目次
- 1 結論:買取を断られても「売れない」とは限らない ― 理由で次の行動が変わる
- 2 買取を断られる理由は4つに分類できる
- 3 理由①:対応地域外・社内基準・取扱分野のミスマッチ(会社都合)
- 4 理由②:再販価格に対して費用が大きい(採算不一致)
- 5 理由③:名義・同意・抵当権・占有が未整理(取引前提未整備)
- 6 理由④:接道・建築制約・法的問題
- 7 一社に断られたのと複数社に断られたのでは意味が違う
- 8 断られた会社に確認すべき5つの質問
- 9 解体・測量・片付けは「先にやる」より「条件別に比較」してから
- 10 買取再挑戦 vs 仲介切替 vs 問題解消後の売却 ― どれを選ぶべきか
- 11 それでも買い手が見つからない場合の最終手段
- 12 次の相談で必要な資料チェックリスト
- 13 不動産買取を断られたら【よくある質問】
- 14 まとめ:買取を断られた不動産の「次の一手」は理由で決まる

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掲載順・掲載内容は当サイト編集部の評価基準(対応範囲・公開情報の充実度・スピード等)によるものです。各社の対応領域は時期により変わる場合があります。
結論:買取を断られても「売れない」とは限らない ― 理由で次の行動が変わる
不動産の買取を一社に断られても、直ちに「無価値」「売却不能」とは限りません。断られる理由は大きく4つに分類でき、その理由によって取るべき行動が変わります。
この記事で分かること:
- 買取を断られる7つの具体的な理由と、会社都合か物件の問題かの切り分け方
- 一社だけに断られた場合と、複数社に断られた場合の判断の違い
- 断った会社に確認すべき質問と、次の相談先を選ぶ基準
まずは以下の3つの質問に答えてみてください。あなたが今どこから読み進めるべきかの目安になります。
| 質問 | 「はい」の場合 | 「いいえ」の場合 |
|---|---|---|
| 断られたのは1社だけですか? | 理由が会社都合・採算の問題なら、別の専門会社で再査定する価値があります | 複数社が同じ理由を挙げているなら、物件側の確認を優先します |
| 断られた理由は説明されましたか? | その理由を4分類(後述)で整理すると、次に動く方向が決まります | 理由を聞き出すための質問リストを用意しました |
| 物件の名義はあなたの単独名義ですか? | 権利面の障害は少なく、査定へ進みやすい状態です | 故人名義・共有名義の場合は、名義整理が先決です |
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
買取を断られる理由は4つに分類できる
不動産の買取を断られる理由は、大きく以下の4つに分けられます。この分類が分かると、「会社を変えれば解決する問題」なのか、「物件の状態・権利を整理する必要がある問題」なのかを見極められます。
| 分類 | 内容 | 具体例 | 次に取るべき行動 |
|---|---|---|---|
| ①会社都合 | 対応地域外・社内基準・取扱分野のミスマッチ | 「エリア外です」「再建築不可は扱っていません」「最低査定額に達しません」 | 物件の条件に合う専門買取会社へ切り替える |
| ②採算不一致 | 再販価格に対して修繕・解体・残置物処理の費用が大きい | 「解体費を差し引くと買取額がほぼゼロになります」「処分費用が上回ります」 | 現況査定と整備後査定を比較し、手取りで判断する |
| ③取引前提未整備 | 名義・同意・抵当権・占有など取引に必要な前提が整っていない | 「名義が故人のままです」「共有者の同意が取れません」「抵当権が抹消できません」 | 司法書士・弁護士等の専門家へ先行相談する |
| ④法的・制度的問題 | 接道不足・建築制約・既存不適格など法規制が関わる | 「再建築不可のため再販できません」「違反建築の可能性があります」 | 自治体窓口や建築士で事実確認を先行する |
以下では、この4つの分類に沿って、それぞれの理由で「次に何をすべきか」を具体的に解説します。
理由①:対応地域外・社内基準・取扱分野のミスマッチ(会社都合)
買取会社には、どの物件を買い取るかを自由に決める権利があります(民法521条)。そのため、「対応地域外だから」「自社の最低査定額に達しないから」「うちはその種別の物件を扱っていないから」といった理由で断られることがあります。これは物件に問題があるのではなく、会社側の事業方針によるものです。
このケースで確認すべきこと
- 断った会社の対応地域・取扱物件種別は何か
- 類似の物件を扱う専門会社が別に存在するか
- 断った会社が、理由を「自社の基準」と明確に説明したか
この場合、断られた物件に問題があるわけではないため、物件の種別(再建築不可・共有持分・事故物件・空き家・借地権など)や地域に合った専門買取会社へ切り替えれば、査定が通る可能性が高まります。
ただし、注意したいのは「専門会社なら必ず買い取れる」とは限らない点です。専門会社でも、同じ理由で断られる場合は、次の分類(採算・取引前提・法的問題)に該当していないか確認する必要があります。
理由②:再販価格に対して費用が大きい(採算不一致)
買取会社は、買い取った物件を再販して利益を出す事業者です。買取価格に修繕費・解体費・残置物撤去費・測量費・登記費などを加えた総コストが、再販価格を上回ると判断すれば、採算が取れないため買取を断ります。
よくある費用の内訳
- 残置物撤去・特殊清掃:数十万円~
- 建物解体:木造戸建で100万~300万円程度
- 境界確定測量:30万~80万円程度
- 造成・地中埋設物処理:数十万~百万円単位
- 相続登記・住所変更登記:数万~十数万円
ここで注意したいのは、買主負担になる費用と売主負担になる費用は会社によって異なるという点です。「現況買取」「費用不要」と広告に書いてあっても、査定額に費用分が反映されているのか、後日控除されるのかは契約条件次第です。
【現場の具体例】解体費用が査定額を上回ったケース
築50年の木造空き家を相続したAさん。雨漏りで床が抜けかけ、一部の壁は崩れていた。一般の不動産会社3社に買取を依頼したが、いずれも「解体費が200万円程度かかるため、買取額はゼロか、むしろ費用がかかる」と断られた。Aさんは一度は諦めかけたが、残置物の撤去だけ自分で行い、現況のまま再建築不可物件を扱う専門会社に相談したところ、50万円での買取が成立した。「解体費」と「査定額」の比較だけでは見えなかった選択肢だった。
このケースで取るべき行動
- 「現況のまま」と「残置物撤去後」「解体後」の少なくとも2〜3条件で、複数社の査定を取る
- 買取価格だけでなく、売主負担となる費用の有無・額を確認する
- 自己判断で先に解体・片付けに費用をかけず、条件別の査定を比較してから決める
理由③:名義・同意・抵当権・占有が未整理(取引前提未整備)
不動産の売買には、売主が正式な所有者であること、物件を買主に引き渡せる状態にあることが前提です。以下のような状態では、買取会社がリスクを取れず断るケースがあります。
主な未整備のパターン
- 相続登記未了:名義が故人のまま。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の登記申請が必要です(不動産登記法第76条の2第1項)。また、施行日前に開始した相続でも、2027年3月31日までに登記する必要があります。期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になり得ます。
- 共有名義:複数の共有者がいる状態。自分の持分だけなら単独で売却できますが(民法206条)、不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要です(民法251条)。
- 抵当権・差押え:住宅ローンや税金の滞納などで抵当権や差押えがついている状態。売却代金で完済できれば抹消可能ですが、残債超過の場合は債権者の同意(任意売却)が必要です。
- 占有者あり:賃借人が住んでいる、親族が居住している状態。買取会社は明渡しのリスクと費用を嫌います。
このケースでは、買取会社を変えても解決しにくいことが多いため、まず権利・占有の整理を先行させる必要があります。
このケースで取るべき行動
- 司法書士に相談:相続登記・住所変更登記・抵当権抹消
- 弁護士に相談:共有者との紛争・占有者との交渉・任意売却の調整
- 土地家屋調査士に相談:境界・実測・未登記建物
理由④:接道・建築制約・法的問題
物件の法的な制約が原因で買取を断られるケースです。ただし「再建築不可」「既存不適格」「違反建築」はどれも意味が異なり、それぞれで出口が変わります。
| 法的な状態 | 意味 | 買取可否への影響 |
|---|---|---|
| 再建築不可 | 建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する)を満たさず、新たな建物を建てられない土地 | 一般の買取会社は敬遠するが、再建築不可専門の買取会社や隣地所有者への売却等の選択肢がある。43条2項の許可・認定が得られる可能性もゼロではない |
| 既存不適格 | 建築時は適法だったが、その後の法改正で現行基準に合わなくなった状態 | 違法建築ではない。一定の緩和制度があり、増改築や用途変更が可能な場合がある |
| 違反建築 | 建築時から建築基準法に違反している状態(建ぺい率・容積率オーバー、無許可増築など) | 是正が必要。是正費用と売却価格を比較して判断する。検査済証がないだけでは違法と断定できない |
【現場から】「再建築不可」と決めつける前に確認すべきこと
都市部の細い路地に面した土地を相続したBさん。近所の不動産会社に「再建築不可だから買取不可」と言われた。しかし自治体の建築指導課で確認したところ、その道路は建築基準法上の「2項道路」に該当し、セットバック(道路中心線から2m後退)すれば建築が可能なケースだった。Bさんはその後、セットバック付きの条件で買取を検討する専門会社を見つけ、想定より高い価格での売却が可能になった。「一社の口頭判断」だけで諦めるのは早すぎる典型例。
このケースで取るべき行動
- 自治体の建築指導課で、対象の道路種別・接道条件・43条許可の可否を確認する
- 建築確認記録・検査済証の有無を調査する
- 建築士や指定確認検査機関で建築時の適法性と是正可能性を確認する
一社に断られたのと複数社に断られたのでは意味が違う
買取を断られた会社が1社だけなのか、複数社なのかで、状況の見極め方が変わります。
| 状況 | 考えられる原因 | 次に取るべき行動 |
|---|---|---|
| 1社だけに断られた | その会社の対応地域・取扱分野・社内基準の問題。または担当者の経験不足や判断ミスの可能性もある | 理由が会社都合と判断できるなら、物件種別の専門買取会社へ再査定を依頼する。複数社(最低3社)の査定を取れば、相場観がつかめる |
| 複数の会社が同じ理由で断った | 物件の構造的な問題(権利・建築制約・採算)が原因の可能性が高い | 買取会社を変えるだけでなく、権利整理・行政確認・専門家相談を先行させる。理由が「採算不一致」なら、現況と整備後の手取り比較を徹底する |
| 複数の会社が異なる理由で断った | 物件に複数の問題が重なっている可能性が高い | 各社の指摘を整理し、優先順位をつけて対応する。通常は登記→接道確認→債務整理→占有解消→境界確認の順で進める |
1社だけに断られた段階では、まだ売却の可能性を探る価値が十分にあります。ただし「どこかが必ず買ってくれる」と楽観視するのも禁物です。複数社の査定結果を見比べ、共通する指摘があれば、それを優先的に対応するのが着実な進め方です。
断られた会社に確認すべき5つの質問
買取を断られたら、その会社に理由を聞くことが次の一手を決める第一歩です。ただし「なぜですか?」と漠然と聞くだけでは、本質的な理由が得られないことが多いため、以下の質問を準備してから電話やメールで確認することをおすすめします。
確認する際のポイント
- 担当者の名前と確認日時をメモしておく
- 口頭での回答を鵜呑みにせず、可能なら書面(メール)でもらう
- 感情的にならず、事実確認に徹する
| 質問 | 聞く意図 | 回答から分かること |
|---|---|---|
| ① 買取できない理由は、会社の対応地域・取扱基準によるものですか? | 会社都合か物件の問題かを最初に切り分ける | 「地域外です」「この種別は扱っていません」→理由①:会社都合。「エリアは合いますが…」→物件側の問題の可能性 |
| ② 価格の条件や引き渡し時期を変えれば、再査定の余地はありますか? | 条件変更で取引可能か確認する | 「価格をもっと下げれば」→採算の問題。「時期を延ばせば」→在庫調整・再販計画の問題 |
| ③ 物件の何が再販(転売)の障壁になっていますか? | 買取会社の事業判断の具体的原因を知る | 「解体費が大きい」「接道が厳しい」「権利が複雑」→具体的な問題点が明確になる |
| ④ 売主側で登記・測量・解体・片付けのいずれかを整えれば、再査定は可能ですか? | 先に整理すべき事項を特定する | 「登記が済めば」「測量が必要です」→取引前提未整備の問題。どの専門家に相談すべきかも見えてくる |
| ⑤ この物件の取扱いが可能な専門会社や他社をご存知ですか? | 業界内のネットワーク情報を得る | 会社によっては競合を紹介することは少ないが、「再建築不可なら専門の買取会社があります」と教えてくれるケースもある |
【実務のコツ】断った会社にこそ聞く価値がある理由
査定をした会社は、現地を見て、登記を確認し、周辺相場を把握した上で「買取不可」と判断しています。その判断の中には、物件の具体的な問題点(接道が狭い・権利が複雑・残置物が多い等)が含まれています。この情報を引き出せれば、次の会社への相談時に「問題点を把握した上で、どう対応できるか」を確認でき、再査定の成功率が大きく変わります。「断られた=終わり」ではなく、「次のための材料を集める場」と考えるのが実務的な姿勢です。
確認の電話で使える具体的な伝え方
以下のような流れで聞くと、相手も答えやすくなります。
【電話での聞き方の例】
「先日、△△(物件の住所)の買取査定を依頼した◯◯(自分の名前)ですが、このたびは買取不可とのご判断をいただきありがとうございました。今後の参考にしたいので、差し支えない範囲で結構ですので、買取できない理由を教えていただけますでしょうか。」
→ 最初に感謝を伝え、「今後の参考」と目的を明確にすることで、相手も情報を出しやすくなります。
理由を4分類で切り分けるために
「物件そのものに原因があるのか、御社の取扱基準によるものなのか、そのあたりだけでも教えていただけますと助かります。」
→ 会社都合か物件の問題かを直接聞くことで、次の行動の方向性が決まります。
具体的な障壁を聞き出す
「もし売主側で何か整えられることがあれば、再査定の可能性はありますでしょうか。例えば登記を整えるとか、残置物を片付けるといった対応で状況が変わるものがあれば教えてください。」
→ 「何が問題か」だけでなく「何を整えれば解決するか」まで聞くことで、次に取るべき行動が明確になります。
注意
確認はあくまで事実確認に徹してください。「不当に安く見積もられたのではないか」「もっと誠実に対応すべきでは」といった詰め寄りや感情的な問い詰めは、相手の態度を硬化させ、有益な情報が得られなくなります。「断られた=次のための材料集め」と割り切ることが、結果的に再査定の成功率を上げます。
解体・測量・片付けは「先にやる」より「条件別に比較」してから
買取を断られた後、「とりあえず片付けよう」「解体すれば売れるかも」と先走って費用をかけるのは避けたほうが安全です。解体・測量・片付けを先に行っても、査定額が上がるとは限らず、かけた費用を回収できないリスクがあります。
現況査定と整備後査定の比較方法
複数の買取会社に対して、以下の条件で査定を取り、手取り額を比較します。
| 比較項目 | 条件A:現況のまま | 条件B:残置物撤去後 | 条件C:解体後 |
|---|---|---|---|
| 買取価格(A) | ○○円 | ○○円 | ○○円 |
| 売主負担の費用(B) ※解体・撤去・測量・登記等 |
なし(会社負担) | 撤去費:△△円 | 解体費:△△円 |
| 差引手取り(A-B) | ○○円 | ○○円 | ○○円 |
| 先払いのリスク | なし | 撤去後に査定が変わらない可能性 | 解体後に予想より査定が上がらない可能性 |
「現況のままの手取り」と「整備後の手取りから整備費用を引いた額」を比較して、どちらが実質的に有利かを判断するのがポイントです。整備後に査定が上がっても、その上昇幅が整備費用を下回れば、現況のまま売ったほうが手取りは大きくなります。
【現場の具体例】解体したが査定が上がらなかったケース
Cさんは、実家の古家を解体して更地にすれば高く売れると考え、自己資金200万円をかけて解体した。ところが、解体後に買取会社に査定を依頼したところ、査定額は「0円」のまま。理由は、土地が再建築不可で、解体してもその事実は変わらなかったからだ。Cさんは「解体前に再建築不可の確認をしておけば、200万円の出費は避けられた」と悔やんだ。現況のまま買取可能な会社が見つかれば、解体費の負担なく売却できた可能性がある。
先に工事を検討すべきケース・すべきでないケース
| 先に工事を検討すべき | 工事より先に別の確認をすべき |
|---|---|
| ・残置物が大量にあり、現況買取で査定に大きく響く場合 ・境界が不明で測量が必要と複数社から指摘されている場合 ・建物の危険度が高く、行政から指導が入っている場合 |
・再建築可否や接道条件が未確認の場合(自治体確認が先) ・名義が故人のまま・共有者の同意が取れていない場合(登記・権利整理が先) ・抵当権超過で任意売却が必要な場合(債権者調整が先) |
買取再挑戦 vs 仲介切替 vs 問題解消後の売却 ― どれを選ぶべきか
拒否理由を4分類で整理した上で、次に取るべき選択肢を比較します。
| 選択肢 | 向いている人 | 向かない人 | 成功の条件 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 専門買取会社へ再査定 | 理由が「会社都合」「採算不一致」で、物件タイプに合う専門会社がある人 | 複数の専門会社も同じ理由で断る人 | 断った理由と合う専門会社が存在すること | 買取価格だけでなく、負担費用・契約条件も確認する |
| 一般仲介へ切替 | 一般市場で需要があり、権利整理が済んでいる人 | 再建築不可・共有持分・事故物件など一般買主が敬遠する物件 | 一般購入者が融資・利用できる物件であること | 800万円以下の低廉物件は仲介手数料に特例あり(上限税込33万円) |
| 問題解消後に再査定 | 登記・接道・占有・債務の問題を特定でき、解消の見込みがある人 | 解消費用が査定上昇額を上回る人 | 解消可能で、解消後の上昇額が費用を上回ること | 先払い費用の回収リスクを事前に試算する |
| 隣地所有者等へ直接交渉 | 隣接地所有者が取得・拡張メリットを持つ人 | 隣地所有者との関係が悪い人 | 相手に取得メリットがあること | 足元を見られるリスク。事前に相場観を把握 |
| 保有継続 | どの選択肢も条件が合わず、緊急の処分が必要ない人 | 固定資産税・管理費・老朽化リスクを許容できない人 | 法的・経済的に保有を継続できること | 放置による特定空家指定・固定資産税特例解除のリスク |
専門買取会社でも断られるケースがあることを理解しておく
「訳あり物件の専門買取会社に相談すれば必ず買い取ってもらえる」と期待するのは注意が必要です。専門会社であっても、以下のような理由で買取を見送ることがあります。
- 物件の種類(例:土砂災害特別警戒区域・がけ地近接等)によっては再販リスクが高すぎる
- 権利関係の整理にあまりに長期間・高コストがかかる
- 会社の在庫状況・資金枠の関係で、当面は新規買取を停止している
- 自社の再販ルートやノウハウと物件がマッチしない
「専門会社なら100%買える」という情報に踊らされず、複数の専門会社に当たった上で、共通する指摘があればそれを優先的に対応するというスタンスが現実的です。
断られた理由が「会社都合」や「採算不一致」であれば、物件タイプに合う専門買取会社へ切り替えるのが現実的な選択肢です。ただし、買取業者によって査定額や対応エリア、保有する再販ノウハウは大きく異なります。1社だけで決めずに、複数社の条件を見比べるところから始めるのが確実な方法です。
それでも買い手が見つからない場合の最終手段
複数の専門買取会社や仲介でも売却が難しい場合、以下の選択肢を検討します。
相続土地国庫帰属制度
相続や遺贈で取得した土地について、一定の要件を満たせば国が引き取る制度です(2023年4月施行)。ただし以下の制約があります。
- 対象は更地のみ:建物がある土地は申請前に解体が必要。ただし解体後も要件を満たすとは限らない
- 相続・遺贈で取得した土地のみ:生前贈与や購入した土地は対象外
- 審査あり:管理に過大な費用・労力がかかる土地、境界が不明確な土地などは不承認となる
- 負担金が必要:基準額は20万円(土地の種類・面積により変動)+審査手数料
- 共有土地は全員で申請:共有者の一人だけでは申請できない
詳しい手続きは法務省の公式ページで確認できます。
隣地所有者・親族への直接交渉
買取会社が買わない土地でも、隣接地の所有者にとっては駐車場や資材置場として利用価値がある場合があります。また、親族間での相続税対策として引き取ってもらえるケースもあります。価格は市場価格より低くなりがちですが、買取会社を通さない分、手数料がかからないというメリットもあります。
保有継続と管理負担の最小化
どうしても手放せない場合、管理負担を最小化する方法を検討します。
- 草刈り・清掃のみ最低限行い、特定空家指定を防ぐ
- 固定資産税の住宅用地特例が解除される前に、土地利用の変更を検討する
- まちの空き家相談窓口や地域の司法書士会・弁護士会の無料相談を活用する
注意:無料の引取り・寄付をうたう業者には注意が必要です。寄付には受入側の都合があり、あらゆる土地が無料で引き取られるわけではありません。また後日、思わぬ費用請求が発生するケースもあります。
次の相談で必要な資料チェックリスト
再査定や専門家相談の前に、以下の資料を準備しておくと、スムーズな相談が可能になります。すべて揃える必要はありませんが、多いほど正確な判断が得られます。
| 資料 | 入手先 | 必須度 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(全部事項証明書) | 法務局(オンライン可) | ★必須 |
| 公図(地図に代わる図面) | 法務局 | ★必須 |
| 固定資産税納税通知書・評価証明書 | 市区町村役場 | ★必須 |
| 間取り図・建築確認済証(あれば) | 保管書類・自治体の建築指導課 | ◎推奨 |
| 検査済証(あれば) | 保管書類 | ◎推奨 |
| ローン残高証明書(あれば) | 金融機関 | ◎債務ありの場合必須 |
| 賃貸借契約書(賃貸中の場合) | 保管書類 | ◎占有ありの場合必須 |
| 地積測量図(あれば) | 法務局 | ○あるとよい |
| 現況写真(外観・内観・周辺道路) | 自分で撮影 | ○あるとよい |
| 事故・修繕履歴(あれば) | 自分で記録 | ○あるとよい |
資料が揃わない場合は、所有権の確認ができる範囲のものでも査定は可能なことが多いですが、未確認のリスクを理由に査定が低くなる可能性があることは理解しておきましょう。
不動産買取を断られたら【よくある質問】
買取を断られた物件はもう売れないのか?
いいえ、必ずしもそうとは限りません。断られた理由を4分類(会社都合・採算不一致・取引前提未整備・法的問題)で整理し、理由に合った専門会社へ切り替えるか、前提条件を整えれば売却できる可能性があります。特に1社だけに断られた段階では、まだ十分に検討の余地があります。
何社に断られたら売却を諦めるべきか?
明確な数値基準はありませんが、複数の専門買取会社(3〜5社程度)が同じ理由で断る場合は、物件側に構造的な問題がある可能性が高いです。その場合は「買取」以外の選択肢(仲介・問題解消後の売却・隣地売却・国庫帰属等)も併せて検討します。
断った会社に理由を聞いてもいいのか?
問題ありません。むしろ、次の行動を決めるために確認すべきです。本記事の「断られた会社に確認すべき5つの質問」を参考に、感情的にならず事実確認に徹すれば、有益な情報が得られます。
価格を下げれば買い取ってもらえるのか?
理由が「採算不一致」で、価格の調整幅が問題の規模に見合っている場合は効果があります。ただし理由が「取引前提未整備」や「法的問題」の場合は、価格を下げても解決しません。まず理由を特定してから対応方法を決めるのが効率的です。
解体や片付けを先にやったほうがいいのか?
自己判断で先に行うのはリスクがあります。現況のままの査定と、解体・片付け後の査定を複数社から取り、手取り額を比較してから判断することをおすすめします。解体費が査定上昇額を上回るケースは少なくありません。
仲介と専門買取のどちらがいいのか?
一般市場で需要があり、権利整理が済んでいる物件は仲介のほうが高値になりやすいですが、再建築不可・共有持分・事故物件など訳あり要素がある場合は専門買取のほうが現実的です。どちらかにこだわらず、両方で査定を取って比較するのが確実です。
名義が故人のままでも売却できるのか?
直接の売却はできません。まず相続登記(名義変更)が必要です。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必要です。対象となる相続が2024年4月より前に発生した場合も、2027年3月31日までに登記する必要があります(不動産登記法第76条の2第1項、附則第3条第2項)。
相続土地国庫帰属制度で無料で手放せるのか?
「無料」ではありません。審査手数料(土地1筆につき14,000円)と、承認後の負担金(基準額20万円〜)が必要です。また、建物がある土地は対象外で、更地にした上で申請することになります。さらに審査があり、管理に過大な負担がかかる土地や境界が不明確な土地は不承認となる可能性があります。
まとめ:買取を断られた不動産の「次の一手」は理由で決まる
不動産の買取を断られても、多くの場合は「物件に価値がない」のではなく「現状の条件ではその会社の事業に合わなかった」というのが実態です。以下の流れで次の行動を決めてください。
- 断った会社に理由を確認する:5つの質問を使って、理由を4分類のどれに当てはまるか整理する
- 理由に合った次の相談先を選ぶ:
- 会社都合・採算不一致 → 物件種別に合う専門買取会社へ再査定(複数社比較)
- 取引前提未整備 → 司法書士・弁護士等の専門家へ先行相談
- 法的問題 → 自治体窓口・建築士で事実確認を先行
- 複数社が同じ理由で断るなら:買取以外の選択肢(仲介・隣地売却・国庫帰属等)も含めて比較検討する
- 費用をかける前に手取りを比較する:現況と整備後の2条件で査定を取り、差引手取りを比較してから判断する
買取を断られたという事実は、売却の「終わり」ではなく「次の方法を選び直すきっかけ」です。一社の判断だけで諦めず、自分の物件の状態と理由に合わせた正しい次の一手を選んでください。
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