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空き家が売れない場合はどうする?原因別の対処法と「やってはいけない順番」を解説

目次

相続した実家の空き家が、なかなか売れない——。不動産会社に仲介を依頼したものの、3か月、半年と経っても買い手がつかない。固定資産税と管理費だけが毎年かかり、遠方からの草刈りや見回りにも限界を感じている。そんな状況で、「もう0円でもいいから手放したい」「解体して更地にすれば売れるのか」「国に引き取ってもらえないか」と考え始めているのではないでしょうか。

結論から言うと、空き家が売れない原因は複数あり、原因によって取るべき対処法はまったく違います。そして、間違った順番で動くと、余計な費用がかかったり、かえって売れにくくなったりするのが、この「売れない空き家」処分の難しいところです。

この記事では、空き家が売れない9つの原因を診断し、原因別の対処法、そして「やってはいけない順番」までを整理しました。最後まで読めば、自分の空き家がどのケースに当てはまり、次に何をすべきかが分かります。

この記事を書いた人

訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。

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空き家が売れない――まず最初に確認すべきこと

空き家が売れないとき、多くの人が「値下げすべきか」「リフォームすべきか」「解体すべきか」と、対策ありきで考え始めます。しかし、最初にやるべきは「なぜ売れないのか」の原因診断です。

原因によって、取るべき行動はまったく違います。価格が高すぎるだけなら、値下げで売れる可能性があります。しかし、もし再建築不可の土地だったり、相続登記が未了だったりする場合は、いくら値下げしても買い手はつきません。先にやるべきことは、価格調整ではなく権利関係の整理です。

まずは次のセクションで、自分の空き家がどの原因で売れていないのかをチェックしてみてください。

あなたの空き家はどれ?売れない原因9パターン

以下の9つの原因のうち、自分の空き家に当てはまるものをチェックしてみてください。複数が重なっていることもよくあります。

No. 原因 こんな状態 優先度 最初にやること 向く出口
価格設定が高い 近隣相場より高く設定している。周辺の成約事例と比べて割高。 すぐ対応 不動産会社に周辺成約事例を確認し、価格を見直す 価格見直し→仲介再挑戦
不動産会社の販売力・広告力が弱い 1社にしか依頼していない。内覧がほとんど入らない。 すぐ対応 複数社に相談するか、媒介契約の種類を見直す 会社変更→仲介再挑戦
立地需要が乏しい 過疎地・山間部・駅から遠い。周辺に空き家が多い。 中程度 空き家バンクや隣地売却など、需要のあり方を変える 空き家バンク/隣地売却/買取
老朽化・旧耐震・雨漏り・傾きなど建物状態が悪い 築40年以上でメンテナンスなし。住宅ローンが使えない。 要注意 現況のまま売れるか査定を取る(解体はその後) 買取/隣地売却
残置物が多い 親の家財がそのまま。ゴミ屋敷状態。片付けが進んでいない。 要注意 買取なら残置物込みで相談できるか確認する 買取
再建築不可・接道不良・私道問題がある 建築基準法の接道義務を満たしていない。私道の通行承諾がない。 自治体の建築課で現状の建築可否を確認する 買取/隣地売却
境界未確定・越境・近隣トラブルがある 隣地との境界が曖昧。越境物がある。近隣と揉めている。 境界確定測量が必要か、司法書士・土地家屋調査士に相談 権利整理→仲介/買取
相続登記未了・共有者同意未取得 名義が故人のまま。兄弟姉妹の同意が取れていない。 最優先 相続登記の手続きを進める。共有者は全員の同意が必要 権利整理→仲介/買取
管理不全空家・特定空家リスクがある 行政から管理指導の連絡が来ている。草木が生い茂っている。 最優先 行政の指導内容を確認し、早急に対応方針を決める 買取/権利整理

この表で「優先度」が「最優先」「高」の項目に当てはまる場合は、値下げやリフォーム以前に、そちらを先に片付ける必要があります。優先度「すぐ対応」「中程度」の原因だけなら、通常の売却戦略の見直しで解決する可能性があります。

「向く出口」の列を参考に、後述する8つの出口のうち、自分の原因に合ったものを選んでください。

【やってはいけない順番】売れないからといって先にやると損する3つのこと

売れない空き家を抱えると、「とりあえず解体しよう」「片付け業者を呼ぼう」と焦りがちです。しかし、実務の現場では、次の3つを先にやってしまうと、結果的に損をするケースが非常に多いです。

3-1. いきなり解体する

「更地にすれば売れるだろう」と考えて、先に解体工事を発注するのは最も危険なパターンの一つです。

なぜなら、売れない原因が「建物の劣化」ではなく「立地需要の乏しさ」「接道不良」「境界不明」「権利関係のもつれ」にある場合、解体費(木造30坪で90万~150万円程度が目安)をかけても、更地のまま売れないからです。

現場からのアドバイス

編集部の調査では、売れない原因が建物以外にあるケースで「とりあえず解体したが、その後の買い手がつかず、解体費だけが無駄になった」という事例が少なくありません。原因④~⑨(老朽化以外に立地・権利・規制の問題)に当てはまるなら、なおさらです。解体の前に、古家付き・現況のままで売れるかどうかを買取業者や不動産会社に査定で確認するのが実務的です。

また、解体すると固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性もあります。建物がある間は小規模住宅用地の軽減(固定資産税の課税標準が6分の1)が受けられていましたが、更地にするとこの軽減がなくなり、税額が上がるケースがある点も注意が必要です。

3-2. いきなり高額リフォーム・片付けを発注する

「内覧で印象が悪いから」と、リフォームや家財道具の片付けを先に発注するのも、慎重に判断すべきです。

残置物(置き去りにされた家財道具)の処分費用は、一般的な戸建で15万~35万円程度。大量にある場合は50万~100万円以上かかることもあります。この費用を自費で払ってから売却しても、その分が売値に上乗せされるとは限りません。「リフォーム代をかければ売れる」という保証はどこにもありません。

一方、買取業者に依頼すれば、残置物は業者が処分費を負担した上で査定額を提示するケースがあります。ただし、処分費は査定額に反映されるため、先に自分で片付ける前に「残置物ありの状態でいくらになるか」を査定で確認してから判断するのが賢い順番です。

3-3. いきなり「国に返せばいい」と思い込む

「売れないなら国に引き取ってもらえばいいのでは?」と考える方が一定数います。しかし、相続土地国庫帰属制度には厳しい条件があり、多くの売れない空き家はこの制度の対象外です。

この制度の詳細は後述しますが、ここでは「建物がある土地は申請すらできない」「更地にしても境界不明・担保権付きは対象外」という2点を押さえておいてください。空き家が建ったままの土地は、そもそも制度の入り口にすら立てません。「国に返せばいい」と思い込んで他の行動を先延ばしにするのが、最も避けるべきパターンです。

売れない空き家を放置するとどうなる?段階的に知っておくべきリスク

「売れないから仕方ない」とそのまま放置するのにも、一定のリスクがあります。2023年12月の空家法改正で、管理状態の悪い空き家に対する行政の対応が強化されました。

放置リスクは以下のように段階的に進行します。

放置リスクの進行ステップ

段階 状態 行政対応 税・費用への影響
第1段階 通常の空き家(管理状態は普通) 特になし 住宅用地特例の軽減あり(税額は低め)
第2段階 管理不全空家等に該当(草木繁茂・窓ガラス破損・害虫発生など、このまま放置すれば特定空家になるおそれ) 助言・指導 現時点では軽減継続。ただし指導は無視できない
第3段階 管理不全空家等のまま改善なし 勧告 住宅用地特例の対象から除外→固定資産税が最大6倍に増額
第4段階 特定空家等に該当(倒壊危険・衛生上有害など) 命令 住宅用地特例除外継続+命令違反で過料
第5段階 命令に従わない 行政代執行(行政が強制的に解体・撤去) 解体費用を所有者に請求(高額になる可能性)

特に注目すべきは第3段階の「勧告」です。これまでは特定空家に指定されて初めて住宅用地特例が外れていましたが、2023年の法改正で「管理不全空家」でも勧告を受けると特例が除外されるようになりました。勧告を受けると、土地の固定資産税が理論上最大6倍に跳ね上がる可能性があります。

また、2024年4月からは相続登記が義務化されています。故人が亡くなった後、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければならず、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の対象となります。売却するにせよ、しないにせよ、名義を整理しておくことが法律上の義務になっている点は押さえておきましょう。

注意

固定資産税の増額リスクや行政代執行の判断は、各自治体の判断によります。また、税額は土地の評価額や面積によって異なるため、一概に「6倍になる」とは言えません。「リスクがある」という認識を持ち、早めに対応方針を決めることが重要です。

売れない空き家、原因別の現実的な出口8つ

原因が分かったら、次は出口を選びます。ここでは、原因別に現実的な出口を8つ紹介します。すべてのケースに万能な方法はありません。原因9パターン表の「向く出口」列と照らし合わせて、自分の空き家に合ったものを選んでください。

5-1. 価格と販売戦略の見直し(原因①~②向け)

向いているケース:原因が「価格設定が高い」「不動産会社の販売力不足」だけで、物件自体の状態や権利関係に問題がない場合。

まずは、依頼している不動産会社に周辺の成約事例を開示してもらい、価格が適正かどうかを確認しましょう。公益財団法人東日本不動産流通機構の調査(2022年)によると、首都圏の築31年以上の戸建ての売り出し価格と成約価格の差は2割以上あり、大幅な値下げが行われているのが実態です。「最後は叩き売るように値引きして売った」という経験談も珍しくありません。価格が原因なら、思い切った値下げが有効です。

また、媒介契約の種類(一般媒介か専任媒介か)や、広告掲載の頻度・媒体も見直しポイントです。1社だけで売れていないなら、複数社に相談して競争させることで成約につながるケースもあります。

価格見直しだけで売れる可能性があるなら、解体・買取・国庫帰属など大きく動く前に、まずここから試すのが順番として正解です。

5-2. 不動産会社の変更(原因①②向け)

向いているケース:現在の不動産会社の販売活動に不満がある。内覧がほとんど入らない。

不動産会社によって、販売力・エリアの得意不得意・買主のリソースは大きく異なります。空き家の売却に実績がある会社や、訳あり物件に強い会社に切り替えることで、反響が変わる可能性があります。

5-3. 空き家バンクへの登録(原因③・立地限定)

向いているケース:立地が地方・過疎地で一般の買主が期待できない。移住希望者やDIY需要のある物件。

各自治体が運営する空き家バンクは、移住希望者や別荘需要を持つ買主へのマッチング手段として有効です。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 成約保証はない。登録したからといって必ず売れるわけではありません。
  • 物件状態のハードルがある。倒壊の危険がある、残置物が大量にある、境界が不明、再建築不可などの物件はマッチングが難しい傾向があります。
  • 自治体ごとにルールが異なる。登録条件や利用条件は各自治体で確認する必要があります。

空き家バンクは「選択肢の一つ」として考え、他の出口と併行して検討するのが現実的です。

5-4. 隣地所有者への売却(原因③・④・⑥向け)

向いているケース:立地需要が乏しい。建物が古く一般買主がつかない。隣地所有者が土地の拡張を希望する可能性がある。

一般の市場で売れなくても、隣地所有者にとっては、自分の土地と一体に使えるという価値が生じるケースがあります。形状が悪い土地の改善、接道条件の改善、駐車場や庭としての活用——といったメリットがある場合、隣地所有者が買い手になってくれる可能性があります。

ただし、直接交渉はトラブルのもとになることもあるため、不動産会社を挟んで売却の打診をするのが安全です。直接「買いませんか」と声をかけると、価格交渉で揉めたり、近隣関係が悪化するリスクがあります。

5-5. 現況のまま買取業者に売却(原因④~⑨向け)

向いているケース:以下のいずれかに当てはまる場合——

  • 築古・老朽化・雨漏り・傾きで住宅ローンが使えない
  • 残置物が大量にある(片付ける余力・時間がない)
  • 再建築不可・接道不良・私道問題がある
  • 遠方に住んでいて管理が続けられない
  • 相続登記未了だが早急に処分したい
  • 仲介で半年以上売れず、打つ手を探している
  • できれば追加費用をかけずに手放したい

買取は、仲介と違って買主を探すプロセスがありません。業者が直接物件を買い取るため、現況のまま・スピーディーに・確実に売却できるのが最大のメリットです。特に原因④(老朽化)・⑤(残置物)・⑥(再建築不可)・⑨(管理不全リスク)のケースでは、最も現実的な出口の一つになります。

ただし、買取価格は仲介で売れた場合の想定価格より低くなるのが一般的です。「仲介より安くなる」ことを承知した上で、スピードと確実性を優先するかどうかを判断することになります。

5-6. 相続登記・権利関係の整理後に再挑戦(原因⑦・⑧向け)

向いているケース:相続登記が未了・共有者の同意が取れていない・境界が確定していないなど、権利関係のもつれが売れない原因になっている場合。

権利関係の問題は、値下げでは解決しません。まずは以下の整理が必要です。

  • 相続登記:司法書士に依頼して名義を相続人に変更する。2024年4月から義務化されているため、売却の有無にかかわらず対応が必要。
  • 共有者の同意:共有名義の空き家は、全員の同意なしに売却(不動産全体の売却)はできない。共有者の一人でも反対すると出口が限られる。
  • 境界確定:土地家屋調査士に依頼して境界を確定する。費用は土地の形状や面積により異なる。

権利関係を整理すれば、通常の売却が可能になることもあります。ただし、整理には時間と費用がかかる点は考慮が必要です。

5-7. 相続放棄(特殊ケース・期限厳守)

向いているケース:相続発生から3か月以内(熟慮期間の伸長申立てが認められていない場合)。空き家以外に相続する財産がなく、かつ借金などもない(または借金の方が多い)。

相続放棄は、空き家だけを選んで手放せる制度ではありません。相続放棄をすると、被相続人のすべての財産(プラスの財産もマイナスの財産も)を放棄することになります。預貯金や他の不動産があれば、それも一緒に手放すことになるため、単純に「実家の空き家だけ放棄したい」という目的には使えません。

また、相続放棄の申述期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内と決まっています(家庭裁判所に伸長の申立てをすることで延長可能な場合もあります)。この期間を過ぎると単純承認(財産をすべて引き継ぐ)とみなされるため、タイミングがシビアです。

現場からの補足

2023年の民法改正により、相続放棄をした人が空き家を「現に占有していない」場合は、放棄後の保存義務(管理責任)は生じないことが明確化されました。遠方に住んでいて空き家を占有していないのであれば、この点の心配は軽減されます。ただし、詳細は弁護士や司法書士にご確認ください。

5-8. 相続土地国庫帰属制度(更地・境界明瞭・無担保限定)

向いているケース:すでに更地になっている。境界が明確に確定している。担保権や使用収益権が設定されていない。所有権に争いがない。

「国に引き取ってもらう」制度として知られる相続土地国庫帰属制度ですが、空き家が建ったままの土地は申請すらできません。また、以下の条件に当てはまる土地も対象外です。

  • 建物がある土地
  • 境界が明らかでない土地
  • 担保権・使用収益権が設定されている土地
  • 所有権に争いがある土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 一定の勾配以上の崖があり管理に過分な費用がかかる土地

また、承認された場合でも負担金の納付が必要です。宅地の場合の負担金は以下のように計算されます(2025年時点)。

土地の面積 負担金の計算式(宅地の場合) 例:200㎡の場合
50㎡以下 面積×4,070円+208,000円 約41万~42万円
50㎡超100㎡以下 面積×2,720円+276,000円 約54万~55万円
100㎡超200㎡以下 面積×2,450円+303,000円 約79万円

「国に返せばタダ」ではなく、負担金が発生する点も理解しておきましょう。

多くの「売れない空き家」は建物付き・境界不明・権利関係未整理の状態であり、国庫帰属制度の対象外となるケースがほとんどです。この制度が使えるかどうかは、前提条件を一つひとつ確認する必要があります。

【比較】仲介・買取・空き家バンク・国庫帰属、結局どれを選ぶべきか

それぞれの出口を、比較表で整理しました。自分の優先順位(価格か・スピードか・手間をかけないか)と照らし合わせて選んでください。

出口 価格の期待値 スピード 手間・準備 向くケース 向かないケース
仲介(価格見直し・会社変更) 高め(相場に近い) 遅い(買主が見つかるまで) 中(価格調整・広告・内覧対応) 状態が良く、価格だけが原因 老朽化・権利問題・再建築不可
空き家バンク 中~低(需要次第) 中(マッチング次第) 低(登録のみ) 移住需要がある地方物件 倒壊危険・残置物大量・境界不明
隣地売却 中(隣地の利用価値次第) 中(交渉次第) 中(業者を挟むのが安全) 隣地所有者が拡張ニーズあり 隣地所有者と関係が悪い
現況買取 低め(仲介より下がる) 速い(現況査定~契約~決済) 低い(現況のままでOK) 老朽化・残置物・権利問題・遠方管理・急ぎ 高値重視・じっくり売りたい
相続土地国庫帰属 0円(負担金は自己負担) 中(審査に時間) 高い(更地化・境界確定が必要) 更地・境界明瞭・無担保・早めの空き家 建物付き・境界不明・権利問題あり
相続放棄 ー(手放す、売却しない) ー(期限に注意) 中(家庭裁判所手続き) 相続全体の財産を放棄したい 空き家だけ手放したい(不可)

この表で見ていただくと分かるように、「価格が高い」か「スピードが速い」か「手間が少ない」かは、トレードオフの関係にあります。すべてを満たす完璧な方法はありません。

自分にとって何が最優先か(価格か、スピードか、手間の少なさか)を決めてから、出口を選ぶのが賢い進め方です。

売れない空き家の買取を検討する前に確認すべき4つのこと

買取は有力な選択肢ですが、「とりあえず1社に相談して決める」のは避けた方がよいでしょう。以下の4点を確認してから進めてください。

① 複数社で査定を取る

買取価格は業者によって異なります。特に、空き家の買取実績が豊富な業者かどうかで、査定額や対応の質が変わります。最低でも2~3社に現況査定を依頼し、提示額と条件を比較しましょう。

② 残置物対応・解体費の扱いを確認する

残置物がある場合、業者によって対応が異なります。「残置物込みで買取する」「残置物の処分費を査定額から差し引く」「残置物は自分で処分することが条件」——この違いを事前に確認しておかないと、想定より手取り額が少なくなることがあります。

③ 契約不適合責任の免責範囲を確認する

買取契約では、仲介と違って契約不適合責任(いわゆる「瑕疵担保責任」に相当)の免責特約が付くケースが一般的です。「現状有姿での買取」の場合、どの範囲まで免責になるのか、契約書で確認しましょう。

④ 買取価格だけでなく、スピードと確実性も比較する

「A社は査定額が高いが、契約までに時間がかかる」「B社は額は低いが、最短〇日で決済できる」——このように、価格以外の条件も含めて総合的に判断することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 空き家を更地にすれば必ず売れますか?

いいえ、必ず売れるとは限りません。売れない原因が「建物の劣化」ではなく「立地需要の乏しさ」「接道不良」「境界不明」「権利関係のもつれ」にある場合、解体費(木造30坪で90万~150万円程度)をかけても、更地のまま売れずに終わるケースがあります。解体は原因を診断してから判断すべきです。

Q2. 相続土地国庫帰属制度で建物付き空き家も引き取ってもらえますか?

できません。相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請の対象外です。空き家が建ったままの土地は、まず申請すらできない制度だと理解しておいてください。更地にした上で、さらに境界確定・無担保・所有権に争いがないなどの条件を満たす必要があります。

Q3. 相続放棄すれば空き家だけ手放せますか?

できません。相続放棄は、空き家だけを選んで手放す制度ではなく、被相続人のすべての財産(預貯金や他の不動産を含む)を放棄する制度です。空き家以外にプラスの財産がある場合は、一緒に手放すことになります。また、申述期間は相続を知った日から3か月以内と期限が決まっています。

Q4. 空き家の固定資産税は本当に6倍になるんですか?

条件によっては、その可能性があります。管理不全空家として自治体から勧告を受けると、住宅用地特例(小規模住宅用地の場合、固定資産税の課税標準が6分の1に軽減される制度)の対象から除外されます。この軽減が外れると、理論上は最大6倍の税額になります。ただし、実際の税額は土地の評価額や面積、自治体の判断によるため、一律に「6倍になる」とは言えません。リスクがあることだけ認識しておいてください。

Q5. 残置物があるまま買取に出せますか?

買取業者によっては可能です。空き家の買取に強い業者の中には、残置物込みで買取に対応しているところがあります。ただし、処分費は査定額に反映される(査定額から差し引かれる)のが一般的です。先に自分で片付ける前に、まずは残置物ありの状態で査定を取り、提示額と条件を確認してから判断するのが賢い順番です。

Q6. 空き家の3,000万円控除は誰でも使えますか?

いいえ、適用要件が細かく決められています。主な要件は以下の通りです。

  • 相続または遺贈で取得した被相続人居住用家屋であること(マンションは対象外)
  • 昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の一戸建てであること
  • 相続開始前まで被相続人が居住していたこと(老人ホーム入所中の特例あり)
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること

また、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は、控除額が最大2,000万円に減額されます(兄弟姉妹の多い家庭は注意)。適用できるかどうかは税理士または所轄の税務署でご確認ください。

Q7. 相続登記がまだできていませんが売却できますか?

相談はできますが、契約・決済までに登記の整理が必要です。買取業者や不動産会社への「売却相談」自体は、登記未了の状態でも可能です。査定や概算の買取価格を聞くことはできます。しかし、実際に売買契約を結び、代金を受け取る(決済する)までには、名義を現在の相続人に変更する相続登記が必要です。売却を考え始めたら、早めに司法書士に相談して登記手続きを進めることをおすすめします。

Q8. 買取と仲介、どちらが得ですか?

「何を優先するか」によって答えは変わります。

  • 少しでも高く売りたい→仲介(ただし買主が見つかるまで時間がかかる。売れないリスクもある)
  • 確実に・早く手放したい→買取(価格は仲介より下がるが、現況のまま確実に売却できる)
  • 手間をかけずに処分したい→買取(内覧対応・残置物処理・契約不適合責任の負担が少ない)

「得かどうか」は、売却価格だけでなく、売れるまでの期間、手間、確実性、税金まで含めて総合的に判断する必要があります。

まとめ:まずは原因診断から。間違った順番で動かないこと

空き家が売れないとき、最初にやるべきことは「値下げ」でも「解体」でも「国庫帰属の申請」でもありません。まずは「なぜ売れないのか」の原因を診断し、原因に合った対処法を選ぶことです。

この記事で紹介した9つの原因と8つの出口を参考に、自分の空き家の状態を整理してみてください。

最後に、これだけは覚えておいてほしいこと。

  • いきなり解体する前に、現況のまま査定を取る
  • いきなり片付け・リフォーム業者を呼ぶ前に、買取なら残置物込みでいくらになるか確認する
  • 「国に返せばいい」と思い込む前に、建物付き土地は対象外だと知っておく
  • 相続放棄は空き家だけを選べる制度ではない
  • 放置すれば行政リスクが高まり、固定資産税の増額リスクもある

売れない空き家の処分に「絶対に正しい一択」はありません。自分の空き家の状態、手放すまでの時間、かけたくない費用、優先したいことを天秤にかけて、現実的な出口を選んでください。

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