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「京都の空き家税はいつから始まるんだろう」「自分はいくら払うことになるのか」——京都市内に実家や別荘、相続した空き家をお持ちの方なら、一度は検索したことがあるのではないでしょうか。
結論から言うと、2026年7月現在、京都の空き家税はまだ課税されていません。課税開始は2030年度(令和12年度)の予定です。
京都市の公式ページ(2026年6月25日更新)によると、システム開発の影響で従来の予定から1年延期され、2030年1月1日時点の利用状況を基準とした課税開始が見込まれています。
とはいえ、2030年までまだ4年あるからと安心するのは早計です。売却や賃貸の準備には半年~1年程度かかるのが普通で、売れにくい物件ならそれ以上の時間がかかるからです。
この記事では、京都市の公式情報に基づいて、以下の疑問を順番に解消していきます。
- いつから、誰が、いくら払うのか
- 自分や親の家は課税対象になるのか
- 免除や猶予を受ける方法はあるのか
- 税金をきっかけに、売る・貸す・残すのどれを選ぶべきか
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京都の空き家税(非居住住宅利活用促進税)とは
メディアで「空き家税」と呼ばれることの多いこの税金の正式名称は、「非居住住宅利活用促進税」です。
京都市が独自に導入する法定外税で、目的は「空き家や別荘、セカンドハウスなど、居住者のいない住宅の有効活用を促すこと」にあります。税収は空き家対策の施策に充てられる予定です。
誤解されやすい点ですが、この制度は「老朽化した空き家を罰するための税金」ではなく、「生活の本拠として使われていない住宅に新たな負担を求めることで、流通や利活用を促す」という政策誘導型の税金です。
課税開始はいつ?
課税開始は2030年度(令和12年度)の予定です。2030年1月1日時点の利用状況が最初の賦課期日ベースとなります。
もともとは2029年度(令和11年度)開始の予定でしたが、システム開発の影響で1年延期されました。そのため、ネット上には「2026年度開始」「2029年度開始」「2030年度開始」と情報が混在しています。今この記事を読んでいる時点では、京都市公式が示す2030年度開始が最新かつ唯一正しい情報です。
課税対象になると見込まれる所有者には、課税前に関始市から個別にお知らせが届く予定です。
誰が課税されるのか
課税対象は、京都市の市街化区域内にある「非居住住宅」の所有者です。
ここで重要なのは以下の2点です。
- 京都府全域ではなく、京都市内でも市街化区域に限られること
- 対象になるのは「生活の本拠(寝起きして生活している場所)として利用する人がいない住宅」であること
なお、課税対象かどうかの判定は、基本的に住宅1棟ごと(戸建てや一棟賃貸マンションの場合)または住戸ごと(分譲マンションの場合)に行われます。
「空き家税」と「固定資産税6倍」は別の制度です
多くの人が混同しがちですが、京都市の非居住住宅利活用促進税と、「固定資産税が6倍になる」と言われる仕組みは、まったく別の制度です。
「固定資産税6倍」問題は、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)に基づき、管理不全空家や特定空家に指定・勧告を受けると、土地の住宅用地特例(小規模住宅用地なら固定資産税の課税標準が6分の1に軽減される措置)が解除されることを指します。
一方、京都市の非居住住宅利活用促進税は、管理状態とは関係なく「居住者がいるかどうか」だけで課税を判断する、まったく別の独立した税金です。
| 比較項目 | 京都市 非居住住宅利活用促進税 | 空家特措法による住宅用地特例解除 |
|---|---|---|
| 通称 | 「空き家税」 | 「固定資産税6倍」 |
| 法律の根拠 | 京都市条例(法定外税) | 空家特措法+地方税法 |
| 課税の基準 | 「居住者がいるかどうか」(生活の本拠の有無) | 「適切に管理されているか」(勧告の有無) |
| 対象となる税金 | 非居住住宅利活用促進税(新税) | 固定資産税・都市計画税(土地部分) |
| 対象地域 | 京都市の市街化区域内 | 全国の市区町村(各自治体の判断) |
| 税負担の変化 | 新たに年間数万~十数万円程度 | 土地の固定資産税が最大6倍に上昇 |
| 両方該当する可能性 | 条件次第で両方該当し得る | 条件次第で両方該当し得る |
つまり、たとえきちんと管理していても居住者がいなければ新税の対象になり得ますし、逆に新税が免除されても、空家特措法上の勧告を受ければ固定資産税が上がる可能性があります。両方の制度をセットで理解しておく必要があります。
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
自分は課税対象になる?5つのステップで確認する
「2030年から課税されると言われても、自分が対象になるのかわからない」という方のために、5つのステップで確認する方法をまとめました。
ステップ①:物件は京都市の市街化区域内にあるか
課税対象は、京都市の市街化区域内にある住宅に限られます。まずはこの条件を満たしているか確認してください。
固定資産税・都市計画税の課税明細書(家屋)で「(4)都市計画税に係る当該年度課税標準額」の欄が空白になっている場合、その家屋は市街化区域外にあるため、非居住住宅利活用促進税の課税対象にはなりません。
課税明細書をお持ちでない方は、京都市税制課(075-222-3155)に問い合わせるか、固定資産税の納付書をご確認ください。
ステップ②:生活の本拠として利用する人がいるか
ここがこの制度の核心です。課税対象になるかどうかは、「その住宅を生活の本拠(寝起きして生活している場所)として利用する人がいるか」だけで判断されます。
この判定において、以下の要素は直接的な判断基準にはなりません。
- 住民票の有無:住民票が置かれていても、実際に生活の本拠として使っていなければ課税対象になります(京都市FAQ Q3)。逆に住民票がなくても、実際に住んでいれば課税対象外です。
- 管理状態:草刈りや清掃をきちんと行っていても、居住者がいなければ課税対象になり得ます(京都市FAQ Q7)。
- 年に数回の滞在:法事や片付けのために年数回泊まる程度では、「生活の本拠」とは認められず、課税対象と判断される可能性が高いです(京都市FAQ Q11)。
つまり、形式的な対応(住民票を移す、時々掃除に行く)では回避できません。
ステップ③:家屋の固定資産評価額は免税点以上か
居住者がいなくても、家屋の固定資産評価額が免税点未満であれば課税されません。
免税点は以下のとおりです。
| 期間 | 免税点(家屋の固定資産評価額) |
|---|---|
| 制度導入から5年間 | 100万円未満 |
| 6年目以降 | 30万円未満 |
課税明細書(家屋)の「(3)当該年度価格(合計)」欄の金額で確認してください。市場価格や売却査定額ではありません。
注意
免税点の旧情報に注意
ネット上の古い記事や一部のFAQでは免税点が「20万円」と書かれているものがあります(京都市FAQ Q12に「古い京町家については20万円未満」との記載が残っているためです)。これはあくまで古い京町家という特定ケースの説明であり、正式な免税点ではありません。現行の京都市公式情報では「30万円(導入当初5年間は100万円)」が正しい免税点です。記事やブログを参考にする際は、情報の更新日を必ず確認してください。
ステップ④:免除・減免・猶予のいずれかに該当するか
課税対象となるケースでも、以下のいずれかに該当すれば、税金が免除・減免されたり、徴収が猶予されたりします(詳しくは後半のセクションで解説します)。
- 売却や賃貸の募集をしている(申告が必要・原則1年以内)
- 事業の用に供している(賃貸事業・店舗・事務所など)
- 転勤や海外赴中等で一時的に不在(5年以内・申請により全額免除)
- 所有者または居住者が死亡した(申告により3年間の徴収猶予)
- 入院・施設入所・介護・改修工事中(申請により減免)
ステップ⑤:申告・申請の要否を確認する
免除や猶予の多くは、自動的に適用されません。所有者自身の申告または申請が必要です。
「放置しておけばなんとかなる」と考えていると、課税対象のまま納付書が届くことになります。2030年度の課税開始前に、京都市が所有者に個別通知を行う予定ですが、その通知を待つのではなく、今のうちから自分の状況を確認し、必要な書類や証拠(媒介契約書、広告掲載の記録、事業計画書など)を準備しておくことが重要です。
ケース別 課税対象・非該当の早見表
5つのステップだけでは判断しにくい方のために、代表的なケースごとに課税対象かどうかを整理しました。
| ケース | 課税対象? | 備考・注意点 |
|---|---|---|
| 京都市内の実家を相続したが、本人は市外在住。年数回の帰省のみ | 対象 | 生活の本拠と認められないため課税対象。相続から3年以内なら徴収猶予の申告が可能 |
| 別荘・セカンドハウスとして年数回利用 | 対象 | 生活の本拠ではないため課税対象。事業用として活用すれば免除の可能性あり |
| 分譲マンションの1室を所有しているが空室 | 対象 | マンションは住戸単位で判定。空室の1戸だけが課税対象になる |
| 一棟賃貸マンションの一部のみ空室(他は入居中) | 非該当 | 一棟賃貸は棟単位で判定。1室でも居住者がいれば非居住住宅にはならない |
| 一棟賃貸マンションの全室が空室 | 対象 | ただし賃貸事業として確定申告し減価償却している場合は課税免除の対象になり得る |
| 売却・賃貸の募集を開始した(申告済み) | 免除対象 | 募集開始から1年以内。契約に至らない場合は免除が継続しない可能性あり |
| 事業用(民泊・店舗・事務所・駐車場)として活用中 | 免除対象 | 確定申告が必要。ただし固定資産税の住宅用地特例が外れる場合があるので注意 |
| 所有者が死亡し、相続人が検討中(死亡から3年以内) | 猶予対象 | 申告により3年の徴収猶予。猶予中に売却や賃貸が決まれば税額免除 |
| 転勤で京都を離れている(5年以内・戻る予定あり) | 減免対象 | 申請により5年間は全額免除。ただし戻る意思と計画が必要 |
| 古い京町家で固定資産評価額が30万円(導入当初5年は100万円)未満 | 非該当 | 免税点を下回るため課税対象外。ただし評価額は毎年変わる可能性あり |
税額はいくら?計算方法と課税明細書の見方
税額の仕組み
非居住住宅利活用促進税の税額は、以下の2つの合計で計算されます。
① 家屋価値割 = 家屋の固定資産評価額 × 0.7%
② 立地床面積割 = 土地の1㎡当たり固定資産評価額 × 家屋の延べ床面積 × 税率
立地床面積割の税率は、家屋価値割の課税標準(家屋評価額)の金額によって変わります。
| 家屋評価額の区分 | 立地床面積割の税率 |
|---|---|
| 700万円未満 | 0.15% |
| 700万円以上900万円未満 | 0.3% |
| 900万円以上 | 0.6% |
京都市のFAQ(Q4)によると、平均的な税額は「固定資産税額(土地+家屋)の半額程度」とされています。ただし、家屋の評価額や土地の評価額、床面積によって大きく変わるため、あくまで目安と考えてください。
課税明細書のどこを見ればいいか
税額を自分で試算するには、固定資産税・都市計画税の課税明細書が必要です。以下の数値を確認してください。
【課税明細書(家屋)】
- 「(3)当該年度価格(合計)」 → 家屋の固定資産評価額(免税点判定にも使う)
- 「(10)評価床面積」 → 税額計算に使う床面積
- 「(4)都市計画税に係る当該年度課税標準額」 → 空白の場合は市街化区域外で課税対象外
【課税明細書(土地)】
- 「(2)評価地積」 → 土地の面積
- 「(3)当該年度価格(合計)」 → 土地の固定資産評価額
京都市は公式サイトでExcel形式の税額シミュレーションを公開しています(非居住住宅利活用促進税のページからダウンロード可能)。上記の数値を入力すれば概算税額を試算できます。ただし、あくまで参考値であり確定税額ではない点にご注意ください。
ポイント
免税点の適用を忘れずに
家屋の固定資産評価額が免税点(導入当初5年間は100万円未満、6年目以降は30万円未満)を下回る場合は、非居住住宅利活用促進税は課税されません。課税明細書を確認する際は、まず免税点の判定から行うと、無駄な試算を避けられます。
課税を免除・減免・猶予してもらう方法
課税対象になりそうだとわかっても、慌てる必要はありません。京都市の制度には、状況に応じて税金を免除・減免・猶予してもらう仕組みが用意されています。
ただし、免除や猶予の多くは自動適用されません。所有者自身の申告または申請が必要です。「なんとかなるだろう」と放置すると、課税対象のまま納付書が届くことになります。
【免除①】売却または賃貸の募集をしている
住宅の売却や賃貸を実際に募集している場合、所有者の申告により課税が免除されます。
免除を受けるための条件は以下のとおりです。
- 実際に売却または賃貸の募集を行っていること
- 募集開始からおおむね1年以内であること(1年を超えても継続して募集している場合は、改めて京都市に相談が必要)
- 所有者が京都市に申告を行っていること
ここで特に注意していただきたいのが、「実質的な募集」と認められるかどうかです。
注意
実質的募集と認められない例
- 親族や知人だけを対象に販売・賃貸の声掛けをしている
- 広告で意図的に不利な条件(著しく高い販売価格など)を記載している
- 成立意思のないまま名目だけ募集している
こうした形式的な募集では免除対象にならず、虚偽の申告と判断される場合もあります。
免除を確実にするためには、媒介契約書、広告掲載日の記録、募集価格とその変更履歴などを証拠として残しておくことが重要です。不動産会社と媒介契約を結び、一般向けに物件情報を公開している状態が最も確実です。
また、売却・賃貸募集による免除は原則1年です。もし1年以内に契約に至らなかった場合、翌年度以降も免除を継続できるかどうかは、募集の実態や継続状況によって京都市が判断します。契約に至らないまま長期化するようであれば、値下げや売却方法の見直し、現況買取の検討など、別の対応を考える必要があります。
【免除②】事業の用に供している
住宅を賃貸事業、民泊、店舗、事務所、駐車場など、事業の用に供している場合は課税が免除されます(京都市FAQ Q9)。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 修繕や清掃などの維持管理が適切に行われていること
- 稼働していない期間がおおむね1年以内であること(空室期間が長引いていると事業利用とみなされない可能性がある)
- 賃借人の募集が継続的に行われていること
確定申告の有無も、事業利用の判断において重要な要素になります。賃貸収入があるにもかかわらず確定申告をしていない場合、事業利用と認められない可能性があります。
ただし、事業利用により新税は免除されても、固定資産税の住宅用地特例(6分の1軽減)が外れる場合があります(京都市FAQ Q9に明記あり)。新税がゼロになっても、土地の固定資産税が最大6倍になる可能性があるため、両方の税金をセットで試算したうえで判断することが大切です。
【免除③】歴史的価値のある建築物
景観重要建造物など、規則で定める歴史的価値のある建築物は課税免除の対象になります。ただし、「古い京町家だから」というだけでは自動的に免除されるわけではありません。該当するかどうかは京都市に確認する必要があります。
【減免】転勤・施設入所・介護・改修工事など
以下の事情により一時的に住宅を不在にしている場合、申請により課税が減免されます。
| 減免対象となる事情 | 減免期間の目安 | 必要な証明 |
|---|---|---|
| 転勤・海外赴任による不在 | 5年以内(戻る意思と計画が必要)/全額免除 | 転勤辞令・赴任命令書 |
| 入院・介護施設・障害者支援施設への入所 | 入所期間中 | 入所証明書・診断書 |
| 親族の介護による不在 | 介護期間中 | 介護証明書など |
| 増改築・改修工事による不在 | 工事期間中 | 工事請負契約書・見積書 |
| 震災・風水害・火災・盗難による被災 | 復旧期間中 | 罹災証明書・被災証明書 |
| DV被害等による避難 | 避難期間中 | 避難証明書など |
| 生活保護の生活扶助を受けている | 該当期 | 保護開始決定通知書 |
減免を受けるには、該当する事情を証明する書類を添えて京都市に申請する必要があります。転勤など事前にわかっている事情は、早めに準備しておきましょう。
【徴収猶予】所有者または居住者が死亡した場合(3年間)
この制度は、相続で空き家になってしまった方にとって最も重要な措置です。
所有者が死亡した場合、または住宅に居住していた人の死亡により非居住住宅となった場合、申告により、事実発生日から3年間、税金の徴収が猶予されます。
さらに、猶予期間中に売却・賃貸・居住再開などで住宅が活用された場合、猶予された税額の支払いが免除されます。
ポイント
3年間の猶予をどう使うかが鍵
「猶予」は単なる支払いの先送りではありません。猶予されている間に、売却先を見つける、賃貸に出せる状態に整える、相続登記を済ませるなど、住宅を「活用」するための準備期間として使うことができます。猶予期間が終わる前に活用できれば、猶予税額自体が免除されます。逆に、何もせずに3年が過ぎると、猶予されていた税額をまとめて納付することになります。
猶予は自動適用ではなく、申告が必要です。死亡から時間が経ちすぎると猶予対象外になる可能性もあるため、相続が発生したら早めに京都市に相談し、申告手続きを進めてください。
また、相続登記が未了の状態や、兄弟で共有名義になっている場合は、誰が申告者・納税義務者になるかを確認する必要があります。この論点は通常の固定資産税でも同様のため、以下の記事もあわせてご覧ください。
空き家税をきっかけに考える「売る・貸す・残す」の判断
ここまでで、自分が課税対象かどうか、免除や猶予の条件はわかりました。では、2030年度の課税開始までに、どう対応すればよいのでしょうか。
重要なのは、「空き家税だけ」で判断しないことです。空き家税は年間数万円~十数万円の新たな負担ですが、固定資産税や都市計画税、火災保険料、管理費、修繕費なども含めた「年間総保有コスト」で考える必要があります。
年間総保有コストを把握する
空き家の年間コストは、以下の合計で計算できます。
| 項目 | 金額の目安(年間) |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 課税明細書の金額 |
| 非居住住宅利活用促進税 | 固定資産税額の半額程度(目安) |
| 火災保険料 | 数千円~数万円 |
| 管理費(草刈り・清掃など) | 数万円~十数万円 |
| 光熱費の基本料金 | 数千円~数万円 |
| 修繕費の積立(平均) | 数万円~十数万円 |
| 年間総額 | 十数万円~数十万円 |
「空き家税が年間5万円だから大したことない」と考える前に、上記の年間総額で判断することをおすすめします。固定資産税や都市計画税がすでに年間10万円を超えているケースでは、新税が加わることで負担感が一気に増します。
選択肢①:売却する(仲介 or 買取)
売却すれば、空き家税の負担から完全に解放されます。募集開始から1年以内は免除対象になるため、課税前に売却活動を始められるのも利点です。
【仲介で売却が向くケース】
- 駅近・築浅など市場需要がある
- 再建築可・接道良好
- 残置物が少なく、ある程度の価格が期待できる
- 1年以内に売却できる可能性が高い
【買取(現況売却)が向くケース】
- 古くて一般の買い手がつきにくい
- 再建築不可・接道不良
- 残置物やゴミがある(片付け費用をかけられない)
- 遠方で売却活動が難しい
- 相続登記や名義整理ができていない
売却を選ぶ場合でも、課税回避のために急いで解体するのは避けてください。解体すると住宅用地特例が外れて土地の固定資産税が上がる可能性があるほか、再建築不可の土地では建て直せなくなるリスクがあります。解体の判断は、以下の記事で詳しく比較・検討してから行ってください。
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また、一般仲介で1年以内の成約が難しいと感じる場合や、残置物・老朽化・再建築不可などの事情がある場合は、現況のまま買い取る業者への相談も選択肢のひとつです。
選択肢②:賃貸に出す
賃貸に出せば、事業利用として課税免除の対象になります。ただし、賃貸経営には以下の点を考慮する必要があります。
- 入居者募集に費用がかかる:内装クリーニング、ハウスクリーニング、必要に応じて修繕・リフォーム
- 空室リスク:立地や物件の状態によっては入居者が決まらず、空室期間が続くと事業利用とみなされない可能性がある
- 管理の手間:遠方であれば管理会社への委託が必要(費用がかかる)
- 固定資産税の住宅用地特例:賃貸(事業利用)により新税は免除されても、土地の固定資産税の軽減措置が外れる可能性がある
賃貸を検討する場合は、修繕費・リフォーム費・管理委託費を差し引いたうえで、収支がプラスになるかどうかを試算してから判断してください。
選択肢③:事業利用(民泊・事務所・店舗・駐車場など)
住宅を民泊や事務所、店舗、駐車場などに転用して事業利用する方法です。
- 課税免除:事業利用であれば新税は免除(ただし確定申告が必要)
- 注意点:用途変更に伴う建築確認や許可、近隣との調整が必要な場合がある。また、固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性がある
駐車場経営や民泊は収益性が確認できれば有力な選択肢ですが、初期投資と許認可の有無を事前に確認しましょう。
選択肢④:居住再開
ご自身または家族が実際に住むことができれば、課税対象外になります。
- 完全な解決策:居住者がいれば非居住住宅ではなくなる
- 現実的な難しさ:仕事や生活の拠点を移せるか、修繕費用をかけられるか、家族の同意が得られるかなど、ハードルは高い
選択肢⑤:保有継続(免除・猶予・減免を活用しながら様子を見る)
すぐに売る・貸すを決断できない場合は、免除・猶予・減免を活用しながら状況を見極めるのもひとつの方法です。
- 死亡後の3年猶予:相続直後なら猶予期間中に検討できる
- 転勤減免(5年以内):戻る予定があるなら全額免除を受けられる
- 売却・賃貸募集の免除(1年):まずは募集をかけてみて、反応を見ながら判断する
ただし、保有を続ける場合は年間総保有コストが毎年かかることを忘れないでください。10年・20年と保有し続けると、売却益を大きく上回るコストになる可能性もあります。
5つの選択肢を比較する
| 比較項目 | 売却(仲介) | 売却(買取) | 賃貸 | 事業利用 | 保有継続 |
|---|---|---|---|---|---|
| 空き家税の負担 | 免除(売却活動中)→ なし | 免除(売却活動中)→ なし | 免除(事業利用) | 免除(事業利用) | 課税対象の可能性 |
| 初期費用 | 仲介手数料(3%+6万円+消費税程度) | 不要(現況のまま) | リフォーム費・ハウスクリーニング費 | 転用工事費・許認可費用 | 修繕費・管理費 |
| 収益性 | 市場価格での売却(高め) | 時価より低め(即金・現況) | 家賃収入(空室リスクあり) | 事業収入(変動あり) | なし(出費のみ) |
| 手間 | 中(内覧対応・契約手続き) | 少(現況のまま引渡し) | 多(入居者管理・修繕対応) | 中~多(事業運営) | 中(管理・清掃) |
| 向いている物件 | 需要がある物件・再建築可 | 老朽化・残置物あり・再建築不可 | 賃貸需要があるエリア | 立地・用途が事業に適している | 猶予期間中の一時的な選択 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 年に数回泊まりに行っているだけでも課税対象になりますか?
A. なります(京都市FAQ Q11)。課税対象かどうかは「生活の本拠として利用する人がいるか」で判断されます。法事や片付けのための年数回の滞在は生活の本拠とは認められず、課税対象と判断される可能性が高いです。
Q2. 住民票を京都市に移せば課税されなくなりますか?
A. ならないとは限りません(京都市FAQ Q3)。住民票の有無よりも実際の居住実態が重視されます。住民票だけを移して実際には住んでいない場合、課税対象になる可能性があります。
Q3. 古い京町家や評価額の低い家なら課税されないのですか?
A. 家屋の固定資産評価額が免税点(導入当初5年間は100万円未満、6年目以降は30万円未満)を下回れば課税されません。ただし、古い京町家でも評価額がこれを上回る場合は課税対象になります。ネット上で「京町家は20万円未満なら課税されない」という情報がありますが、これは特定ケースの説明であり正式な免税点は30万円です。
Q4. 売却や賃貸の募集を始めれば、いつまでも免除され続けますか?
A. いいえ、免除には期限があります。募集開始からおおむね1年以内が基本です。1年を超えても継続して募集している場合、改めて京都市に相談し、状況によっては免除が認められる可能性はありますが、自動的に継続されるわけではありません。また、親族だけを対象にした募集や、成立意思のない不利な条件での募集は「実質的募集」と認められません。
Q5. 親が亡くなって空き家になりました。すぐに何か申告が必要ですか?
A. 所有者または居住者の死亡から3年間の徴収猶予を受けるには、申告が必要です(京都市FAQ Q11)。自動適用ではありません。猶予中に売却や賃貸で活用すれば、猶予税額が免除されます。死亡後3年を過ぎると猶予が受けられなくなるため、早めに京都市に相談し申告手続きを進めてください。
Q6. 転勤で京都を離れています。課税されますか?
A. 申請により、5年以内であれば全額免除の対象になります(京都市FAQ Q13)。ただし、戻る意思と具体的な計画が必要です。5年を超える見込みの場合は、別の対応(売却・賃貸など)を検討する必要があります。
Q7. マンションの1室が空室ですが、課税対象になりますか?
A. 分譲マンションの場合は住戸単位で判定されます。空室の1戸だけが課税対象になる可能性があります。一方、一棟賃貸マンションの場合は棟単位で判定されるため、1室でも入居者がいれば非居住住宅にはならず、課税対象外です(京都市FAQ Q8)。
Q8. 空き家税と「固定資産税が6倍になる」のは同じ制度ですか?
A. まったく別の制度です。空き家税(非居住住宅利活用促進税)は京都市独自の新税です。一方、「固定資産税6倍」は空家特措法に基づき、管理不全空家や特定空家への勧告を受けた場合に、土地の住宅用地特例が解除されることを指します。両方の条件に該当すれば、両方の負担が発生する可能性があります。
まとめ:2030年度までにやっておくべきこと
京都の空き家税(非居住住宅利活用促進税)は、2030年度から始まる新しい税金です。まだ先の話に思えるかもしれませんが、売却や賃貸には半年~1年程度の時間がかかることを考えると、今から準備を始めるのが現実的です。
最後に、現在の状況別に「次にやるべきこと」を整理します。
【まず課税明細書を確認する】
家屋の固定資産評価額、土地の評価額、床面積、(4)の都市計画税欄が空白かどうかを確認。免税点以下ならひとまず課税対象外。
【相続直後・死亡から間もない方】
京都市に徴収猶予の申告をする。猶予期間中に売却・賃貸・相続登記の準備を進める。猶予は自動適用ではないため、忘れずに。
【売却を検討する方】
まずは不動産会社に査定を依頼し、一般仲介で1年以内に売却できる可能性を確認する。難しいようであれば現況買取も視野に入れる。課税回避目的での先走った解体はしない。
【賃貸・事業利用を検討する方】
収支シミュレーションを行い、修繕費・管理費を差し引いてプラスになるか確認する。固定資産税の住宅用地特例が外れるリスクも考慮する。
【転勤・施設入所中の方】
京都市に減免申請を行う。転勤の場合は全額免除の対象。戻る予定が5年を超えそうな場合は売却・賃貸も検討する。
【まだ決められない方】
まずは売却か賃貸の募集を開始し、免除を受けながら市場の反応を見る。1年以内に契約に至らなければ、値下げや買取への切り替えを検討する。
なお、制度や税額についての詳しい問い合わせは京都市税制課(075-222-3155)へ、空き家の活用相談は京都市空き家相談窓口(075-231-2323)へお問い合わせください。
それぞれの状況に応じた詳しい手続きや判断基準は、以下の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。
空き家の売却で迷ったら
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