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「空き家を相続したら、来年から固定資産税が6倍になるらしい」——この情報を聞いて不安になっている方は少なくありません。
結論から言えば、空き家を所有しているだけでは、固定資産税は増えません。「6倍になる」という話は正しいようでいて、実際にはいくつかの条件が重なった場合の話です。条件を満たさなければ、今までどおりの税額のままです。
この記事では、次のような疑問を順番に解決していきます。
- 空き家の固定資産税が増えるのは、どんな条件のときか
- 「6倍」とは正確には何が6倍になるのか
- 自治体から届いた書面はどう見分ければよいか
- 実際にいくら増えるのか、どうやって調べればよいか
- 増税を避けるにはどうすればよいか
最初に、あなたの空き家が今どの状態かを確認しておきましょう。
あなたの空き家はどの段階?
- □ 自治体から空き家に関する通知や書面が届いた
- □ まだ通知は来ていないが、空き家を所有している
- □ 屋根や外壁の破損、樹木の繁茂など、建物の状態が気になる
- □ 遠方で管理が行き届かず、この先の費用が不安
どの項目に当てはまるかによって、確認すべきポイントが変わります。それぞれ該当するセクションを読んで、次に取るべき行動を判断してください。
この記事を書いた人
訳あり不動産 買取相談センター 編集部
共有持分・再建築不可・空き家・相続不動産など、売却時に判断が難しい不動産情報を調査・整理する編集チームです。公式情報や公開データをもとに、相談先選びで迷いやすいポイントを中立的にまとめています。
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空き家の固定資産税は「所有しているだけ」では増えない【結論】
「空き家になったら固定資産税が6倍になる」——この情報だけが独り歩きしているのが実情です。実際には、単に誰も住んでいないというだけでは、固定資産税は増えません。
固定資産税が増えるのは、自治体から「勧告」を受け、なおかつ改善しない状態で1月1日を迎えた場合です。勧告に至るまでには、「管理状態の悪化→調査→指導→勧告」という段階があり、どの段階にいるかで税制上の影響はまったく違います。
「通知が来たからもう6倍になる」と決めつけて慌てる必要はありません。まずは届いた書面が何なのか、自分はどの段階にいるのかを確認するのが先決です。
現場から
「空き家=即6倍」と思い込んで、届いた通知の内容も確認せずに解体業者を呼んでしまったケースがあります。後で市区町村に確認したところ、届いたのは「指導」で、まだ勧告には至っていなかった——つまり、解体しなくても増税にはならなかった事例です。通知の種類を確認してから次の行動を決めれば、不要な出費を防げます。
増税が始まるのは「勧告を受けて1月1日を迎えたとき」
固定資産税の増税には、はっきりとした時系列があります。この流れを理解しておかないと、「指導が来たからもう増税される」と誤解したり、逆に「勧告まで来ているのに放置してしまう」ことになりかねません。
増税までの流れ
段階1:空き家の状態が悪化する
屋根・外壁の破損、樹木の繁茂、ゴミの放置など、管理が行き届かない状態になる。
段階2:自治体が調査・把握する
近隣からの通報や職員の巡回などにより、自治体が空き家の状態を把握する。
段階3:指導(管理不全空家の場合/特定空家の場合は助言または指導)
市区町村長が所有者に対し、改善を促す「指導」を行う。
この時点では、まだ住宅用地特例は外れません。
段階4:勧告
指導をしても改善されない場合、市区町村長が「勧告」を行う。
この勧告が、税制上の分岐点です。
段階5:1月1日(賦課期日)を迎える
勧告を受けた状態で、なお改善されていないまま1月1日を迎えると、その年の固定資産税から住宅用地特例が外れます。
段階6:納税通知書が届く(通常4〜6月)
特例が外れた状態で計算された税額が通知されます。
「管理不全空家」と「特定空家」——2つの空き家の区分
2023年の空家法改正により、空き家には「管理不全空家」と「特定空家」の2つの区分ができました。税制上の扱いに違いはありませんが、行政の対応の速さと求められる措置の内容が変わります。
| 区分 | 定義 | 行政の対応 | 税制影響 |
|---|---|---|---|
| 管理不全空家 | 適切な管理が行われておらず、放置すれば特定空家になるおそれがある状態 | 指導→勧告(命令や代執行はなし) | 勧告で住宅用地特例が外れる |
| 特定空家 | 倒壊のおそれ、衛生上有害、著しく景観を損なうなど、周辺に悪影響を及ぼす状態 | 助言または指導→勧告→命令→代執行 | 勧告で住宅用地特例が外れる |
どちらの区分であっても、住宅用地特例が外れるのは「勧告」を受けた時点です。指導(管理不全空家)や助言・指導(特定空家)の段階では、まだ特例は外れません。
国土交通省の2025年12月公表データによると、管理不全空家への指導は全国で3,211件、勧告は378件行われています(2025年3月31日時点)。制度は実際に運用されており、決して一部の自治体だけの話ではありません。
参考:国土交通省「令和5年改正空家法に基づく取組が広がる」(2025年12月25日)
「固定資産税が6倍」の正しい意味——課税標準と実際の納税額の違い
ここが最も誤解されやすいポイントです。「固定資産税が6倍になる」という表現は正確ではありません。正しくは、「小規模住宅用地部分の固定資産税の課税標準が最大6倍になる」という意味です。
まず、住宅用地特例の仕組みを整理します。
| 土地の区分 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
住宅用地特例が適用されている間は、土地の固定資産税評価額がそのまま課税標準になるわけではなく、上記の割合に圧縮された金額が課税標準になります。この特例が外れると、圧縮されていた課税標準が元の評価額に戻ります。
「最大6倍」になるのは小規模住宅用地の固定資産税だけ
特例が外れた場合の変化を、面積別に整理します。
| 土地の区分 | 固定資産税の課税標準の変化 | 理論上の倍率 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 6分の1 → 通常(1分の1) | 最大6倍 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 3分の1 → 通常(1分の1) | 最大3倍 |
負担調整措置があるため、実際は段階的に3.5〜4倍程度にとどまる
ここが、ほとんどの記事で触れられていない重要なポイントです。固定資産税には「負担調整措置」という仕組みがあり、課税標準が急激に上がらないよう調整されます。
負担調整措置とは、前年度の課税標準額を基準に、評価額の一定割合(おおむね70%程度)まで徐々に引き上げていく仕組みです。つまり、特例が外れても翌年度いきなり課税標準が評価額の100%になるわけではなく、段階的に上昇していきます。
この負担調整措置があるため、実際の増加率は次のようになります。
| 比較軸 | 理論上の最大値(課税標準ベース) | 負担調整措置を考慮した実態 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下)の固定資産税 | 最大6倍 | 約3.5〜4倍(段階的に上昇) |
| 土地+建物+都市計画税の合計 | 一律6倍ではない | 約2〜4倍(土地の広さ・評価額による) |
具体的な試算例を見てみましょう。評価額600万円の土地(150㎡、都市計画税あり)の場合:
| 項目 | 特例あり(現状) | 特例なし(負担調整措置後) |
|---|---|---|
| 土地の固定資産税 | 約1.4万円 | 約5.9万円(約4.2倍) |
| 土地の都市計画税 | 約0.6万円 | 約1.3万円(約2.1倍) |
| 建物の固定資産税+都市計画税 | 約3.4万円 | 変わらず約3.4万円 |
| 合計 | 約5.4万円 | 約10.5万円(約1.9倍) |
土地だけを見れば約4倍、建物を含めた全体では約2倍の増加にとどまります。「6倍」という数字よりは低いものの、年間5万円以上の増税になるケースが多いのが実態です。
注意
「3.5倍だから安心」ではない
負担調整措置で急激な上昇は緩和されますが、毎年少しずつ課税標準が上昇し、最終的には評価額の70%程度まで到達します。増税は「一発で6倍」ではなく「数年かけて3.5〜4倍に達する」というのが正確なイメージです。いずれにしても、無視できる額ではありません。
静岡市の試算例でも、「約4倍」とされています(200㎡以下の土地、都市計画税ありの前提)。
届いた書面が「指導」なのか「勧告」なのか——最初に確認すべきこと
自治体から空き家に関する書面が届いたら、まずパニックにならずに、届いた書面が「指導」なのか「勧告」なのかを確認してください。この違いを理解していないと、不要な工事を急いだり、逆に重大な勧告を見過ごしたりすることになります。
助言・指導・勧告・命令の違い
| 名称 | 誰に対して | 法的拘束力 | 税制影響 | 次のステップ |
|---|---|---|---|---|
| 助言 | 特定空家の所有者 | なし(任意) | なし | 任意の改善 |
| 指導 | 管理不全空家の所有者 | なし(任意) | なし | 改善がなければ勧告へ |
| 勧告 | 管理不全空家・特定空家の所有者 | なし(任意だが、税制影響あり) | 住宅用地特例が外れる | 改善がなければ命令へ(特定空家の場合) |
| 命令 | 特定空家の所有者のみ | あり(従わなければ代執行) | 勧告時点で既に解除 | 代執行、費用徴収 |
ポイントは「指導」の段階ではまだ税制影響がないことです。指導は「自主的な改善を促すための行政の働きかけ」であり、これに従わなくても直ちにペナルティは発生しません。ただし、指導を無視し続けて改善されなければ、次の「勧告」に進みます。
指導を受けたら「猶予期間」と捉え、今すぐ5つのステップを
指導は「まだ間に合う」というサインです。この段階で以下のステップを踏めば、勧告に進まずに済む可能性が高まります。
- 指摘内容を正確に把握する:書面に記載された「どの部分が問題か」を具体的に確認。写真や図面があれば一緒に保管
- 市区町村の空き家担当課に電話で確認する:「先日指導をいただきました。どの箇所をどの程度改善すればよいか、具体的に教えてください」と聞く
- 改善の見積もりを取る:軽微な修繕で済むのか、大掛かりな工事が必要か、複数の業者から見積もりを取得
- 行政に改善計画を伝える:「○月までに○○を修繕します」と具体的な時期と内容を伝える。誠実な姿勢を示せば、行政も勧告に急いでは進まないことが多い
- 改善後、完了報告をする:工事完了後、市区町村に連絡し、現地確認を依頼。確認後に「指導終了」または「改善確認」の連絡をもらう
この5ステップを踏めば、指導で止まり、勧告に進まずに済む可能性が高くなります。ただし、修繕費用と増税後の税額を比較し、「修繕するより売却した方が得」という判断になるケースもあるので、必ず両方の見積もりを取って比較しましょう。
書面を受け取ったら確認すべきこと
通知が届いたら、以下の3点を確認してください。
- 書面のタイトル:「指導(管理不全空家等に係る)」「勧告書」など、何の種類の文書かが記載されています
- 引用されている条文:空家法第13条第1項(管理不全空家の指導)、第13条第2項(管理不全空家の勧告)、第22条第1項(特定空家の助言・指導)、第22条第2項(特定空家の勧告)のいずれかが記載されています
- 具体的な改善内容と期限:何を、いつまでに、どの程度改善すればよいかが具体的に書かれています
確認したら、市区町村の空き家担当課(部署名は「住宅政策課」「建築指導課」「空き家対策課」など自治体によって異なります)に電話で以下の質問をしておくと安心です。
- 届いた書面は法的な「勧告」に該当するか
- 住宅用地特例は何年度から外れる見込みか
- どの箇所を、どの状態まで改善すればよいか
- 改善後に現地確認はあるか
- 勧告が撤回されたことを確認できる書面はあるか
- 特例解除後の固定資産税・都市計画税を試算できるか
- 修繕や解体に利用できる補助制度があるか
現場から
修繕費用をかけて建物を直したものの、市区町村への完了報告や勧告撤回の確認をせず、「直したからもう大丈夫」と思い込んでいたケースがあります。実は修繕しただけでは行政上の処理は完了せず、自治体の現地確認と勧告撤回の手続きを経て初めて特例が戻る可能性があります。「物理的に直した=行政上の問題が解決した」ではない点に注意が必要です。
実際にいくら増える?自分の増加額を調べる2つの方法
「6倍というのは正確ではない」とわかっても、「自分の空き家で実際にいくら増えるのか」がわからなければ、次の行動に移れません。ここでは、あなた自身で増加額を調べる方法を2つ紹介します。
方法1:納税通知書の「課税明細書」を確認する
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書には「課税明細書」が同封されています。ここに、土地の固定資産税評価額と、課税標準額が記載されています。
現在の課税標準額(特例適用後)と、固定資産税評価額(特例なしの場合の課税標準)を比較すれば、大体の増加率がわかります。
- 課税標準額(現状):評価額の6分の1(200㎡以下の部分)または3分の1(200㎡超の部分)になっている
- 固定資産税評価額:特例が外れた場合の課税標準額(ただし負担調整措置により、実際は評価額の70%程度からスタート)
正確な数字を知りたい場合は、市区町村の資産税担当課に直接確認するのが確実です。
方法2:市区町村の資産税担当課に問い合わせる
最も確実な方法は、市区町村の資産税担当課(固定資産税を担当する部署)に電話で問い合わせることです。
以下の情報を伝えれば、現在の税額と特例が外れた場合の税額を試算してもらえる場合があります。
- 物件の所在地(地番または住居表示)
- 所有者の氏名
- 「空き家の勧告を受けた場合の固定資産税の増加額を試算してほしい」
注意
試算の前提を必ず確認する
市区町村によっては試算に対応していない場合や、あくまで簡易的な試算となる場合があります。また、負担調整措置により実際の納税額は段階的にしか上がらないこともあるため、試算結果が「来年度の請求額」と一致するとは限りません。「あくまで参考値」として聞くようにしましょう。
増税を回避するには?4つの選択肢と判断基準
増税を回避するには、勧告を受ける前に改善措置を取るか、勧告後に改善して勧告を撤回してもらう必要があります。ここでは、代表的な4つの選択肢と、それぞれが向いているケースを整理します。
大切なのは、「税金だけ」で判断しないことです。修繕費、管理委託費、解体費、将来の売却額、そして倒壊や近隣トラブルのリスクまで含めた総合判断が必要です。
選択肢1:修繕して改善する——「直したら終わり」ではない
勧告の対象となった箇所(屋根の破損、外壁の剥がれ、樹木の繁茂など)を修繕すれば、原則として勧告は撤回される可能性があります。
ただし、以下の2点を必ず確認してください。
- 修繕しただけでは行政上の処理は完了しない:修繕後、市区町村の空き家担当課に連絡し、現地確認を依頼する必要があります。確認の結果、改善されたと認められれば、勧告が撤回されます。
- 勧告撤回の確認が必要:勧告が撤回されたかどうかは、書面で確認できるかを担当課に聞いてください。「修繕したからもう大丈夫」と思い込んでいると、翌年度の納税通知書で驚くことになりかねません。
修繕が向いているのは、次のようなケースです。
- 比較的軽微な修繕で改善できる(費用が数十万円程度)
- 将来的に自分で住む、または売却する予定がある
- 建物の価値が一定程度残っている
選択肢2:管理を続ける——増税回避と年間維持費のバランス
勧告を受けていない段階であれば、定期的な管理(換気、清掃、樹木の剪定など)を続けることで、管理不全状態への悪化を防げます。
ただし、管理を続けるには以下の費用が毎年かかります。
- 固定資産税・都市計画税(現在の税額)
- 管理委託費(遠方の場合、月5,000円〜2万円程度)
- 火災保険料(年1〜3万円程度)
- 修繕費(突発的な雨漏りや破損対応)
「増税を避けたい」という理由だけで管理を続けると、これらの年間コストが数年で数十万円に達する可能性があります。増税後の税額と比較して、どちらが負担が大きいかを冷静に判断しましょう。
選択肢3:解体する——建物の税金はなくなるが、土地の税金が変わる
建物を解体すれば、建物分の固定資産税はなくなります。ただし、土地については注意が必要です。
建物がある間は「住宅用地」として住宅用地特例が適用されていましたが、解体して更地になると、住宅用地ではなくなるため特例が終了します。つまり、解体によっても土地の固定資産税は上がることになります。
ただし、この「解体による土地の増税」と「勧告による土地の増税」は、原因もタイミングも異なります。
| 比較項目 | 勧告による増税 | 解体による増税 |
|---|---|---|
| 原因 | 空家法に基づく勧告 | 住宅用地でなくなること |
| 影響範囲 | 土地のみ(勧告を受けた年度から) | 土地のみ(解体した翌年度から) |
| 倍率 | 小規模約3.5〜4倍、一般約2倍 | 小規模約3.5〜4倍、一般約2倍(同じ) |
| 選択の自由 | 行政の判断による | 所有者の意思で選択できる |
つまり、解体すれば建物の固定資産税(通常数千円〜数万円)はなくなりますが、土地の固定資産税は今より上がる——というのが基本的な構図です。
また、解体時期によって翌年度の税額が変わる可能性があります。1月1日時点で建物が存在するかどうかで、その年度の土地の扱いが変わるためです。解体を検討する場合は、市区町村に確認してから日程を決めることをおすすめします。
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選択肢4:売却する——勧告期限と売却期間を天秤にかける
管理を続けるのも、修繕するのも、解体するのも難しい——という場合、最後の選択肢が売却です。
空き家の売却には主に2つの方法があります。
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 仲介売却 | 一般の買主を探す。時間がかかるが高値が期待できる | 建物の状態が良く、一般の買主が見つかる可能性がある |
| 買取(現況買取) | 業者が現状のまま買い取る。スピーディで確実 | 勧告期限が近い、修繕費がかさむ、遠方で対応が難しい |
勧告を受けた空き家でも、買取業者であれば現況のまま買い取れるケースが少なくありません。ただし、勧告を受けた事実を買主に伝える必要があるため、事前に業者へその旨を伝えた上で査定を依頼してください。
増税を恐れて危険な建物を残したままにしておくと、修繕費・管理費・近隣対応費が年々累積し、結果的に売却よりも総コストが大きくなるケースがあります。税金だけでなく、3〜5年の総保有コスト(税金+管理費+修繕費+リスク)で比較することが重要です。
現場から
「固定資産税が上がるのが怖い」という理由で、雨漏りがひどく傾き始めた実家をそのままにしていたケースがあります。結果的に数年の間に修繕費として100万円以上を費やし、近隣からの苦情対応にも追われました。最終的に買取業者に現況で売却したところ、解体費や修繕費を考えれば「もっと早く決断すべきだった」という結論になったそうです。税金の増加額だけでなく、それ以外の出費やリスクも合わせて考えましょう。
京都市の独自税(非居住住宅利活用促進税)との違い
「空き家の増税」について調べていると、京都市の「非居住住宅利活用促進税」に関する情報に行き当たることがあります。これと、全国共通の住宅用地特例解除は別の制度ですので、混同しないように注意してください。
| 比較項目 | 全国の住宅用地特例解除 | 京都市の非居住住宅利活用促進税 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 地方税法(全国共通) | 京都市の法定外税(京都市独自) |
| 課税対象 | 管理不全空家・特定空家に勧告を受けた土地 | 京都市市街化区域内の非居住住宅 |
| 課税開始 | 勧告後、1月1日を迎えた年度から | 2030年度から(令和12年度) |
| 税額 | 課税標準の最大6倍(土地の固定資産税) | 別途条例で定める額 |
本記事の主なテーマは全国共通の住宅用地特例解除です。京都在住の方は、全国制度とは別に京都市独自の課税可能性があることを頭に入れておいてください。
まとめ——あなたの空き家、今何をすべきか
ここまでの内容を踏まえ、あなたの空き家の状況に応じて、次に取るべき行動をまとめます。
判断フロー
① 自治体から何らかの通知が届いているか?
▸ 届いていない → 建物の状態を確認し、定期的な管理を継続。「管理不全」になる前に売却や解体を検討するなら、今が動きどき
▸ 届いている → ②へ
② 届いた書面は「指導」か「勧告」か?
▸ 指導 → まだ特例は外れていません。改善のための猶予があります。前述の「5ステップ」をすぐに実践しましょう
▸ 勧告 → 特例が外れる可能性があります。至急、市区町村へ改善内容と期限を確認し、行動を開始してください
③ 今後の方針は?
▸ 管理を続ける → 年間の管理費・維持費と増税後の税額を比較。長期化すると高コストになる可能性
▸ 修繕する → 軽微な修繕で済む場合は現実的。修繕後に自治体の確認・勧告撤回手続きを忘れずに
▸ 解体する → 建物の固定資産税はゼロになるが、土地の固定資産税は約3.5〜4倍に。解体費を含めた総コストを試算
▸ 売却する → 仲介と買取の違いを理解し、勧告期限と売却期間を天秤にかける。現況で買い取れる業者もある
増税の問題は、税金だけで判断すると失敗しやすい分野です。「固定資産税の増加額」と「修繕費」「管理費」「解体費」「売却価格」「安全リスク」を天秤にかけ、総合的に判断することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 空き家になっただけで固定資産税は6倍になるのか?
A. なりません。空き家を所有しているだけでは、固定資産税は増えません。増税されるのは、自治体から「勧告」を受け、改善しないまま1月1日を迎えた場合です。
Q. 管理不全空家に指定された時点で増税されるのか?
A. されません。「管理不全空家に指定された」こと自体では、住宅用地特例は外れません。税制上の分岐点は「勧告」を受けた時点です。
Q. 指導を受けただけでも住宅用地特例が外れるのか?
A. 外れません。指導は任意の改善を促す段階であり、税制上の効果はありません。ただし、指導を無視して改善されなければ、次の段階である「勧告」に進む可能性があります。
Q. 勧告後に修繕すれば特例は戻るのか?
A. 修繕後に市区町村の空き家担当課に連絡し、現地確認を受けて「改善された」と認められ、かつ勧告が撤回されれば、特例が戻る可能性があります。ただし、「直したから自動的に戻る」わけではないので、必ず行政の確認手続きを経てください。
Q. 200㎡を超える土地も全体が6倍になるのか?
A. なりません。200㎡以下の小規模住宅用地部分は課税標準が最大6倍になりますが、200㎡を超える一般住宅用地部分は最大3倍です。土地全体の増加倍率は面積按分で計算されます。
Q. 実際の増加額は理論上の6倍より低くなる理由は?
A. 固定資産税には「負担調整措置」があり、課税標準が急激に上がらないよう段階的に調整されます。このため、実際の増加率は理論上の6倍ではなく、3.5〜4倍程度にとどまるケースが一般的です。ただし、毎年少しずつ上昇するため、最終的には評価額の70%程度まで到達します。
Q. 都市計画税も6倍になるのか?
A. 小規模住宅用地部分の都市計画税は、特例時は課税標準が評価額の3分の1でしたが、特例解除後は通常(1分の1)に戻るため、理論上は最大3倍になります。固定資産税の6倍とは倍率が異なります。
Q. 建物の固定資産税も6倍になるのか?
A. なりません。「6倍」になるのは土地の固定資産税の課税標準の話です。建物の固定資産税は、空き家であることや勧告の有無によって増税されることはありません。
Q. 解体すると税金はどう変わるのか?
A. 建物の固定資産税はゼロになりますが、土地が「住宅用地」でなくなるため、住宅用地特例が終了し、土地の固定資産税は約3.5〜4倍になります(負担調整措置あり)。解体前に市区町村に確認し、解体時期(特に1月1日との関係)を考慮して決めるとよいでしょう。
Q. 親名義のままでも増税対象になるのか?
A. 固定資産税の納税義務者は、登記上の所有者です。親名義のままでも、勧告の対象となり、住宅用地特例が外れる可能性があります。相続登記をしていない場合は、早めに名義変更を検討したほうが、売却や対応がスムーズになります。
Q. 京都市の空き家税と全国の制度は同じか?
A. 同じではありません。全国の住宅用地特例解除は地方税法に基づく制度で、京都市の「非居住住宅利活用促進税」は京都市独自の法定外税です。京都市の税は2030年度から課税開始予定です。
空き家の売却で迷ったら
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