繕費用の見積もりを取る
- 旧耐震か新耐震か:1981年6月以前の旧耐震基準だと、大規模な耐震補強が必要な場合がある
- 大規模修繕の履歴:屋根・外壁・設備の状態
- リフォームの可否:建築確認申請が必要な大規模なリフォーム(主要構造部の変更等)は、再建築不可だと制限されることがある
建物がまだ居住可能な状態なら「リフォームして住む・貸す」という選択肢が生まれます。逆に、修繕費が莫大で事実上建物として使えないなら、解体(とそれに伴うリスク)を前提とした選択肢を検討することになります。
確認③:登記・権利関係を確認する
再建築不可物件の売却で最もつまずきやすいのが、実は建築上の問題ではなく権利関係の問題です。
以下の状態に当てはまると、売却手続きが複雑になります。
- 相続登記が未了:亡くなった親族名義のまま。2024年4月から相続登記は義務化されており、放置すると過料の対象になる
- 遺産分割が未了:相続人の間で話し合いがついていない
- 共有名義になっている:複数の相続人がいる場合、全員の同意が必要
- 抵当権・借地権が設定されている:権利者の承諾や抹消手続きが必要
建築上の問題と権利関係の問題は独立して存在します。建築の確認と同時に、登記簿を取得して権利関係も整理しておきましょう。
【ケース別】あなたに合う5つの出口を比較する
上の3つの確認が終われば、あなたの物件の状況がおおよそ見えてきたはずです。ここからは、状況に応じた5つの出口を比較していきます。
まずはざっくりとした判断フローをどうぞ。
自分に合う出口を見つける簡易フロー
① 役所確認で「セットバックすれば再建築可能」「43条2項の申請余地あり」と分かった
→ 「出口③:再建築可能にする」を検討。価値改善の余地あり
② 建物がまだ使える状態で、自分が住むor貸す予定がある
→ 「出口②:リフォームして住む・貸す」を検討
③ 相続登記が未了・共有者がいる・権利関係が複雑
→ 「出口④:相続手続きで整理する」が先決。整理後に売却も視野に
④ 上記いずれにも当てはまらない、またはとにかく早く手放したい
→ 「出口①:売却する」を検討。一般仲介・専門買取・隣地売却の3ルートあり
上のフローを参考に、各出口の詳細を確認してください。
まずは、各出口の特徴を比較表で一覧します。
| 出口 | こんな人に向く | 価格の目安 | スピード | 主なリスク・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 一般仲介で売る | 時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい | 市場価格に近い(ただし買い手は限られる) | 数ヶ月〜1年以上 | 買い手が見つからないリスクが大きい |
| 専門買取業者に売る | 一刻も早く手放したい。誰にも知られたくない | 市場価格より低め(即金性とのトレードオフ) | 〜1ヶ月 | 価格交渉次第で大幅に下がることも |
| 隣地所有者に売る | 隣地に買い手需要がありそう | 交渉次第(最も高くなる可能性も) | 数週間〜数ヶ月 | 相手がいない・交渉がまとまらないリスク |
| リフォームして住む・貸す | 建物が使える。自分で住むか貸す予定がある | リフォーム費用の回収リスクあり | 工事期間(数ヶ月) | 大規模リフォームは確認申請が必要な場合あり |
| 再建築可能にする | セットバック・43条2項・隣地買い増しの余地あり | 改善後に査定アップの可能性 | 数ヶ月〜年単位 | 役所との調整・費用・時間がかかる |
| 相続整理(登記・放棄・国庫帰属) | 相続登記未了・権利関係が複雑 | — | — | 相続放棄は全財産対象。国庫帰属は古家付き不可 |
出口①:売却する──一般仲介・専門買取・隣地売却の使い分け
「とにかく手放したい」という場合、売却が最も現実的な選択肢です。ただし、再建築不可物件の売却には一般の不動産と同じ方法では進められない部分があります。「誰に売るか」によって価格もスピードも大きく変わるため、3つのルートを理解した上で選ぶことが重要です。
一般仲介で売りにくい理由と、それでも試す価値があるケース
再建築不可物件を一般の不動産会社に仲介依頼しても、「売れません」と断られるケースが少なくありません。その理由は明白で、一般の購入希望者は住宅ローンを使うことが前提だからです。再建築不可物件は金融機関の担保評価が低くなりやすく、住宅ローンが通りにくいため、買い手が極端に限られます。
ただし、以下のようなケースでは一般仲介でも売却の可能性があります。
- 現金購入者がいる(投資目的・隣地拡張目的など)
- 隣地所有者が買い増しを検討している
- セットバックや43条2項の余地があり、再建築可能になる可能性を説明できる
- 建物がまだ使える状態で、オーナーチェンジ(賃貸借付き売却)が可能
一般仲介を試す場合の注意点は、「現況有姿」「契約不適合責任免責」での売却が基本になることです。築古物件であることを前提に、買主が現状を了承した上で購入する形になります。
一般仲介の詳細や進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
専門買取業者に売る──スピード重視なら現実的な選択肢
一般仲介で買い手が見つからない、または「とにかく早く現金化したい」という場合、訳あり物件の買取専門業者への売却が現実的な選択肢になります。
専門買取業者は、再建築不可物件の特性を理解した上で「現況有姿買取」を行います。つまり、あなたが何も手を加えず(解体もリフォームもせず)、今の状態のまま買い取ってもらえるということです。
買取価格は一般の市場価格より低めになるのが一般的ですが、以下のようなメリットがあります。
- スピード:申し込みから最短2〜3週間で現金化できる
- 手間いらず:現況のまま買い取ってもらえるため、片付けや解体の必要がない
- 確実性:買い手探しの必要がなく、確実に売却できる
- 秘密保持:近隣に知られずに進められる
では、買取業者はなぜ再建築不可物件を買い取れるのか。その答えは「出口戦略を持っているから」です。主な出口戦略は以下のとおりです。
- 再販:現金購入者や投資家にそのまま転売する
- 隣地所有者への斡旋:買い取った土地を隣地所有者に売却する
- 権利調整後の転売:私道承諾や隣地交渉を行い、再建築可能な状態に改善してから売却する
- 賃貸経営:建物が使える状態なら、軽微な修繕を施して賃貸運用する
- 駐車場経営等:更地にして月極駐車場などに活用する
つまり、買取業者は一般の個人購入者とは異なるルートで出口を見つけられるからこそ、再建築不可物件でも買取が可能なのです。このことを理解しておけば、業者の提示する価格が「不当に安い」のか「市場の現実を反映した適正価格」なのかを判断しやすくなります。
専門買取業者を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 再建築不可物件の買取実績が十分にあるか
- 契約不適合責任の免責範囲を明確に説明してくれるか
- 査定額の根拠(価格形成要因)を説明してくれるか
- 複数社で比較見積もりを取れるか
ポイント
買取業者の口コミや評判は事前に確認しておきましょう。訳あり不動産の買取実績が豊富な業者ほど、再建築不可物件の適正な価格査定が期待できます。以下の記事も参考にしてください。
隣地所有者に売る──最も高く売れる可能性がある方法
意外と見落とされがちなのが、隣地の所有者に直接売却するという方法です。
隣地所有者にとって、あなたの土地を買い取ることで以下のメリットが生まれます。
- 敷地を拡大できる(駐車場増設・建物の増築・庭の拡張など)
- 自分が既に住んでいる土地と一体化することで、接道条件や建ぺい率・容積率の問題を解決できる場合がある
- 他人に売られて「何が建つか分からない」リスクを回避できる
この方法のメリットは、不動産会社の仲介手数料が不要で、両者の合意次第で価格を柔軟に設定できることです。一般市場での売却価格より高くなる可能性もあります。
ただし、隣地所有者が買い取りに興味を持っているかどうかが鍵です。まずは隣家や周辺の土地所有者に、購入意向があるか打診してみるところから始まります。交渉がまとまった場合でも、後々のトラブルを避けるために契約書を作成し、司法書士や弁護士に確認してもらうことをおすすめします。
出口②:リフォームして住む・貸す
建物がまだ居住可能な状態であれば、リフォームして自分で住む、または賃貸に出すという選択肢もあります。
再建築不可物件でも、建物が現に存在している状態であれば、増築を伴わない範囲のリフォームは可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
リフォームの範囲で建築確認申請が不要なケース
- 内装の張り替え(クロス・フローリング)
- キッチン・バス・トイレ等の設備交換(同規模・同位置)
- 外壁の塗り替え・張り替え
- 屋根の葺き替え
建築確認申請が必要になる可能性があるケース
- 主要構造部(柱・梁・壁)の変更を伴う大規模修繕
- 間取りの大幅な変更
- 用途の変更(住宅→店舗等)
- 増築・改築
リフォームの可否は、建物の構造や工事内容によって変わります。必ず建築士や市区町村の建築指導課に確認してから着手してください。
賃貸経営については、需要があるエリアかどうかの見極めが重要です。再建築不可という制約がある物件を借りる人は限られるため、賃料設定や入居者募集の戦略を慎重に検討する必要があります。
出口③:再建築可能にする──条件次第で価値が変わる
役所での確認①で「セットバックすれば再建築可能」「43条2項の申請余地あり」「隣地との調整で接道改善の可能性あり」と分かった場合、再建築可能な状態に改善すれば、土地の価値が大きく変わります。
ここでは代表的な3つのルートを紹介します。
2項道路+セットバックで建て替え可能になるケース
前面道路が建築基準法42条2項道路(幅員4m未満だが、建築基準法上の道路とみなされる道)の場合、セットバック(道路中心線から両側2メートルの範囲を道路敷として後退すること)によって再建築可能になることがあります。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- セットバック後も敷地面積が建築基準法上の最低敷地面積以上であること
- セットバック後の敷地で建ぺい率・容積率の制限内に収まること
- セットバック部分の土地は自己所有のまま道路扱いとなる(将来的に道路として提供する場合もある)
セットバックで再建築可能になるかどうかは、敷地の広さや形状によって変わります。役所の建築指導課で個別に確認する必要があります。
43条2項1号認定・2号許可の申請ルート
前面道路が建築基準法上の道路ではないものの、以下のような条件を満たす場合、43条2項の認定(1号)または許可(2号)によって建築が認められる可能性があります。
43条2項1号認定(令和5年12月に対象拡大)
- 農道等の公共用に供する道(幅員4m以上)に2m以上接する場合
- 位置指定道路の基準に適合する道(幅員4m以上)に2m以上接する一戸建て住宅等
- 比較的ハードルが低く、令和5年度の認定実績は全国で1,232件
43条2項2号許可(旧43条1項ただし書き)
- 周囲に広い空地がある
- 安全な通路に接している
- その他特定行政庁が許可する場合
- 建築審査会の同意が必要で、ハードルは1号より高い
- 令和5年度の許可実績は全国で6,579件
43条2項の認定・許可は「申請すれば必ず通る」とは限りません。自治体ごとに基準や審査の厳しさが異なるため、まずは市区町村の建築指導課で事前相談を行いましょう。
再建築不可の原因や基礎知識については、以下の記事も参考にしてください。
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隣地の一部を買い増す・通路承諾を得る方法
完全な無接道・無道路地の場合でも、隣地の一部を買い増したり、隣地所有者から通路として使用する承諾を得ることで接道条件をクリアできる場合があります。
たとえば、隣地の所有者が「土地の一部を売ってもよい」「通路として通行することを承諾する」と言ってくれれば、建築基準法上の接道義務を満たせる可能性が出てきます。
この方法の難しさは、隣地所有者との交渉がすべてということです。相手に買い取りや承諾のメリットがなければ、話は進みません。価格交渉や権利調整には不動産会社や司法書士のサポートが必要になるケースもあります。
出口④:相続手続きで整理する──登記・放棄・国庫帰属の実態
再建築不可物件を相続した場合、建築上の問題だけでなく、相続手続き自体が売却のハードルになっているケースが非常に多く見られます。ここでは、相続絡みの注意点を整理します。
相続登記は義務化されている(2024年4月〜3年以内)
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象になります。
施行日前(2024年3月31日以前)に発生した相続については、2027年3月31日までの猶予期間が設けられています。
再建築不可物件だからといって登記を放置すると過料リスクがあるだけでなく、売却しようとしても名義が旧所有者のままでは手続きが進められません。まずは登記を整理することが、すべての出口の第一歩になります。
ポイント
相続登記の義務化について詳しくは法務省の公式ページをご確認ください。
法務省「相続登記の申請義務化について」
相続放棄は再建築不可物件だけを手放す制度ではない
「再建築不可物件だけ相続放棄して、他の財産はもらいたい」──そんな都合のよい方法はありません。
相続放棄は、被相続人のすべての財産(プラスもマイナスも)を放棄する制度です。再建築不可物件だけを選んで放棄することはできません。また、相続放棄の熟慮期間は相続開始を知った日から3か月以内と限られているため、判断に迷う場合は早めに家庭裁判所や弁護士に相談してください。
相続土地国庫帰属制度は古家付き土地では使えない
「国が土地を引き取ってくれる制度があるらしい」という話を聞いたことがあるかもしれません。令和5年(2023年)4月から始まった相続土地国庫帰属制度は、一定の条件を満たす土地を国に引き取ってもらえる制度です。
しかし、この制度には重要な制約があります。
法務省の正式な要件によると、建物がある土地は申請却下の対象です。つまり、再建築不可物件に古家が建っている状態ではこの制度は使えません。また、境界が不明確な土地、担保権の設定がある土地も対象外です。
「国が引き取ってくれるなら安心」と考えるのは早計です。まずは建物の問題を整理しなければ、この制度の対象にならないという点を理解しておきましょう。
【よくある質問(FAQ)】
Q1:再建築不可物件は本当に売れないのか?
A:売れます。ただし、一般の住宅ローンを使う買い手は見つかりにくいため、買取専門業者や隣地所有者、現金購入者など、買い手の範囲が限られます。「まったく売れない」わけではありませんので、諦める前に選択肢を検討しましょう。
Q2:解体して更地にしたほうが売りやすいのか?
A:売りやすくなるとは限りません。むしろ、解体すると再建築が不可能になるため、買い手がさらに限られる可能性があります。また、住宅用地特例が外れて固定資産税が上がるリスクもあります。解体は、他の選択肢をすべて検討した上で判断するのが無難です。
Q3:セットバックすれば必ず建て替えられるのか?
A:必ず建て替えられるとは限りません。セットバック後に残る敷地面積が建築基準法上の最低敷地面積以上であること、建ぺい率・容積率の制限内に収まることが条件です。また、セットバック部分は敷地面積に算入できません。役所で事前確認が必要です。
Q4:43条2項の認定・許可は誰でも申請できるのか?
A:誰でも申請できますが、「申請すれば必ず通る」わけではありません。自治体の基準や審査の厳しさによって可否が変わります。また、建築計画が必要なため、建築士の協力が求められるケースが一般的です。まずは市区町村の建築指導課で事前相談を行いましょう。
Q5:リフォームなら確認申請なしでできるのか?
A:内装の張り替えや設備の同規模交換など、軽微なリフォームは確認申請不要です。ただし、主要構造部の変更を伴う大規模修繕や増築を伴う場合は、建築確認申請が必要になる可能性があります。工事の内容によって判断が分かれるため、建築士に確認してから着手しましょう。
Q6:固定資産税が6倍になるって本当か?
A:解体して更地にした場合、「住宅用地の軽減特例(課税標準×1/6)」が外れるため、土地の固定資産税額が最大で6倍相当になる可能性があります。ただし、もともと住宅用地特例の対象でなかった土地や、更地にした後の利用状況によってはこの限りではありません。解体前に税額シミュレーションをしておくことをおすすめします。
Q7:相続放棄すれば再建築不可物件を手放せるのか?
A:相続放棄は、被相続人のすべての財産(プラスもマイナスも)を放棄する制度であり、再建築不可物件だけを選んで手放すことはできません。他の財産(預貯金や有価証券など)も含めてすべて放棄するかどうかを、3か月以内に判断する必要があります。
Q8:買取業者にいくらくらいで売れるのか?
A:再建築不可物件の買取価格は、物件ごとに条件が大きく異なるため、一律の金額や割合でお答えすることはできません。価格に影響する主な要素は、道路改善の余地・隣地需要の有無・建物の状態・立地・権利関係の複雑さなどです。複数の買取業者から査定を取り、比較することをおすすめします。
まとめ:まず役所で道路を確認し、解体せず、あなたのケースに合う出口を選ぶ
再建築不可物件を「どうするか」迷ったときの、最終的な判断の流れを整理します。
ステップ①:市区町村の建築指導課で道路種別と接道状況を調べる
再建築不可の原因が何かを確定させないと、正しい選択肢を選べません。役所の窓口で「指定道路図」を確認し、43条2項の余地やセットバックの要否を聞いてきましょう。
ステップ②:建物の状態と権利関係を確認する
建物がまだ使えるかどうか、相続登記は済んでいるか、共有者がいないか。建築の問題と権利の問題は別に存在します。両方をクリアにしておかないと、あとで売却が止まります。
ステップ③:上記の結果をもとに、5つの出口からあなたに合うものを選ぶ
- 接道改善の余地あり → 再建築可能化を検討
- 建物が使える → リフォーム活用も視野に
- 権利関係が複雑 → まず相続整理
- とにかく早く手放したい → 売却(一般仲介・専門買取・隣地売却)
再建築不可物件は、「無価値」「売れない」と決めつける必要はありません。正しい順番で確認し、あなたのケースに合った出口を選べば、負動産になるのを防げます。まずは役所に行き、次に解体せず、選択肢を比較するところから始めてください。
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